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VRツクール オンライン!  作者: 葵邑
第一部 『さぁ、VRの世界を創ろう!』
8/11

第六話『挫折と決意の繰り返し。そして成長』

今回は文章が多め。

他の人の作品を読みあさり、ひたすらに読みあさり・・・


自分もはやいとこ次の段階にいきたくて展開早めてみました。

合計48時間にも及ぶ話し合いの末、

ようやく各種ステータスについて話がまとまった。

これはあらゆる現象に影響を与えるものなのだから、

むしろ48時間ですんでよかったのかもしれない。


サクラのシステムフォローにで大雑把なところは現実世界と同じ程度に

してあるものの、

ファンタジーな世界を創り上げるのに必要な変更箇所はとても多かった。

というか複雑な計算式が多すぎて、

ぶっちゃけヤマトはほとんど決めたことを覚えていない。

サクラに流されただけだ。


大気は必要か、という質問にはとても驚いた。

あって当然だとは思うが、

VRの世界なのだから別にいらなくてもいいのだろう。

なんでも、大気を創るか、創らないかでかなり作業量が変わるらしい。




「でも風魔法は欲しいよなー」



「魔力を使って風を創ることはできる。

 魔法の効果が切れれば消える、みたいな扱いにしたらどうかな?」



「でも日常生活で風がまったくないっていうのもな・・・」



「精霊を創って気まぐれに風を起こさせるようにしたらどう?

 風の精霊がいない地域・・・とかってイベントにもできるし。」



「大きく息を吸い込んでも深呼吸できないっていうのは・・・」



「魔力!代わりに魔力を満たそう!

 これは大気みたいに物理的な性質を持たず、

 精神に影響を与えるようにするの!

 だから深呼吸でばっちりリラックス!これで解決っ!いぇいっ!」




いくつか大気が必要になりそうな場面を挙げてみたが、

ヤマトが思いつく限りの質問にはすぐさま代替案が飛んできた。

よっぽど面倒くさいらしい。


まぁ、VRTにログインして48時間以上経つが、

大気がなくても何も問題になっていないのだ。

別になくてもいいんだろう。なんか呼吸できてる気がするし。



途中でお茶やコーラを創り出して飲んだり、

コタツを創って座ったりカツ丼を創って食べたりと

休憩がてら創作の練習をしていたのだが、それがまた難しかった。


というか、

サクラのシステムフォローがなければ何も創れないのではないかと思う。


コーラも、見た目くらいはヤマトは簡単に創れるのだ。

だが、そのコーラには見た目以外の何もかもが存在していなかった。

ペットボトルのフタを開けようとしたが、まずフタの構造になっていない。

というか触った感じがもうへにゃへにゃだ。STRが80だからだろうか。


なんとかネジ構造を創ってフタを開けてみたが、

今度はひっくり返しても中身が落ちてこない。

重力らしき力を創って落ちるようにするも、

口に入ってきた液体っぽいそれは味ものどごしも、冷たさもない。

もちろん炭酸なんてものは入っていなかった。


ヤマトは1つ1つ欠点を潰すようにコーラを創り変えていくが、

まったくうまくいかない。

諦めてサクラに尋ねると、予想外な回答が返ってきた。




人の味覚や触覚、という機能自体が未実装だったのだ。

最初に創り出した自分自身さえ、

ステータスが割り振られただけの、見た目だけの存在だった。




精神的に疲れていたヤマトはあっさりと練習を放棄、

システムフォローでコーラを創り出してもらい、休憩したのだった。


身体的な疲れはあまりない。

現実世界ではまだ40分程度しか経っていないかららしい。

だが世界を創ることのあまりの困難さに、

ヤマトの心は何度か折れかかっていた。


正直、自分で創り出したものなど自分の見た目くらいしかない。

だがそんな見た目すらも、あまりにリアルすぎるからと

サクラの手によってデフォルメ化されていた。


そりゃあ、どうみてもファンタジーな冒険者ギルドに

ファンタジーな見た目の狐耳美少女なサクラ、

その隣にあまりにリアルな人間のヤマトではバランスが悪すぎた。



ゲームの世界にそのまま現実の人間が入ってしまったかのような違和感だ。



サクラの手によってデフォルメ化されたヤマトは、

元の威厳と英雄感をまったく失わず、

むしろ元より威風堂々とした感じの壮健な美丈夫として完成されていた。


ヤマトが5時間かけて創り出した理想の英雄象は、

サクラによってわずか3秒で、

より世界に似合う英雄象へとなってしまったのだ。

文句のつけようもないほど自分好みに仕上がっていて、逆に凹んだ。

しかし、




「・・・お兄ちゃん、なんか疲れてるみたいだけど大丈夫?

 いっぱい難しいこと決めたし、また少し休憩する?何か食べたい?」




ヤマトが凹むたびに、サクラが気を使ってくれる。


この優しさが痛い。

しかも見た目が完璧に理想の女の子なので破壊力が半端じゃない。


創造の練習では手取り足取り懇切丁寧に手伝ってくれるし、

休憩中は食べ物も飲み物も、ヤマトの好きなものをすぐに用意してくれる。


休憩しようと座るとヤマトの膝の上にちょこんと座ってくるし、

気になってた耳や尻尾も自由に触らせてくれた。

予想通りの完璧な手触りだった。


リラックスできるようにと好きな曲もどこからか流してくれたり

とにかく気が利くし献身的だし声までかわいい。



何度凹んでも、何度心が折れても、

サクラさえいれば、何度でも立ち直れるとヤマトは確信した。



ヤマトの中身、山田太郎としての人生を振り返ってみる。

今までの人生、これほど挫折から立ち直ったことはなかった。

辛いことからはすぐに逃げてきた。

痛いことなどプライドの全てを投げ捨ててでも回避してきた。


俺には無理だ、才能がない。

やればできるけど、面倒くさい。

俺よりもうまくできる人がいる。なら俺がやる必要はない。

今が楽しければいい。がんばるのはまだ先でいい。


言い訳を繰り返し、プライドを捨て、

それでも少年の心だけは捨てきれずに生きてきた。

その結果が、30歳独身アルバイター(ニート歴5年)だ。



そんな人間が、最初から世界を創れるわけなんてなかった。

だが、そんな人間にも生きがいができた。

それすらもすでに何度も諦めかけていたが、

今は常に隣にいて支えてくれる美少女がいる。



それだけで何度でも立ち直れるくらい、山田太郎という男は単純だった。



わずかな間に何十回と挫折を繰り返し、

サクラに支えられて同じ数だけの決意を繰り返し、

ついにヤマトは開き直ることにした。



「まぁ、そりゃあ最初から上手くできる人間なんていないよな。

 人は鍛錬を積み修行を重ね、ようやくその技術を手にするんだ。」



その後もちょっとしたことで凹んだり挫折したりを繰り返しながら、

100時間をかけてはじまりの街を創りあげた頃には、

ヤマトはシステムフォロー無しにコーラを創造できるほどになっていた。


休憩こそ小まめにしたものの、

約6日間、完徹で作業繰り返していたヤマトは、

自分の成長を実感できるほどになっていたのだった。



もしも神様がいるとしたら、この世界をどうやって創ったんでしょうか。

物理法則、化学、生物のしくみ、数学・・・全部1神で創ったんでしょうか。


意外と本当に、八百万神くらいはいるかもしれないですね。

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