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霊能者のお仕事  作者: 津嶋朋靖
嫌悪の魔神

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251/263

トドメは僕に任せて下さい

「ぐおおおぉぉぉ!」


 悪霊髑髏の一体が叫びながら、木の枝を投げつけてきた。


 ミクちゃんの式神アクロがそれをブロックするのだが、次から次へと物を投げつけてくるので、式神はその防御に追われて攻撃ができない。


 なんとか僕が退魔銃で攻撃をかけるのだが……


「被弾した者は、後方へ下がれ。回復した者は前へ出ろ」


 悪霊髑髏の中に、無駄に指揮能力の高い奴がいて群霊を組織的に動かしていた。


 そのせいで、最後の一体がなかなか仕留められないでいる。


 悪霊髑髏に退魔弾を命中させても、消滅するほどのダメージを受ける前に後方に下がられてしまい、無傷な髑髏が前へ出てきて瘴気を吹き付けてくる。


 そいつに弾を当てても、また回復してきた髑髏が前へ出てきた。


 切りがない。


「いいぞ、いいぞ。このままいけば、いずれ奴らの矢弾は尽きる」


 矢は使っていないが……


 しかし、退魔弾の残弾がみるみる減っていっているのは確かだ。


 それより……


「ミクちゃん。大丈夫かい?」


 ミクちゃんの体力が心配だった。


 式神三体を操るなんて、そうとう無理をしているはず。 


「だ……大丈夫。あたしはまだ……」


 あまり、大丈夫そうじゃないな……早く決着をつけないと、ミクちゃんが保たないぞ。


 正面から瘴気を吐いている悪霊髑髏に、僕は狙いを定めた。


 拙い! 残弾があとわずか。絶対に外せないぞ。


「優樹君!」


 ミクちゃんが、左端にいる一体の髑髏を指さしている。


 髑髏の頭には、ミクちゃんのウサギ式神が乗っていた。


「式神に、弱っている髑髏を探させたの。あいつが一番ダメージを受けているわ。あいつを狙って」

「分かった!」


 左端の髑髏に、狙いを向けた。


「食らえ!」


 しかし、二発命中したところで弾切れ……あと一発で消えそうなのに……


 その時に、髑髏の上にいたウサギ式神がすっくと立ち上がった。


「優樹様。トドメは僕に任せて下さい」


 え? ウサギ式神は、情報収集には優れているが、戦闘力はほとんどないのでは?


 悪霊髑髏もそう思ったのか、頭上にいるウサギ式神にあざ笑うように言う。


「ははは! 『トドメは任せろ』だと? 貴様のような弱っちい式神に何ができる!」


 式神は、かまわず髑髏の頭頂部に噛みついた。


「ぐおおおお!」


 噛みつかれた場所から、ドス黒い煙のようなモノが噴出する。


「き……貴様! 俺に何をした?」

秘孔(ひこう)を噛んだ。おまえはもう死んでいる」

「なに? いや、まて! 俺は三十年前に、すでに死んでいるのだが……」


 そこまで言ったところで、髑髏は黒い霧となって霧散した。 

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