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霊能者のお仕事  作者: 津嶋朋靖
超常現象研究会

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地獄に落とすわよ!

 なんで僕がこんな事を……


 翌日の放課後、僕は超常現象研究会の部室で華羅先輩のお古のセーラー服に着替えていた。

 女装しろと言われたとき、当初は逃げようと考えたが、解散するときに小山内先輩から『社君。明日も来てくれるわよね。もし来てくれなかったら、私悲しくなっちゃって、どっかの掲示板にあの女装写真は社優樹君だって書き込んじゃうかも』と釘を刺されていたのだ。


 それにしても樒は今日も休みか。本当にただの頭痛だろうか? 


「社君。着替え終わったかしら?」


 部室の中に立てた衝立の向こうから小山内先輩の声。


「はあ。終わりましたが……」

「終わったら、早く出て来て。仕上げがあるのだから」


 仕上げって? てか、こんな格好で人前出るなんて恥ずかしいんですけど……


 ぐずぐずしていると、衝立の外へ引きずり出された。


「じゃあ、ウイッグ着けるわよ」


 仕上げってカツラの事か。


「どれがいいかしらね?」


 黒髪ロング、黒髪セミロング、金髪、銀髪、茶髪と五種類のかつらを前にして六星先輩が迷っていた。


「部長、これがいいです」


 そう言って華羅先輩が手にとったのは銀髪。


「それに、このメガネをかけて」


 小山内先輩に度の入っていない桃色のメガネをかけさせられた。


「おお! ノベラちゃんだ!」「うどん食べる?」


 時間がないのだから、遊ばないで下さい。


 結局、ウイッグは無難な黒髪セミロングにした。


「おお!! 可愛い!!」


 小山内先輩、写真撮影は禁止ですよ。


「待って。パットを入れてないわ」


 華羅先輩、そこまでやらなくても……


「このままだと、服を貸した私が胸無しと思われるじゃないの」


 何をわけの分からない事にこだわっているんですか!?


「後はすね毛を……あら! 綺麗な足ね。社君、家ですね毛剃ってきたの?」


 いいえ、小山内先輩。僕は元々すね毛が薄いんです。


「うらやましい。まあ、とにかく手間が省けたわね」


 ようやく、準備終了。


 だが、本当の地獄はこれからだった。


「おい、あの可愛い女の子誰だ?」「可愛いな。中学生かな?」


 この恥ずかしい格好で校庭へ出る事になったのだ。


 まったく嬉しくないのだが、どうやら女装した僕はかなり可愛いらしい。そのせいで、校庭で部活中の生徒や、たまたま帰宅中だった生徒から注目を浴びてしまっている。


 その中にクラスメートもいるが、今のところ僕だと気が付いている者はいないようだ。しかし、いつ女装がばれるか。


 強風が吹いてウイッグが飛ばされたりしたら……


 社優樹は女装趣味の変態という烙印を押されてしまう。


「しかしあの女の子、なんでオカ研の三魔女と一緒に?」


 ちなみに『オカ研』とは『超常現象研究会』の事。先輩たちも三魔女と恐れられているらしい。


 まあ、そのおかげで注目はされても話しかけてくる奴はいないのだが……


「ねえ、君。可愛いね。これから僕たちとカラオケ行かない」


 と思っていたのだが、恐れを知らないナンパ野郎が二人寄ってきた。


「そこの男子! 私の妹にちょっかい出すんじゃない! 地獄に落とすわよ!」

「げ! 六星の妹!?」「やべえ! 呪われる」


 さすがに恐れをなしたのか、ナンパ男たちは退散していった。


 その後で僕は小声で訪ねる。


「六星先輩。本当に呪いなんてできるんですか?」


 霊能者協会のセミナーで聞いたが、呪術を使える人は本当にいるらしい。お金をとって呪殺を引き受ける者も……


「社君。私たちに呪いなんてできないわよ。でも、丑の刻参りを何度か実践して、その姿を目撃されてしまった事から、私たちに逆らうと呪われるという噂が広まってしまったのよね」


 噂に尾鰭がついて恐れられていたのか。ひょっとして、痴漢が寄ってこないのもそのせいか?

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