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【完結】偽りのチェックメイト-チェスのカードが導く断罪の儀-  作者: 慧依琉:えいる


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第18話:戻ってきた日常!「俺たちだから!」幼馴染二人の恋は始まったばかり…



二人は暫くその空間の中で彷徨い続けた。歩いても歩いても果てしなく続く何もない空間。不思議ととてつもなく長く歩いているのに疲れないし、お腹も空かない。魂だけの世界なのか?それとも……………。二人はそんな事はどうだっていいと思っていた。ただ、元に戻るために何か手がかりはないのかと、そう思いながら彷徨っていたのだ。




それが突如としてチェス盤のような世界へと足を踏み入れていたのだった。




「……………なっ!」




驚く二人。




「さっきまで何もなかったのに、この見覚えのある物たちは……………!?」




輝夜と満流が立っていたのはチェス盤の中だった。そして二人が着ていた服も変わっており、白い衣装を身に纏っていた。巫女服の白いバージョンだ。満流は神官用の白衣だった。




「どうして……………。」




驚く二人の前に巨人が現れた。






咄嗟に身構える二人。しかし目の前の巨人はまるで神のごとく美しい存在だった。




その存在から二人に声が届けられた。






「よくきた。白のキングとクイーンよ。お前たちは自らの命を懸けて偉業を成し遂げた。お前たちの元にいた世界に戻るにはここを通らねばならない。そしてお前たちの身に起こった全てをここで見て思い出さねばならない。私はお前たちの世界で言う〝創造主〟だ。」




「白のキングと……………」




「クイーン……………。」




輝夜と満流が二人揃ってその言葉に反応した。






「俺が…白のキング?」




満流がそう言うと創造主が語り始めた。




まず、封印解除について。解除方法は黒のキングが目覚めて白のクイーンを殺すこと。そして白のクイーンが黒のキングを殺すことで白のクイーンの封印が解ける。という二重の解除方法が必要だった。意図せずその通りとなった二人は驚いていた。




そして黒のクイーンはやはり輝夜の母だった。輝夜の母も輝夜と本来同じ路を辿るべきだったのだが、それが成し遂げられずに散ってしまったのだ。正鬼の一族の姫に課せられた運命。そして一代毎に白と黒が入れ替わる…。だから狛犬たちは白と黒なのだということ。互いを傷つけないようになっているのだということだった。




輝夜を単独で狙った悪鬼は黒のキングが白のクイーンを殺すために暗躍したせいだった。その時の満流の記憶は残っていない。それは満流自身がまだ目覚めて間もなく、霊力が未熟だったからだ。本物のナイトである悠一が現れて満流の霊力も触発されてそのせいで黒のキングが慎重に行動したために半年近く静かだったということだった。




「ごめん、輝夜。あの時も俺、操られてお前を狙ってただなんて…。」




「仕方ないじゃない、記憶がないんだもの。それにもう過ぎたことだし?結果オーライだわ。」




そして創造主が言うには、白のキングとのキスで白のクイーンの力が跳ね上がるというのだ。




その話を聞いて、二人はすっかり忘れていたが、あの死の間際のキスを思い出した!








「み、満流…。操られてたのに覚えてるの?」




「あ…ああ、なんとなく…。」




二人はお互いに照れ合っていたが、創造主が話を続けた。満流が幼い頃に迷子になった時のことだった。どうやらあの時、満流は黒のキングと出会っていたようだ。満流自身、白のキングとしての記憶がまだ目覚めていなかったために、黒のキングが満流に取り憑いて上手く利用するために悪鬼も共に満流に憑かせたということだった。




「だから満流じゃないって、幼い頃の私は言ったのね…。」




「きっとそのあと黒のキングがお前を洗脳したか何かしたんだろう…。」




それから元の世界に戻ると悠一は黒のナイトであるため、離れるのがベストだと言われたが、輝夜と満流は今まで共に戦ってきたのだからということで一緒にいることを選択した。創造主も二人が手に入れたキングとクイーンのカードを持っている限り、危険に遭うことはないだろうと判断した。




