第四話『屋上』
今回は基本的に第三者視点ですが、ちょっとふざけてます。中二病感染者…感染というのもあれですがまぁそういう話です。
あと、途中から呼び方が髪の毛の色になってます。本名はありますがまだ出しません。
屋上には不穏な風が吹いていた。
ついさっきまで、ポキポキを幸せそうに、先っぽからサクサクと食べている日向達を歪んだ顔で見ていた闇のように深い紫色の髪の少年が、柵に腕をのせて何もない平和な空の方に目をやっていた。
「おい、聞いたか日向達の言ったこと…」
独り言…ではなく、誰かに答えを求めている。
この屋上には、少年の他に二人の少女と無表情の少年がいる。
この四人は少なくとも四年以上の付き合いだが、実は無表情の灰色の髪の少年は関係性など無かったりするのだ。
「聞いたわよ、全く高貴な私にそんなことを聞かないでくれる?それよりも、どうしたら高貴な私の前でよくそんなにどうでもいいことを言えるのかしら」
すぐに答えたのは紫色の髪の少年と一番長い付き合いの茶色く長い髪をしたの方で一つに結んである少女だ。
どちらにとっても一番長い付き合い、というちょっと特別そうな関係であることは、紫の少年にとっては嬉しいことのようだ。
…口には出さないが。決して。
ちなみに今は、紫はこの少女を自分のチームのクイーンとしている。
―――しかし、この俺にそのような態度とは…
紫が不愉快だというように視線をもっと遠くに動かしたその時
「『あの方達が持っているお菓子を食べたいです』と妖精が呟いております…」
と、ラムネを頬張る人の方を指差して言ったのは上からピンク、赤、紫のグラデーションの綺麗な髪の毛の少女だ。
このグラデーションの少女はあまり紫とは関係無いが、茶色の少女とは仲が良い。
―――全然俺の話と関係無いことだな…ていうか本当に話聞い…
「なだんいいもてれさろこ、ろてっまだらーめてでじまかて…ろだいいもでうどのなん」
遮られてしまった。
この意味不明な言葉は呪文だ。魔法使いか何かだろう…多分。
というのは紫の勝手な考えで、実際灰色本人はそんなこと思っていない。
灰色はほとんどの人に聞き取れないようにしているだけのようだ。もちろん紫にも分からない。
まぁ…ほとんどの人とは言っているからもちろん一部の人には分かるのだが……
その話は今まったく関係ない。
「さて、日向君はこの神相手にどうするのかな?」
―――いや今そんな話だったか!??
そんな風に心の中でつっこみを入れる三人。表情に変化があったのは茶色のみでほか他の二人はもはや興味も何もない様子になる。
「…ということは、その日向に決闘とか申し込むつもり?」
特になにも考えていなかった紫は茶色の質問に少し戸惑う。
「…そうするかもしれないな。これからの奴の言動による。」
「じゃあさっきのは何よ。『この神相手にどうするのか』とか言ってたのは…」
返す言葉がなかった紫はまた話題を変えようと考えるが、なかなか思い付かない。その恥ずかしさからか、顔が急にあつくなる。
今度は赤面を隠すように、更に遠くを向くのだが、
「もしかしてあんた熱中症か何かかしら。全く弱いにも程があるわ」
「んなっ…弱くねえし!!」
更に別の意味で赤くなる紫。いや、別に髪の毛が赤紫になったというわけでは無いが…
とりあえずそういう意味ではない。まぁ当たり前のことなのだが。
「神は熱中症なんかにはならないんだ。もしもなったらとっくに世界は…」
「いやあんたなったことあるじゃない。あの時のことは感謝してもしきれないくらいの恩だと思ってくれないと困るわよ?」
「う…うるせ…礼は言った筈だぞ…!」
「だから感謝しきれないくらいって言ったのよそんくらい分かりなさい!」
本当に熱中症で倒れそうなほど真っ赤になった笑える顔を見もせずに、
「『あの方達は置いて帰りましょう』と妖精が呟いております。」
「…かるすとるえかもれお」
…と帰るグラデーションと灰色だった。