表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Chime ―チャイム―   作者: 夏影
第一章 キッカケ
4/67

第三話『柑月学園』

後書きはおまけですが、一応次の話に繋がります。本文は和視点。後書きは第三者視点。

 この学園にはとんでもない問題児がいる。その名前は佐倉水玉。佐倉財閥の一人娘。

 何でもお金任せで良いようにされたらたまったもんじゃない。それを直し、他の子を改心させる。それが私の役目。

 最初はあまり気が進まなかったけどこのクラスに入って思わされた。これは直さなければいけない、と。

「あんた達、いい加減にしなさいよ。」


 そして我慢してた。

 言いたかったけれど、ずっと我慢していた。きっと言っても聞かないし通じない。ある意味諦めていたのかもしれない。

 けれど、いい加減に早く言わなければならない。

 言わないと、何か大変なことが起こるような気がした。

「あんた達の…」


 一度呼吸を整え、言葉を考えた。


「あんた達の勝手な行動で…もしも学園に何か大変なことがあったとしたら…

あんた達は責任がとれるの?

ねぇどうなの!!!!!」


 少し、言い過ぎたかもしれない…。

 だけど柑月学園に何かあってからでは………遅いんだ!!!!!!


「……………」


 日向達は口を閉じたままだ。

 私が次の言葉を口に出そうとした…その時だった。




「「「責任セキニン?ナニソレおいしーの?」」」

 と、口をそろえて言ったのだ。


「…って…え!!!!??いやあんた達 本気マジで言ってるの!?っていうか再来年から高校生でしょ!!?」

「ん?俺様 高校コーコー行く気ないぞー?」

「いやそういう問題じゃなくって…!」


 でもそうか、こんなのも人生の中では短い時間なのだ。私の二年間の過酷な学園生活は、あと一年七ヶ月で終わるのだ。

 …ってまだ学園生活の半分くらい残っているが、ここまでの一年頑張ってきたのだから、最後までやりきりたい…

「あ、今考えたんだけど… 『ラクをする』といえば、“車のに乗って登校”って楽でいいんじゃないか?」

「車の上に乗って登校かぁーいいなー」

「え?」

「菊野のわりにはいいアイデア出すじゃん~」

「ちょ…白夜さん!??」

「いいけどゲーム!!」

「皆!!?良かないよ!!?」

「それよりポキポキ食べないか?うまいぞー?」

「別にいいよさっきラムネ食べたし」

「水玉は水玉アメ舐めたーーー!!」

「Zzzz…」

「………はぁ」

 こんなZ組の生徒の変な発想で学園が変な方向に凄くなっていくのを想像すると恐ろしい。皆に振り回されまくっても、果たして私一人で持ちきらせられるんだろうか…

 私は人に頼るとか、協力するという発想が無い。ずっと、今も独りなのだ。

 不安だけどやらなくてはいけない、そんな使命感に操られるように歯をくいしばる、そんな中学生活を私は既に覚悟した。

 三年Z組の生徒は36人。


 人間なのだから、勿論もちろん好みの違いなどがある。


「やはりポキポキはうまいなー」


 いつものようにそう呟くこの左目を眼帯のようにアイマスクで隠している少年は、一葉日向だ。

 いつも真顔だが、沢山の真っ赤なパッケージを抱えて何だか満足そうに見える。


「ポキポキ考えた人天才だよなー神様なのかなー?とにかくポキポキは俺様のこの力の源で悪の組織オーニオーーンに唯一対抗できる最高の食……」


 ちなみにこの少年、若干じゃっかん中二病である。


「あ、日向、またそんなにポキポキ持ってるんですか?」


 可愛らしい声の黄色い髪の毛のこちらの少年も、中二病感染者だ。そして…


「美味しいですよね、ポキポキ!!僕も仕事で疲れた時にはよくポキポキ食べます!!」

「水玉に貰ったんだーお前も食うかー?」

「はい!!」


 この少年も日向ほどでは無いがポキポキが好きである。


 そしてまた…それを不満気に見つめる少年もいるのだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