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霊能者のお仕事  作者: 津嶋朋靖
嫌悪の魔神

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215/263

本日の死亡予報のお時間です

 声の方をふり向くと、そこに居たのはロックさんではなかった。


「こんにちは。先日はどうも」


 少女死神!?


「あら? 私は、ロックさんを呼んだはずだけど……」

「すみません。先輩は忙しいので、私が代わりに……」

「しょうがないなあ。じゃあ、今回はシーちゃんで」


 おいおい……死神に『シーちゃん』呼びは失礼では……


「シーちゃん!? なんですか? それは……」


 少女死神は、きょとんとした顔で聞いてきた。


 怒ってはいないようだ。


「いや、あんたの事を、なんと呼べばいいか分からなかったので……死神の女の子だから、シーちゃんと呼んだのだけどだめかな?」


 まあ、死神子ちゃんよりは、ましだか……


「いや……別に良いですけど……死神には、決まった名前がないので。ただ、人間さんには呼び名がないと不便という事で、名前を付けられる事はよくありますから……ただ、先輩はロックさんなのだから、もうちょっとかっこいい名前がいいかなっと……」

「え! かっこいい名前がいいの? 優樹。何かかっこいい名前考えてあげてよ」


 ええ!? そんなこと、急に僕にふられても……


「シロ」


 え? 


「寒太。なんでシロなのだ? そんな犬や猫みたいな名前……」

「え? 犬や猫? いや、俺はただ、死神姉ちゃんの下着の色を言っただけだが……」


 少女死神が、パッとスカートを押さえた。


 ゴツン!


 その次の瞬間、樒のゲンコツが寒太の頭に炸裂。


 追い打ちをかけるように、僕は対魔銃を寒太に突きつけた。


「次に、そういう事をやったら……」

「わあ! ごめん! もうやらない! やらないから撃つな!」

「よし」


 対魔銃を撃つことなく、僕はホルスターに戻した。


 それはともかく、少女死神の名前はどうすべきか?


「ええっと……シーちゃんでいいのじゃないかな。可愛いし」

「え?」


 少女死神は頬を赤らめた。


「可愛いですか? 私」


 あ! いや『シーちゃん』という呼び名が可愛いと言っただけで……まあ、この子も可愛いけど……


「分かりました。じゃあ、これから私のことはシーちゃんと呼んで下さい」


 話はまとまったようだな。


「それで神森(かみもり)(しきみ)さん。私に……じゃなくて、先輩にどのようなご用でしょうか?」


 すると樒は、僕を指さした。


「用があるのは、私じゃなくてこの子よ。何かロックさんに質問したいそうだけど」

「そうですか」


 シーちゃんはスマホ……のような物を取り出して操作した。


「あなたは(やしろ)優樹(まさき)でしたね」

「そうですけど……シーちゃん、そのスマホみたいなのは何?」

「ああ、気にしないで下さい。ただの霊子閻魔帳ですから」


 やっぱし! ということは、あれに僕の寿命とか載っているのか!


「もちろん、人間さんには、これをお見せする事はできません」

「それは分かるけど……それって、僕の寿命が載っているのですよね?」

「んん……厳密に言うと、寿命とはちょっと違うのです。死亡確率が、これに載っているのですよ」

「死亡確率?」

「一応、本日の死亡確率だけなら、教えてもいいのですが、知りたいですか?」


 僕はコクッと頷いた。


「社優樹さんの、本日の死亡確率は〇・〇〇五六三〇七一パーセントになります」

「それって、ほとんど死なないって事?」

「ええ。でも、だからといって『わーい! 僕は、今日は何をやっても死なないのだ』とか、はしゃいでビルから飛び降りたりしたら死にますから」

「いや……そんなバカなことしませんから」

「たまにいるのですよ。低い死亡確率を聞いた後、そういうバカな事をしちゃう人が」

「うんうん。コトワザにもあるわね。『バカは死ななきゃ治らない』って」

「樒。それって、コトワザだったっけ?」

「あれ? 違ったかな? まあいいか。で、シーちゃん。私の死亡確率は?」

「神森樒さんの、本日の死亡確率は〇・〇〇五六四一〇一四七七一パーセントになります」

「低いけど、けっして〇にはならないのね」


 人間にはいつでも、死ぬ可能性はあるのだな。


 気をつけないと……は! いかん! 本日の死亡予報を聞いている場合ではなかった。


「シーちゃん。本題に戻るけど……」


 僕は今日あった経緯を、シーちゃんに話した。

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