「さあ、これでもう質問はないか?」




創造主が尋ねた。




「最後に一つ、……………もう、悪鬼は殲滅したのですか?」




創造主は静かに頷いた。




「ではもう戦う必要はない?」




「それは私にもわからぬ。新しい闇が誕生したらその時は君たちの手で光に変えてくれ。」




「じゃあ、正鬼の一族はこれからどうなるの?」




「みな、普通の人間になっていくだろう。ただ、君の子供、長子が君と同じ使命を引き継いでいくことにはなるだろうが……………。」




輝夜はフッと笑った。




「だったら、変わらないじゃない。」




「そうだな、何があっても俺はお前を護るし、お前は自分が思うようにやればいい。」




満流は輝夜をまっすぐに見てそう言って、続けて創造主に向かって問う。






「そういう事ですね、創造主さま。」




「どうやらそのようだな。またここに来ることがないように願っておるぞ。」




創造主が二人に告げて二人が行くべき先へ道筋を照らした。白い光はチェスボードの上にポッ、ポッ、ポッ……………と二人の歩むべき道を照らす。






輝夜と満流は二人で顔を見合わせて手を取り合ってその先へと駆けて行った。二人とも後ろを振り向かずに……………。














輝夜たちが消えてから悠一を始めとする皆は、無力だった自分たちを責めて脱力感でその場から動けずにいた。


まだ輝夜たちが消えてから1時間も経っていなかった。






すると突然、輝夜たちが消えたその場所がふいに青白く光りだした。その様子に悠一も狛犬たちも気付いて慌ててその場をジッと見た。




するとその光の中から輝夜と満流が揃って現れたのだ!




「輝夜さん!満流!」




悠一はそう言いながら二人に駆け寄った。




「無事だったんですね!よかった!」




「心配かけてごめんなさい。悠一くん。」




「すまない、悠一。ちゃんと解決したから。」




悠一はスッと真面目な顔になり二人に尋ねた。








「ちゃんと解決したということは……………?」




輝夜と満流は互いに顔を見合わせてニッコリ笑ってから頷いてこれまでのことを話した。










「なんと!あの時の状況が二人の封印を解くカギだったとは!」




一番驚いていたのは悠一だった。導きのナイトと自負していた自分が、封印解除のための誘導が出来なかったことを悔やんでいた。




そして二人が白のキングとクイーンだということは、自分は黒のナイトだから二人のそばにはいられないと思ったのだろう。




「そうですか…。二人が白のキングとクイーンだから僕は導けなかったのですね……………。明日、ここから出て行きます。……………今までお世話になりました。」




悠一は突然そう言った。






「それは家に帰るという意味?私達の目の前から消えようってわけじゃないでしょうね?」




輝夜は悠一が二人の前から消えようと考えているのではないかと不安になったので悠一に尋ねた。






「正直、少し悩みました。お二人と共にした時間はとても楽しくて、それを僕は手放すのが辛いということ。だけど僕は黒のナイトだからこのまま一緒にいてもお二人の邪魔になるのではと思うと……………。」




