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霊能者のお仕事  作者: 津嶋朋靖
嫌悪の魔神

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202/263

あの時のバイク窃盗女児!

 警官達の顔に、一瞬緊張が走った。


 しかし、次に樒が言ったことで緊張が解ける。


「私達はあの男の子を連れて行くつもりでしたが、誘拐ではありません」

「誘拐ではないなら、なんで連れて行こうとしたのだ?」

「親元へ連れて帰るためです」

「親元に? という事は、あの子は家出少年なのか?」

「まあ、そういう事になりますね。あの男の子は荒木寒太と言って、家族から捜索願が出ています」


 言いながら、樒はメモ帳に『荒木寒太』と書いて警官に渡した。


「こんな字です」


 樒からメモを受け取った警官は、それを一瞥すると別の警官にメモを渡した。


「確認しろ」

「はい」


 メモを渡された警官はタブレットを操作する。


「ありました。確かにさっきの少年は、一昨日から捜索願が出ています」

「そうか」


 警官はタンハーの方を振り向く。


「つまり、お嬢ちゃんは家出少年を匿っていたのだね。それで連れ戻しに来たこの人達を、誘拐犯呼ばわりして逃れようとしたのだな」

「違うなの! こいつらは、本当にお兄ちゃんを誘拐しようとしていたなの」

「あのねえ……」


 不意にタンハーは樒を指さす。


「この大女は、ショタコンなの!」

「え? ショタコン?」

「そうなの!」


 そう言ってタンハーは僕を指さす。


「こっちの合法ショタでは物足りなくなって、お兄ちゃんに手を出そうとしたなの?」


 ムカ!


「誰が合法ショタだ!」「人を変態みたいに言うな! このロリババア!」

「まあまあ、落ち着いて」


 警官は、僕と樒をなだめてから言う。


「あの子はああ言っているけど、君はそういう趣味あるの?」

「ありません! 私から逃れるために、嘘八百並べ立てているのよ!」


 ミニパトが到着したのはその時。


 助手席から婦警が一人降りてくる。


「遅くなりました」

「おお! 柿見巡査。さっそくこの女性の身体検査を頼む」


 あれ! 柿見巡査と呼ばれたこの婦警……


「ん? 君は!」


 向こうも僕を見て気がついたようだ。


「社さんじゃない。いったいどうしたの?」


 やっぱり。先日、バイクに乗っている僕を小学生と間違えて呼び止めた婦警さんの仲間。


「ん? 知り合いか?」

「はい。先日、小学生がバイクを盗んだ事件がありましたね。その時の……ん?」


 婦警さんの視線がタンハーの方を向く。


「ああ! あんたあの時のバイク窃盗女児!」

「ゲッ! やばいぞよ」


 タンハーは慌てて逃げようとする。


「待ちなさい! あんたがパトカーから逃げ出したせいで、私は始末書書かされたのよ!」


 婦警は素早く飛びつくとタンハーを抱き上げた。

 

「放せ! 冤罪じゃ!」 

 

 婦警に抱きしめられたまま、タンハーはジタバタともがく。

 

「大人しくしなさい!」

「わらわは子供じゃ! 大人しくなんかせんわ!」


 次の瞬間、タンハーの身体が強烈な光を放った。


「あら? あの子はどこに?」


 今まで抱きしめていた幼女が消えてしまい、婦警さんはキョロキョロと周囲を見回している。


 タンハーめ。霊体化して逃げたか。

今回登場した婦警さん柿見巡査は前章「事故物件2」の154話「盗んだバイクで走りだすのは十五になってからにしろ!」に出てきた人でした。

ちょい役過ぎて皆さん印象に残らなかったですね(汗


フルネームは柿見(かきみ)優花(ゆか)20代独身スリーサイズは秘密。



婦人警官役のキャラクターが必要になったので私の未発表作品の中から引っ張り出してきました。

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