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【完結】刻の檻刀シリーズ①偽りのチェックメイト-チェスのカードが導く断罪の儀-  作者: 慧依琉:えいる


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第8話:輝夜と満流、二人が目指すもの!



朝陽が眩しい神社の境内。

今日も朝早くから輝夜はせっせと掃除をしていた。

時々、輝夜はどこからか視線を感じた気がして振り向いてみた。しかしその先にあるのは境内に設置された2体の狛犬の石造があるだけだ。


「……………?」


輝夜は自身が正鬼の一族であると自覚したあの日から徐々に霊力が高まってきており、人の気配とかにも敏感になっていた。だが、視線は感じるものの、「人」の気配はないのだ。不思議な感覚に輝夜は気のせいと片付けてしまうのはちょっと難しく思っていた。



「よっ!」満流だ。


「おはよ、満流、その様子だと今朝も時間ピッタリね。」


「おう、俺は輝夜に早く会いたくて朝の掃除だってちょちょいっと片付けてくるんだ。」


「あはは、何それ。」


満流の発言からその様子を想像する輝夜。〝きっとそのあとお父さんに怒られてるんだわ。〟と、全てお見通しだ。



「そうだ、満流。私、あの記憶を取り戻した日から霊力が日々上がってきてね、人の気配とか敏感に感じるんだけど、満流はそんな変化ない?」


「あ?俺?ん-、あんまり周り気にしないからか、そんなに変わったと感じる事はないかな。」


「ふぅ~~ん、そっか。」


輝夜は個人差もあるのかな、程度に想ってそう返事をし、片付けをして学校へ行く準備をしに社務所へと戻った。



一人境内に残された満流は狛犬たちに向かって視線を送る。


「お前たちだろ?輝夜が気にしてることは…………。」


だが、相手は石造で出来た狛犬。話を返すこともない。では満流は一体、誰に向かて話かけているのだろうか…………。



そうこうしているうちに輝夜が「お待たせっ!」と言って戻ってきた。


「さあ、学校へ急ごうか。」


二人は境内をあとにした。



静まる境内に風が通り抜け、葉っぱがヒラリと一枚、狛犬の石造の前に落ちた。



〝ナア…………。アレ、アイツニバレテルゾ?〟


〝アンタガ ジロジロト ミルカラデショ?〟


話声が聞こえるのにそこには誰もいない…………。姿が見えないそれは新たな敵なのか?





青葉学園で輝夜はお昼を迎えた。

学食へと向かう途中で久しぶりに結城の姿を見かけたのだ。


彼女は笑っていた。どうやらあのあと、白川真紀と仲直りしたようで、彼女を中心に数人の女の子たちが笑いながら歩いていた。その姿を見て輝夜はホッとした。


〝そうだね…………。ちゃんと相手に誠意を持って接していたら絆は守られるのね。〟



輝夜は人の心の強さを彼女たちを見て感じていた。




そしてその夜、満流と二人、部活帰りにあの公園のそばを通るとまたあのサラリーマンがいた。


「アイツ…………!」


真っ先に反応したのは満流だった。


「まさか、また悪鬼に?」


「残念ながらそのようだな。ほら、」


満流がそう言って男を指さすと足元の影が揺らいだ。そしてどうやら影の方も輝夜たちに気付いたようでいきなり大きく揺らいで巨大化しだした!


驚いたのは本人で、すぐに気を失ったようだが、影はその男から離れて輝夜たちに向かってやってくる!


「結界展開!」そう言って輝夜は両手の平から赤い炎を出してこの公園の空間を包みこんで結界を張った。


「やるじゃん!」


満流がそう言うと


「まだまだこれからよ!」


そう言って輝夜は神刀、影切を召喚しようとする。その間も悪鬼は二人にその鋭い爪を容赦なく振りかざしてくる!その攻撃を避けながら、満流は影から輝夜を守るように霊札を取りだして影目掛けて動きを止めるために札を放つ!


──────────ド・ド・ドッツ………!!!


満流の放った札が全て影に刺さり、影は身動きが封じられた。輝夜はまだ影切刀を召喚中だ。


〝急げ、輝夜!〟満流は心の中でそう呟いた。


「神刀、影切り!召喚ーっ!」


今度は左の手の平から青白い炎が〝ボウッ〟と出てその中から影切刀が現れた!


その姿はいつ見ても神々しい…………。〝綺麗だな…。〟満流は輝夜に見惚れていると今度は凛々しく悪鬼に立ち向かう。



「さあ、覚悟しなさい!悪鬼っ!────断つ‼」



そう言って輝夜は悪鬼の影に思いっきり影切刀を突き刺した!瞬間!影切刀を通して輝夜の霊力が流れる!


