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【完結】刻の檻刀シリーズ①偽りのチェックメイト-チェスのカードが導く断罪の儀-  作者: 慧依琉:えいる


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第7話:不倫の結末…………。




それから数日後、輝夜は放課後に青葉保育園に寄っていた。いつもなら「かぐやおねーちゃん!」と言って真っ先に飛んでくるあかりちゃんの姿がない。輝夜はあかりちゃんの母親と担任が不倫をしている現場を目撃した手前、会うのに少し不安があったので、あかりちゃんの元気な姿が見えないのは少し残念でもあり、ホッしたような気もした。



それから間もなくしてあかりちゃんはまた再び元気に登園していた。


「かぐやおねーちゃん!」


輝夜の姿を見たあかりがすっ飛んできたのだ。〝かわいい!〟輝夜はニッコリ笑った。


「あなたが輝夜さんですか?あかりがいつもあなたを待っていました。」


そう声を掛けたのは知らない男性だった。輝夜がキョトンとしていたため、男性が名前を名乗った。


「私、あかりの父です。」


輝夜はびっくりした!今まで園に迎えに来たのを見た事がなかったことと、あの不倫騒動のあとだったからだ。


「あ、いつもあかりちゃんの笑顔に癒されてます。」


輝夜は咄嗟にそのように自己紹介をした。あかりの父と名乗るその男性は笑っていた。


「それは良かった。あかりも同じことを言ってましたよ。」


「そうですか。良かった。」


「実はかなえが出て行ったんです。」


「えっ?!」


「ここだけの話ですが、こちらの担任とちょっと…。それでけじめをつけたんです。」


「あ、そうなんですね。色々と大変だったのでしょうね、それであかりちゃんは…。」


「ええ、担任も母親もいなくなったので落ち込んでね、数日、ここにも行きたくないと言って。それで園に連絡をしたらあなたの事を教えてもらい、あかりにその話をしたら行くと言い出しましてね。」


「あかりちゃんが…。」


輝夜は自分の存在であかりちゃんが救われたのだと聞いて嬉しかった。


「これからは私が送迎しますが、なんせあかりがあなたを頼っておりまして、私も慣れるまであかりの事を少しお願いしても?」


「あ、はい。ここに来てる時でよろしければ…。」


「すみません、これで安心してあかりと共に再スタートを切れます。」


そう言ってあかりの父親ははにかんだ笑顔を見せた。その後、あかりを連れて輝夜にお辞儀をして帰って行った。そして輝夜も家に帰ることにした。トボトボと歩きながら輝夜は今回の事を通して考えていた。



〝結局…子供じゃなくて男を取るんだ……………。そうだよね、じゃなきゃ不倫なんてしないよね。だけど、あんな素敵な旦那様がいるのに不倫なんて……………。〟


輝夜の心は曇っていた。何の関係もないあかりちゃんを悲しませたという事実が同じ女として許せなかった。だが、輝夜がどんなに怒ったところでもうその対象はいないのだ。


〝私が将来、誰かと結婚して子供を設ける事になったら絶対に可愛がってあげるんだから!〟


そう心に誓った時、なぜかふと、満流の顔が浮かんだ。


「え…。」


輝夜の顔は〝ボッ〟と赤くなった。


〝な…………んで満流の顔が浮かぶのよ?もうっ!〟と自分の頭の上を手の平で払う仕草をしていた。


そんな時、後ろから〝ポン!〟と軽く頭を叩かれた。こんな事をする奴は一人しかいない。今さっき頭に浮かんだアイツだ。


「もうっ、満流!」


そう言って輝夜は振り向いた。しかしそこにいたのは満流ではなかった。




「あ、すみません!」


そう言ったのは真鍋元先生だった。何やら持っていた荷物がちょうど輝夜の頭に軽く当たったようだ。


「あ…、真鍋先生?」


「君は…。よく園に遊びに来ていた輝夜さんか…、」


「……………はい。」


そう言葉を交わしはしたが、とても気まずい。この男とあかりの母親との不倫現場を目撃していたからだ。


「ハハハ…、その様子だと、何か聞いたんだね。否定はしないよ。こういう職業だからあってはいけない事なのにね。」


「いえ…。」


輝夜は何て返事をしたらいいのか正直迷った。



「いいんだ。最初は向こうからのアプローチがすごくてね、ふらっと気持ちが傾いたと思ったら本気になってしまったんだよ。僕は大人だからね、ちゃんと代償を払うよ。君も、大人になるときっとわかるよ。じゃあ、」



