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【完結】偽りのチェックメイト-チェスのカードが導く断罪の儀-  作者: 慧依琉:えいる


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第2話:浮気の代償。離婚は正義か悪か?!教師英恵の場合



チュンチュンチュン…

今日も爽やかな朝を迎えた夜月神社。変わらず毎日通い続けている幸恵。


〝私には何もしてあげられないのが悔しいわ。〟


輝夜(かぐや)は幸恵の気持ちも痛い程理解しているから他人事には思えなかったのだ。



輝夜は先日の悪鬼との遭遇により、本当の記憶を取り戻した。輝夜の母は正鬼(しょうき)。この世界で鬼一族は正鬼と悪鬼(あっき)に分かれている。正鬼は悪鬼を退治するために紡がれた一族なのだ。この正鬼一族は代々女性が一族の長を受け、悪鬼を退治する能力をも引き継ぐのだった。

その悪鬼との闘いで輝夜の母は自分の生命をかけて最後の悪鬼を封印したという記憶を取り戻したのだった。


輝夜自身も母を亡くしている。

ずっと輝夜の母は病で亡くなったと思っていた。が、実際は違ったのだ。こうして平然を装っているが、輝夜はその事実を思い出したことで夜は一人で母への想いに泣いているのだった。


──────────お母さん……………。




輝夜は泣きそうな気持になるのをグッと堪えていつものように過ごしたいた。







ここは輝夜と満流(みつる)が通う青葉学園高等部。

2年の輝夜は満流とはクラスが離れていた。輝夜は窓際の席に座って授業を受けていた。数学の授業中、ふと校庭を眺めていると、どこかのクラスが体育の授業をしているようだ。そんな中、満流を発見した。どうやらそのクラスは満流がいるクラスだったようだ。


〝満流、発見。ふふ。何ですぐに見つけちゃうんだろうな…。〟


そう思って眺めていると満流がこっちを見た。


〝え?気付いたの?偶然?〟


満流は輝夜が外を見ているのに気付いて〝ニッ〟と笑って小さく手を振った。



〝気付いてる…。〟


輝夜も同じようにして手を振り返した。そして昨日の出来事を思い出していた。


〝満流も悪鬼を退治する私たちの一族の仲間だったとは…。私が昨日思い出したのは危機的状況になったからだけど、私がそういう状況にならなかったら?今まで悪鬼たちはそのまま放置されてきたってこと?私はどうしてお母さんのこともその事実も忘れていたんだろう……………。記憶を失くしたとか、障害的なことなら、満流と出会った時のこととか、小さい頃の事も忘れてるはず!だけど、忘れたのはお母さんと悪鬼たちのことだわ。……………つまり、わざと忘れさせられていた?封印…されていたってことか。〟