〝ウォォォォォォォォォ‼〟


悪鬼は悲痛な叫びを残しながら昇天し、光の粒となっり、またもやカードが舞い落ちてきた。


手にしたのは満流だ。


「……………ルークだ。」


「ルークって意味は…。」


「確か、塔とか城とか、だよな?コイツとは何か無縁そうだな。ハハ。」


満流の言葉を聞きながら輝夜はサラリーマンを見ていた。



「こんな…………。二度も悪鬼に取り憑かれるなんて…………。」


「結局、そいつの意思が弱いんだろ?前にあったことを理解していないから…………。」


「そうかもね。起きるまで待ってて教えるべき?」


輝夜が満流にそう問うと


「んー、俺たちには関係ないからいいんじゃないか?コイツ自身で解決しなきゃだし…………。」


「それもそうね。」



そう言って二人の結論としては関わらないことに決めた。そして男が目を覚ます前にその場を離れることにした。



二人で夜月神社の境内に戻ってきてカードの話をしていた。そばには狛犬たちの石造がある。


「今、手元にあるのは確か…………。」


ナイト1つ、ポーン2つ、ビショップも2つ、そしてルークが1つ。



「これだけじゃ、何を意味するかわかんねぇな。」


「……………。」


二人が黙っていると突然狛犬たちが光った。



「え…?」


輝夜はもちろんのこと、満流もびっくりしていた。光は徐々に境内内を明るく照らすように眩い光を放った。

そしてその眩しい光が落ちついたと思うとそこには小さな子供が二人いた。


更に二人は「え…?」となって固まっていた。




固まる二人に対して、子供がしびれをきらしたかのように二人に声をかけてきた。


「あー、驚いた?僕はケン、こっちは…………。」


「アタシはダナよ。」


小さな子供たちが自己紹介をしているが、さっきまでそんな子供の気配はもちろんのこと、いなかったのだ。


まだ驚いて言葉を無くしている二人に対して子供たち二人は笑い出した。



「もう、輝夜!まだ気付かないの?これだけ霊力が高くなったってのに?!」


と言った。


「え…今、輝夜って言った?それに霊力の事も知ってる…!」


すると満流がポツリと言った。


「駒か…。」



輝夜は驚いて満流の方を見た。


「当ったり~~~~!」


目の前の子供二人は楽しそうにそう言った。



「え。駒って…。まさかアノ狛犬ぅ~~?!」


「あはは!そうだって、さっきから言ってるよ、輝夜。」


輝夜は驚きっぱなしだ。しかし、満流は気付いていたようだ。ちょっと悔しい輝夜。



「満流はいつ、気付いたの?」


「んー、今朝?」


「は?あんた霊力とか変化ないって言ってたじゃないっ!」


「ないよ?前から、何~~~か、コイツらから感じてたんだよな。」


「信じられない!」


輝夜は自分だけが気付かなかったことにちょっと面白くなくて拗ねていた。だが、満流はそんなことはお構いなしに輝夜に提案をする。


「それよりもコイツらからちょっと話聞こうぜ?あるんだろ?俺たちに話することが、な?駒たち。」


満流の顔は少し冷たく駒たちを見ていた。



「ああ……………。僕たちが知ってる事を話すよ。」


そう駒が言うと満流は満足気に笑った。




駒たちの話を要約すると


どうやら輝夜には7つの封印を解く必要があるらしい。駒たちの封印解除まで、4つの封印が既に解けたというのだ。つまり、輝夜自身の記憶を取り戻すことと、同時に満流の記憶もその封印だったというのだ。そしてあとの封印についてはまだわからない。

また、カードについては今の所、黒いチェスカードばかりが揃っているので黒のみを集めよという。


「集めたらどうなるの?」


「多分、最後の7つの封印が解かれるんだと思う。それが解かれない限り、悪鬼を殲滅させることは不可能なんだ。つまり、最後の1体を封印することで次世代へと引き継ぐことになりそうだ。」


「……………と、いうことは私の母は封印を解く事が出来ずに悪鬼を殲滅させられなくて封印をせざるを得なかったということね。」


「ああ、封印には命を代償にする封印もあるんだ。だからそれまでに7つの封印を解いた方がいい。」


「今は4つ解けていて、あと3つ解けばいいのね。」


輝夜の目に力が宿った。多分、使命感というやつだろう。


「俺もいること、忘れんなよ?」


「もちろん!」


輝夜は満流という大きな心の支えを借りながら悪鬼に立ち向かう決意を新たにした。



そんは二人を見守る狛犬たち、ケンとダナは真剣な表情の裏に悲しみを抱えていた。だが、それは輝夜たちには見えていなかった。


「今日は満月なのね……………。」


輝夜が澄んだ空気の夜空を見上げて言った。


「この綺麗な世界と人々の暮らしを俺たちが絶対に守って見せる!」


満流がそう言うと輝夜は静かに、そして強く頷いた。





ご覧下さりありがとうございます。お話が少し展開してきました。輝夜たちが向かう目標も少し見えてきました。この先もお楽しみに!

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