悠一がそう言うと満流が口を出してきた。




「何を今更……………。輝夜を護るんだって意気込んでいたのは誰だっけ?!白も黒も関係ねえよ!」




「満流…。」




「ここを出てもまた学校でつるもうぜ?俺たち、もう友達だろ?」




満流は悠一にそう言った。




悠一は涙が出そうになるのをこらえて




「そうだね、君にはまだ僕が必要なみたいだし?僕も君が必要だしね!」




そう言って笑った。






二人の友情を目のあたりにした輝夜はちょっぴり羨ましかった。




そして東の空が薄っすらと明るくなってきていた。






「あ!ちょっと……………。私達、みんな寝てないのにもう朝になっちゃったわ!」




「ああ、本当だ!」




そう言ってみんなで大笑いした。






ふと見上げた桜の木には蕾がついていた。




────もう春だものね。








そして皆で境内を掃除して学校へと向かう。






また平凡な日々が戻ってきた。






だが、違うのは輝夜と満流の二人の距離感だった。












「なあ、輝夜。お前、俺のこと好きだったって言ってたよな?」




唐突に満流が言い出した。






「は?いつの話してるのよ?」




輝夜は恥ずかしくなった。あの時は必死だったけど、こんな平和な日常でその時の話を持ち出されても恥ずかしいだけだった。




「なあ、あれってなんで過去形なんだ?」




「……………。鈍感!死に際だったからよ!」




「じゃあ、今は?」




満流の容赦ない追及に輝夜は




「────知らないっ!」と言って逃げる。






満流はそのまま輝夜を追いかけて




「待てよ、輝夜!」




だが、恥ずかしくて待てない輝夜。






「待てってば!」




とうとう満流に追いつかれて手を掴まれた!






「もうっ、満流はやっぱり部活やってるだけあって走るの早いね!」




捕まった輝夜が文句を言うのか何を言うのかと思っていたのでこの言葉には満流は驚いて、輝夜らしいな、と思って思わず噴き出した。




「ふはは!そこ?!」




「褒めてるんだからね!」




そう言った輝夜は顔が真っ赤だった。






「うん、知ってる。輝夜の事は幼い頃から全部知ってる。」




「全部?」




「うん、今の輝夜の気持ちも…。」




そう言って満流は優しく輝夜に触れてそっと顔を近づけてきた。


輝夜はビックリしたが、そのまま目を閉じた。






二人の胸のドキドキが重なっていくのがわかった。






「好きだ。輝夜。ずっと……………。小さい頃からずっとお前だけを見てきた。」




「うん…。私も、気付いたのは最近だけど…。満流が好き。」




「うん。お前だけが大好きだ!」






満流は輝夜をぎゅっと抱きしめて




「ずっとずっと離さないよ。これからもずっとお前のすぐそばでお前を護る!俺がキングだからじゃないし、お前がクイーンだからじゃない。俺たちだからだ。」




そう輝夜に囁いた。






「うん…。ずっと満流として私を護って。」




輝夜はそう返した。








「お前……………。意味わかってて返したのか?」




「え?意味?その言葉のまんまでしょ?」




「…………………………。」




満流は数秒、輝夜をジッと見てから大きくため息をついた。






「はぁ────っ、俺、今プロポーズしたんだけど?」




「え?ええっつ?!」




驚く輝夜だが、満流は顔から耳まで真っ赤に染まっていた。






「私達まだ高校生だよ?」




「そんなの関係ねえ!俺はお前を誰かに取られたくないんだ!あんなにヤキモキ思うのなんて御免だからな!」




あまりにも満流が必死になって言うので輝夜は何だかおかしくなって




「ふふふっ」と笑った。






満流はそんな輝夜の笑顔を見て




「────反則!」




そう一言だけ言って輝夜の唇にキスをした。幼馴染同士の甘い恋はまだまだこれからだ。










土手沿いに植えられている桜が綺麗に咲いて時折花びらが舞っている。


まるで二人の未来を祝福しているかのようにヒラリ、ヒラリと舞っていたのだ。
















────完────












ご覧下さりありがとうございます。また、長らく応援して下さりありがとうございました。今回を持ちましてこちらのお話は完結とさせて頂きます。


輝夜のことだからきっと満流にプロポーズの返事を先延ばしにしてずっと満流をヤキモキさせているのでしょうね。


さて、本当は黒のクイーンは別にいて……………とか考えてた部分もありました。しかしお守りの中にクイーンのカードを折りたたんでというシチュエーションは父から母のお守りを貰う段階で考えておりました。


封印解除の方法も早めの段階で考えていたのですが、どうやってそういう状況に持って行くかが大変でした。ちょっと強引に持っていった感は否めませんが……………。




一応、また続編を書こうと思えば書けるような要素は残しての終了としております。その時はシリーズとして書こうかなと思ってます。




それでは次の新作まで暫くの間、お待ちくださいね。


次はどんなお話を書こうかしら。


1月30日に短編として一つ物語を入れます。

こちらは「シラユリがくれた贈り物~あなたの幸せだけが全て~」のシーリーズで読切としております。

よろしければご覧下さると嬉しいです。


そして2月1日より連載開始を予定しております。



慧依琉(えいる:aile)

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