序章
童話っぽく淡々と書きました。
何部かでます。
投稿は不定期です。
拙い文章ですがよろしくお願いします。
とある小さな村にお爺さんとお婆さんが住んでいました。
二人は貧しいながらも仲睦まじく幸せでした。
そんなある日、お婆さんが川で洗濯をしていると、川上から大きな大きな桃が流れてきました。
お婆さんはその桃を拾い上げ、家に持って帰りました。
薪拾いから帰ってきたお爺さんは、桃の大きさに腰を引くほど驚きました。
「お婆さんや、この大きな桃はどうしたんだい?」
「洗濯をしていたら川上から流れてきたんですよ。お爺さん桃好きだから喜ぶと思いまして」
「ありがとうお婆さん。じゃあ早速いただきますかな」
お爺さんは鉈で桃を一刀両断しました。
すると桃の切れ目から眩いばかりの光が溢れ、桃の中から二人の赤ん坊が出てきました。
お爺さんとお婆さんはひどく驚きました。
桃の中から赤ん坊ができたことにも驚きましたが、何より驚いたのは二人の赤ん坊には角が生えていたことです。
お爺さんとお婆さんは困惑しました。
桃から出てきたのは鬼の子、人間にとっての害そのものです。本当だったら今すぐ殺すか、人里離れた場所に捨てるかの二択ですが、とても優しい二人にそんなことできるはずもありません。
何よりお爺さんとお婆さんは子宝に恵まれていませんでした。
そんな二人には赤ん坊が可愛くて仕方ありませんでした。これは神様が自分たちに授けてくださった宝だと思い、育てることを決意しました。
残念ながら、いえ必然ながら桃から生まれた赤ん坊の話は瞬く間に広がっていきました。そしてその話は鬼たちの耳にも届くのでした。
お読みくださりありがとうございました。