表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
霊能者のお仕事  作者: 津嶋朋靖
嫌悪の魔神

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

236/263

有力な情報が聞き出せるかも……

 樒が手にしている瓶の中では、落ち武者の霊が瓶を叩きながら何かを叫んでいた。


 声は聞こえないが『出してくれ~!』と言っているのだろう。


「なんだ、おまえ! 勝手に屋敷に入ってきて」


 霊の見えていない樫原は、許可無く屋敷に進入して来た樒を咎めようとするが、寒太の父がそれを止める。


「待て、樫原。そのお嬢さんは、俺が中に入れたのだ」

「え? 旦那様が……」

「彼女は優秀な霊能者なのでな、俺に憑いていた悪霊を祓ってくれたのだよ」

「え? 悪霊?」「あなた、今まで悪霊に憑かれていたのですか?」

「ああ。それを……」


 寒太の父は、樒を指さす。


「彼女が祓ってくれたのだ。ありがとう」

「いえいえ、どういたしまして。ところで、除霊の報酬は……」

「えっへん!」


 わざとらしい咳払いをする僕に、樒は恨めしそうな視線を送ってから言葉を続けた。


「報酬はいりません」

「いらないのか?」


 代わりに僕が答えた。


「はい。僕達の報酬は、霊能者協会から受け取ることになっていまして、依頼者から直接受け取ってはならない決まりになっています」

「そうなのか? ところで俺に憑いていた悪霊は……」

 

 樒の持っている瓶を指さす。


「何を言っているのだ?」


 相変わらず、悪霊は中から瓶を叩いている。


「樒。瓶の中の声って、聞けないの?」

「ん? 瓶に手を触れたら、聞こえるわよ」

「どれどれ」


 まあ、悪霊の戯言など聞いても無駄だと思うけど、試しに手を瓶に触れてみた。


 突然、僕の脳内で悪霊の声が響きだす。


「出せ! 出しやがれ! こんちくしょう! 俺を誰だと思ってやがる!」


 だから、さっき『どこのどなたかは存じませぬが……』って言ったじゃないか。


「俺にこんな事をして、ただで済むと思っているのか!」

「うん、思っている」


 瓶の中には聞こえないと思ったが、思わず返事をしてしまった。


「なんだと!? この野郎!」


 あ! 中に聞こえていたのか。


「てめえ、舐めてんじゃねえぞ! この中からじゃ、俺が何もできないとでも思っているのだろう?」

「何かできるの?」

「俺の背後(バック)にはな、魔神様がついているのさ。分かるか? 俺様を閉じこめると言うことは、魔神様に楯突くのと同じ事だ」

「つまり、あんたをここから出さないと、魔神から報復されると言うの?」

「おうよ」

「ふうん。で、その魔神って、どんな事ができるの?」

「魔神様はな、血の池地獄で溺れていた俺を、引っ張り上げて現世へ連れてきてくれたのさ」


 こ……これは、案外有力な情報が聞き出せるかも…… 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