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塾の帰り道 何気無い日々

作者: 赤渕 鋏

初投稿です

初心者ですがよろしくお願いします


季節が若干ズレてますが ご了承ください

風が冷たくて僕は羽織ったコートの前を重ねた

小首を傾げて彼女は訊く


「寒いのか?」

「うーん寒いね 気温もだけど なんてったって風が冷たい」

「そう なのか」


「そういう君はどうなんだい いつの間にかクリスマスだ 十二月もほとんど終わり 冬真っ盛りじゃないか そんな薄そうな長袖で大丈夫なのかい?」

「ああ大丈夫だ 私は意外と寒さには強いんだぞ」

「そっか それはいいね 冬はどうも寒くて 苦手意識があるんだ」

「そうなのか 私は冬好きだがな」

「へえ なんでだい」

「・・・笑わないか」

「笑わないとも」


「・・・冬は何かこう スッとした 冷えた空気があるのが好きなんだ 清冽とでも言えばいいのだろうか 冴え冴えとした空気がある」

「確かに なんだか頭の回転が速くなりそうだね」

「そうだろう! 塾の中は私には少しばかり暑すぎる」

「だからといって 外で勉強するのは御免だよ?」

「なにもそこまでは言ってない

 ただ・・・・・・」

「ただ?」


「言われてみればそれも悪くないかもしれないな」


「さすがに勘弁してくれ 青空教室ならぬ星空教室ってところかい?」

「ははっ 星空教室か いい名前だな」

「いやね さっき何気なく上 向いたらさ」

「上?」

「おや 気付いてなかったのかい ほら」

僕は


夜空のパレットに輝きを散らす星たちを指さした


「・・・・・・綺麗だな」

「明日の朝には雪が降ってるってニュースでやってたけど 今は晴れてるっぽいね ラッキーだよ」

「空にこんな景色が広がってるなんて 全然気付かなかった  よし 決めた 私が将来塾を開くときは 冬の授業は外でやるぞ」

「・・・絶対誰も来ないから止めといた方がいいと思うけどなぁ」

「いや 必ず一人は来るぞ なあ」

「なあ って いやいや 僕に将来子どもができても 絶対お前の所にはやらないからな 真冬に外で勉強なんて 寒いから風邪引きそうだし 風でプリントも飛ばされるだろうし 雨なんか降ったらさぞ大変だと思う け ど ・・・・・・ん?」

「ん? どうした?」

「いや なんか頭に当たった気がして」

「うん? んー 多分」

「多分?」

視線が下がる


「雪 じゃないかな」


コンクリートの道路が夜空に染まってゆく


「不思議だね 晴れ空の雪だ」

「こんなに空は澄んでるのにな」


髪に舞い落ちた


白い白い欠片が黒をより一層艶やかに見せる


「ホワイトクリスマスだね」

「なんか 神聖な気分になるな」

「柏手の一つでも打っておこうかね」

「誰にお願いするんだい?」


「うーん クリスマスの神様に かな」


「ふふっ なんだそれは」

「笑うなよ 今ふっと頭をよぎっただけなんだからさ 第一僕は笑わなかったのに君が笑うなんてずるいぞ」

「ふふっ すまんすまん じゃあ私も祈っておくとしようか」

「誰にだい?」


「クリスマスの神様に さ」


「ふっ」

「ふふっ」

「あはは」

「あはははは」


パンッ

『志望校合格しますように』


「あはは」

「ハモったね」

「ハモったな」

「あはははは」


笑い声が遠ざかる


徐々に 遠くへ向かって


風は 少し冷たい


「じゃあここら辺で」

「じゃあまた明日」

「じゃあね」

「バイバイ」


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