はじまりの日1
なかなか話が進まないです。
文章が長くなると書きにくいので細かく投稿していきます。
拙い文章ですがよろしくお願い申し上げます。
ある日、鬼たちが村を襲ってきました。
村は炎に包まれ、家屋は焼け落ち、人々は泣き叫び、悲鳴をあげ、平和は消え失せ………代わりに出てきたのは醜い人の本性。
それを見た鬼たちは心なしか哀れみの表情を浮かべていたという。
鬼たちの狙いは二人の赤ん坊だった。
だがお爺さんとお婆さんを含めた村の人には半信半疑だった。
この鬼たちは赤ん坊を取り戻しに来たかは定かではない。むしろ報復にきたと思っていた方がいい。
なぜなら鬼は赤ん坊が生きているとは思っていないからだ。
普通に考えれば桃から生まれた鬼の子など忌子としてとっくに処分されていると思っているはずだから。
赤ん坊を差し出しても助かる見込みもない。
ましてやお爺さんとお婆さんに赤ん坊を差し出すという選択肢はなかった。それが二人のエゴだと知っていても。
お爺さんとお婆さんはそれぞれ赤ん坊を一人ずつ抱え、別々に逃げることにしました。
この提案をしたのはお爺さんでした。
お爺さんはわかっていました。この日が来ることも、そして自分がお婆さんと二人の赤ん坊を守れないことも………だからお爺さんは二手に別れようと提案しました。
この選択はまさに苦渋の選択でした。
全員生き残る道はない。二手に別れても片方生き残るとも限らない、むしろ確率は低い。
それでもお爺さんは少しでも確率の高い道を選んだ。それは誰でもない自分のために。
勘違いしてはいけない。お爺さんは自分の命が恋しいわけではない。自分の年老いた命一つでみんなが助かるならこんな命などいらない、そう思うほどであった。
お爺さんは愛しているお婆さんと二人の赤ん坊が宝物でした。その宝物をすべて失うわけにはいかない、二人せめて一人でも愛しているものをこの世に残す、それがこの選択。
愛がゆえに心を鬼にし、誰よりも利口で確実な人道にはそぐわないやり方。その実誰よりも愛をとった男だった。
お読み下さりありがとうございました。