真鍋は自分の言いたい事だけ言って輝夜の前から去って行った。その後ろ姿は夕日の逆行でよく見えなかったが、ユラリと影が揺らいだように思えた。


〝ん…、また?〟



輝夜は少し不安になりながらも前回の事があったので真鍋の後をつけることにした。


〝何もなければいいけど、これってまた満流がいないじゃん!〟


輝夜の中で不安が過った。


〝こうして満流と別行動をしてる時に限って出くわすなんてどうかしてる。だけどいつも満流と一緒だなんて決まってないんだし…、いい加減慣れないといけないのかな〟


そう考えながら真鍋への尾行は続いていた。



真鍋は二駅ほど電車に揺れながら少し田舎の方へとやってきた。


〝どこに行くのだろう…。〟輝夜はそう思いながらずっと後をつけている。


すると真鍋は小高い丘に登って行った。その先には墓地があった。真鍋は持っていた荷物を和尚様に少し預かってもらえるようにお願いして、誰かのお墓にお参りをしていた。


〝誰なんだろう…。真鍋の親?とか…。あ、こっちに来る…。〟輝夜は慌てて隠れる。


「もうあれから10年か…。あいつへの思いを裏切って、俺は一体、何をしてるんだか…。」


真鍋がふと、そう言葉を漏らしながら歩いていた。輝夜は隠れながらその言葉を聞いて、


〝あいつとは?裏切ったというには、多分不倫のことだから…昔の彼女か何かかしら………。〟


そう考えて真鍋を見ていると、前から信じられない人物が歩いてきた。


〝え?〟


その人物は真鍋に何かを話しかけている。真鍋はその人物に対して何やらぺこぺこしている様子だ。そしてその人物から慌ててその場を離れようとしていた。


その人物が輝夜に気付いて近付いてくる。



「よっ!」


「満流!?」


「お前また、何か危ない事をしようとしてただろ?」


「何でここが…。」



そう言う輝夜に満流はジッと見たあと、ため息をついて


「忘れたの?ここ、俺のいとこん家!そしてさっきの男はおれのいとこのおじさん!」


「え、え~~~~~~~っ!」


輝夜は思わず大きな声を出しそうになったが、満流が輝夜の口を手で覆ったのでそこで輝夜の驚いた悲鳴は止まった。



「おじさんさぁ、不倫してたから輝夜がよく行ってた保育園も辞めて、離婚もして今、最悪なんだよ。」


「う…ん。え、でもこの前、満流、何も言ってなかったよね?おじさんだって。」


「んあ?あの夜の公園での事か?暗くて男の顔がわからなかったのさ。だけどそのあとで親戚で集まってわかったんだ。」


満流はそう言って輝夜に説明した。輝夜はそれで何となく納得したようだった。そして


「あのさ、真鍋…、あんたのおじさん、影が揺らいだんだ。」


「ああ、それでお前追っかけてたんだな。よし、俺も一緒に追うよ。」


「親戚なのに、大丈夫なの?」


「何言ってんだ?もし悪鬼に囚われてるなら開放してやらなきゃだろ!?」


満流のその言葉を聞いて輝夜はニッコリ笑った。


「そうだね、」





すぐに真鍋に追いついた二人。カン、カン、カン、カン…。踏切で真鍋は立ち止まっていた。電車が近づいてくる…。その時、足元の影が揺らいだ。


〝アソコニ イケバ ラクニ ナレルノダ…。〟


その声に誘導されるように真鍋の足はふらつきながら止まっていなければならない所から足を一歩進めようとしていた。


「ダメだっ!」


とっさに満流が真鍋に抱き着いて前に進もうとしていたのを止めた。足元に憑依している悪鬼はそれに反応して大きくゆらぎ、真鍋の影が巨大化していった!



「ダメっ!」輝夜が叫ぶ!ここは人通りこそ少ないが、街中であったからだ。まもなく電車もくる!


そう輝夜が言葉を発した時、〝ボッツ!〟と勢いよく赤い炎が立ち上がって輝夜たちがいる空間に円を描くように炎が舞い、結界を張った。


それを見て満流も安心し、すぐさま足元の影に霊札を放った!


「おじさん!今すぐ救ってあげるから!」



影はそれ以上に揺らぐことが出来ず、動きが鈍くなった。



「輝夜っ!今だ!」


満流の声と共に輝夜は神刀「影切」を召喚する!



「出でよ!神刀、────影切!」


今度は青白い炎が輝夜の左手から発せられ、その中から輝きを放ちながら影切刀が現れた!



輝夜は刀を構えて


「悪鬼っ!────断つ!」


そう言って思いっきり真鍋の足元の影に影切刀を突き刺した!その瞬間、同時に輝夜の霊力が影切を通して悪鬼に流れていく!



〝ぐぅぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ………………………っ!〟


悪鬼は苦痛な悲鳴を上げながら消滅した。



「ふぅ、」輝夜は何とか退治したことに安堵し、ハラリと舞い降りてきたカードを手に取った。


「………………………またビショップ?」


輝夜はカードを見て首をかしげた。


「皮肉だな…。おじさん、本当ならこの寺の跡取りだったんだよな。」


「え…?」


「だああっ!10年前におじさんの奥さんが病で亡くなって、ここには思い出が多すぎるてんで、外出てってさ、子供たちの相手をするためにあの保育園に就職してたんだとさ。」


「そこであありちゃんのお母さんと……………。」


「ああ、おじさんはそれなりに悩んでたってことだな。ま、このカードはある意味、的を得てるんじゃないの?」


「ハハっ、」


「ま、俺たちには何も出来やしないんだし、おじさんが目を覚ますまでにここを離れよう。」


そう言って満流は真鍋を安全な場所まで運んだ。


そして輝夜も結界を解き、いつもの姿に戻っていた。



「大人の恋って…難しいのかな…………。」


満流がポツリと呟いた。



「んー、私達はまだ子供の域を出ていないけど、大人も子供も関係ないんじゃないの?相手を思いやる心がその中心になるわけなんだから…………。」


輝夜がそう言うと満流は何だかホッとしたような顔をしていた。





ご覧下さりありがとうございます。今回は満流と真鍋の意外な接点が明かされました。悪鬼たちを退治する度に現れるカードたちは一体何を意味しているのでしょうか…………。

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