輝夜は真剣に考えていた。真剣に考えていたからこそ、ずっと校庭を睨みつけていた。


「……………さん、……………さん。…夜月(よつき)さん‼」


輝夜はその声にビクッとした。


〝……………。あ、授業中だった。〟


そう、すっかりその事を忘れていたのだった。



「珍しいわね、あなたが上の空ってことは。」


「はい…すみません。」


担当教諭はため息をついた。


「体調でも悪いの?」


「いえ…そんなことは…。」


「そう。ならいいわ。次はなしよ?わかった?」


「はい。すみませんでした。」


数学教師の山本英恵(はなえ:46歳)は普段キチンと授業を聞いているからと大目に見ることにした。



リ――ンゴ――ン。リ――ンゴ――ン。



その時、丁度授業終了の鐘が鳴った。


「じゃあ、今日の授業はここまでね。」



生徒たちはざわめき出した。昼休憩になったからだ。


「か~ぐやっ。」


そう言って近付いてきたのは輝夜の友達の稲森燈あかりだ。お弁当を持って輝夜の席にやってきた。


「燈、今日も自分で作ってきたの?」


「うん、そうだよ。私料理するのが好きなんだもん。」


そう微笑んで燈がお弁当箱を開ける。輝夜はその可愛らしいお弁当を見て


「うわぁ~!可愛くて美味しそう!」


「でしょ~~!今日はまた一段と頑張ったんだから!ふふ。」


輝夜に褒めてもらってとても嬉しそうにする。



「さては、彼氏にもそのお弁当を?」


「バレてる?」


「うん。」


「やっぱり。」


そう言って二人は微笑ましくお弁当タイムを楽しんでいた。こうしていると普通の17歳の女の子そのものなのだ。






その頃、数学教師の山本英恵は浮かない顔をしながら職員室でお弁当を広げていた。


〝あのひと、昨日もスーツから香水の匂いがしていたわ。もう隠すつもりはないのかしら…。今日こそ問い詰めてやるわ。〟


英恵は決心した。そんな英恵の影がユラっと一瞬、揺らめいた。





そしてその日の夜、英恵は家で洗い物をしていた。



「お~~~~~い、帰ったぞ。」


英恵の夫、和樹(52歳)。そこそこ大きな会社の営業マンだ。今日も会社の飲みの付き合いで遅くなったのだ。


「お帰りなさい。今日はちゃんと飲み会だったようですね。」


ムッとした顔で夫を迎える英恵。その口調に和樹はイラッとしたようで


「ちゃんとってなんだ?俺はいつも会社の飲み会でだな…。」


そう言った和樹に英恵は昨日のスーツを差し出した。



「じゃあ、これは何?香水の匂いがすごいんだけど?会社の飲み会じゃあ、こんなにキツイ香水の匂いなんてつかないでしょ?!」


和樹の顔にスーツのジャケットを押し付ける。


「な、なにが言いたいんだ?!」


「浮気するなんて最低!それに私の職業も考えて欲しいわ!子供たち相手なのよ?夫がそんな非道徳的な事をしてるなんて知られでもしたら……………‼」


「ハッ!浮気の一つや二つ、男の甲斐性ってもんだ。ケチ臭いとこ言うな!そんなだから浮気されるんだ!」


「……………‼ 開き直るんですか!我慢ならないわ!少し、出てきます!」


そう言って英恵は財布と携帯を入れたバックを持って家を飛び出した。



飛び出したまではよかったものの、どこに行くか、までは考えていなかった英恵。何となくトボトボと歩いていると〝夜月神社(よつきじんじゃ)〟の案内板があった。


〝────夜月神社?あぁ………、夜月さんとこの…。生徒の所を頼るなんて恥ずかしいわね。〟


そう思って引き返そうとした時、


「山本先生?どうしたんですか?」


塾帰りの輝夜と満流に呼び止められた。



英恵は戸惑った。


「先生、何かお困り事でもあるんじゃないですか?」


「……………。いえ、何でもないわ。」


そう答える英恵に対して、どこからか聞こえてくる声……………。



〝ナンダ?ナンデモナイコト ナイダロウ…?アンタガ アイツノコトヲ ダマッテ ユルセバ ナニモ モンダイ ナイダロ?〟



「問題なんてっ!大ありだわ!浮気なんて許せない!だけど、教師であるから離婚も出来ない、こんなのみじめすぎるわ…‼ それに生徒たちの信頼が失われてしまうかもしれない…‼」


そう英恵が叫んだ時、英恵の影が大きく揺らめいて巨大化した!



「──────────悪鬼っ‼ 」


瞬時に輝夜と満流は英恵から距離を取った。

肝心の英恵は呆然としていて悪鬼の存在が目に入っていなかった。



「輝夜っ!先生のこと、気になるけど、先にコイツを始末しないと!」


満流が言った。



「ええ、わかってるわ!行くわよ、満流!」


「オッケー!────ウリャッツ‼ 」


満流は掛け声と共に霊札を影に向かって放つ!そして


「今だ!行けっ、輝夜!」


「任せて!神刀影切!召喚!」


そう言って自身の手の平から神刀を取り出す。強い光を放ちながら刀が現れた。



〝ソノ カタナ…!オマエハ ショウキノモノカ…‼ 〟


「あんたに名乗るものはない!悪鬼っ!────断つ‼ 」


そう言い放ち、悪鬼の影に影切刀を突き刺した!


〝ウォォォォォォォォッ‼〟


悪鬼は大きなうめき声を出して夜の闇間に消滅した。




「ふぅ、終わったわ。」


「お疲れ!」


ニコっとする輝夜。そしてまたもや二人の間に一枚のカードが舞い落ちてきた。満流が手に取ってカードを見ると


「これは…。ボーンだ。」


「……………?何?チェスの駒?この前のといい、やっぱり何か意味があるのかもしれないわね。」


「ああ、これもお前が持っててくれ。」


「うん、わかった。」


二人はそんな会話をしてそのあとすぐに先生の元に駆け付ける。




「先生、先生!しっかり。大丈夫ですか?」


「あぁ………。夜月さん…。気を失っていたのね、ごめんなさい。」


「いいえ、先生。先生の心の叫び、聞きました。私たち生徒は先生が幸せでいて欲しいです。自分が辛いのを我慢してもらいたくないです。私たちはちゃんと先生のこと、見てます。だから先生に対して失望なんてしません。」


輝夜は英恵に向かってそう叫ぶように気持ちをぶつけていた。そんな輝夜の姿を見て英恵は少しホッとしたような表情を見せた。


「夜月さん…。」


「俺も同じ意見だよ、先生。」


ひょこっと横から現れた満流がそういうと英恵は弱々しくほほ笑んだ。


「そう……………。そうなのね、ありがとう。ありがとう。」


そして涙した。



「わっ、先生。泣かないで!」


慌てふためく満流を見て輝夜の口元はこっそりと口角が上がっていた。




そしてその夜、英恵は輝夜の社務所で一晩お世話になった。

輝夜は先生に一緒に寝ようと誘って寝付くまでずっと先生の話を聞いていた。


「先生、そんなに酷い旦那さん。もう要らないんじゃない?先生が離婚したからって、私たちには何も影響ないですよ?それに先生、知ってました?体育教師の丸山先生は先生の事好きなんじゃないかって結構有名な噂があるんですよ?旦那さんと別れてもまた新しい縁があるかもしれませんよ?」


「あら、いやだわ……………。丸山先生が…。」


「ふふ、先生。顔が赤くなってる!」


「もう、夜月さん!」


そうして夜月神社の夜が更けていった。






翌日、先生はとても穏やかなスッキリとした顔で学校に来ていた。授業もいつもよりも元気だ。

そんな日々が数日続いたある日のこと。授業終わりに


「皆さんにお伝えしておきますね。私はこの度夫と離婚しました。名前は山本から田中に変わりますので改めてよろしくお願いします。」



「……………‼ 」


クラスが騒がしくなった。「どうして?」「何があった?」とか、「じゃあ、丸山先生チャンスじゃん」という声まで様々だった。

英恵は輝夜の方を見て静かに頷いた。そして輝夜もそんな英恵を見て静かにほほ笑んだ。


〝頑張ったんだね、先生。これからいい縁が廻ってきますように!〟


そう願いを込める輝夜だった。






ご覧下さりありがとうございます。前作や前々作もそれなりに登場人物が多かったですが、今作は1話完結型の上、学園ものでもあるため、登場人物が半端なく多くなりそうです。

また、過去に出て来た人物も再度出る可能性もあるため、ノートへの書き取りが必須です。


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