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【完結】偽りのチェックメイト-チェスのカードが導く断罪の儀-  作者: 慧依琉:えいる


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第16話:明かされていく事実



輝夜の周りに新しく砂山悠一という人物が「ナイト」として仲間入りした。しかし、既にナイトは駒たちと満流で2枠が埋まっているのだ。しかも悠一は満流のことを「ナイト」ではないと言い放つ。しかし、そんな悠一は封印解除するものが何かを知っていた。奇妙な三人の同居生活が始まる。(もちろん、輝夜の父もいますよ)





夜月神社の朝は空気が張り詰めた緊張感が漂う。輝夜はそんな朝の境内が大好きだ。


「まあ、三人で掃除すると流石にあっという間ね!」


関心する輝夜に対して満流は面白くなさそうだし、悠一は初めての経験を楽しんでいる様子だ。




「満流~、そんな不貞腐れてなくて、ご飯食べに行きましょうよ。」


輝夜が声をかけたが満流は違う所を見ていたので、悠一に声をかけて満流を放って行こうとした。しかし、悠一の様子も少しおかしく


「待って…。輝夜さん、あっちの方向、違和感が…。」


そう言って悠一が指さしたのは満流が見つめていた方向だった。



「────チッツ、また侵入者か!」


そう言って満流は見つめていた方向へと走り出した。すかさず悠一もホウキを放り出してそちらの方向へと向かった。



そこは前に破られていた結界の場所だった。一度結界を破られると張り直すようにしないとどうやらその場所だけ補修しても脆いようだ。


そしてその場所に近付くにつれて小学生くらいの男の子ふたりがどうやら迷いこんでいたようだった。輝夜がその子供たちに近付こうとしたので悠一が阻止。


よく見ると二人の影が揺らいでいる。これは影が巨大化する前兆だ!



満流は霊札を取り出して彼等の足元に放つ


しかしまだ悪鬼が巨大化していないので札が刺さらずにその場に落ちてしまった。



「────チッ。」


どうやら悠一が輝夜と共にいるのが満流の冷静さを欠く行動に繋がってしまったようだ。



「焦りは禁物ですよ?」


悠一が満流に声を掛けた。当然、満流にとっては余計な一言だ。満流は苛立ちを覚えた。




その間も子供たちの足元の影が揺らぐ……………。


「……………!」


満流が放った札に触発されたのか、次の瞬間、子供たちの影が大きく揺らいで巨大化していった。



「これからが勝負です!」


そう悠一が言って影の前に立つ。だが、確か悠一はまだ封印が解除されておらず、覚醒していないはず、つまり、ただの人間なのだ。



「駄目っ!悠一くん!」


そう言って輝夜が悠一の前に立ちはだかる!


「輝夜さん!?」


「あなた、まだ覚醒してないんだから、駄目よ!私の勘が言ってる!コイツを倒せば君は覚醒するって!だから待ってて。」


それは悠一自身も感じていたことだった。あと1体、倒せば…。



「満流っ!もう一度、霊札をっ‼」


輝夜がそう叫ぶと


「ああ、わかってる!それ────っ!」


そう言って霊力を込めて巨大化した影の足元へと霊札を投げ放つ!




今度は札がささり、巨大化した悪鬼はその場で動きを固定された。そして今度は輝夜の番だ。


「出でよ!神刀、────影切っ!」


そう言って輝夜の身体に霊力が溢れ、左手の平から影切刀が召喚された!



輝夜はすかさず刀を両手でかまえ、思いっきり影を刺す!


「悪鬼っ!────断つっ!」



〝キエエェェェェェェ……………ッ‼‼〟


悲鳴と共に悪鬼は昇天し、カードが降ってきた。


カードを手に取り、輝夜は「ポーン」と呟いた。あと2枚。



そして悠一の方を見ると思った通りだ!悠一の身体が青白い光に包まれて強く光を放ったあと、悠一の封印が解けてどうやら覚醒したようだ。


「ようやく……………。」


悠一は自身の身体を確かめるように見ていたが、もう1体、残っていた悪鬼の気配を追っていた。どうやら1体だけ巨大化したが、もう1体はその様子を見て巨大化するのをやめて隠れるように戻っていた。



「あぁ…、残念だね。僕は〝導きのナイト〟だから、隠れたって見つけた段階で引きずり出せるんだ。さあ、覚悟してね。」


そう言って悠一はスッと影を指さした。そしてまるでその影をつまむかのような仕草をしてから次に引っ張り出すような仕草をした。


すると!


本当に影がヨタヨタと引っ張り出されてきた────!


これには輝夜も満流も驚いた!



引っ張り出された悪鬼は観念したのか、巨大化しだした。



その時、悠一はというと、空に向かって何やら呟いている。すると空間が歪み、そこから剣が現れた。その剣を取って輝夜のように構えて悪鬼に対して〝スパ────ン〟と切り裂いた!


「なっ……………!」


輝夜も満流も驚いた。悪鬼の影を固定せずにそのまま退治することが出来るということに!


悠一に切られた悪鬼はそのまま、まるで紙をビリビリに細かくちぎったかのように散り散りになって消えてしまった。それらの出来事はほんの一瞬のように思えた。悪鬼が悲鳴すらあげる余裕がないままに消え去ったのだ。


そしてカードが舞い落ちてきた。ポーンだ。これであと1枚…。



あまりにも悠一の戦い方に驚いた輝夜と満流。〝これがナイト…〟満流は愕然とする。


だが、狛犬たちもナイトだ。狛犬たちは輝夜に霊力を補給する役目しかない。それでもナイトと呼べるのか?満流は考えた。今まで2体で1体のナイトだと考えていたが、それは合っているのか?



そこに狛犬たちがやってきた。


「気配を感じたんだが……………、無事だったのか、」


「ええ、大丈夫よ。」


輝夜はそう答えた。だが、満流は駒たちに聞かざるをえなかった。



「なあ、駒。お前たちって二人で一人のナイトとして計算なんか?」


「え…?どういうこと?」


輝夜がそう満流に聞き返したが答えたのは


「違いますよ。彼等は白と黒のナイトです。」


悠一だった。





「え…、私たちみんな黒の駒なんでしょ?白ってことは……………。」


疑問に思う輝夜に


「ご存知ですよね?輝夜さんにちゃんと教えて差し上げた方がいいと思いますよ?」


悠一が駒たちに向かって言った。



「悠一くん……………。あなた何か知っているの?」


輝夜は悠一に視線を向けて疑問を投げかけた。


「僕は先ほど、覚醒しました。輝夜さん、あなたは白のクイーンです。僕らをいくら集めてもあなたの真の実力は発揮されません。下手をすると……………、黒のクイーンが現れると僕らは彼女の元に下ります。あなたと敵になってしまう……………。」



「そ…んな……………。」


悠一の言葉は輝夜に衝撃を与えた。仲間だと思っていた人たちが敵になってしまうのだ…。更に悠一から説明が続く。皆は黙って耳を澄ませていた。緊張感が一気に高まり、皆が自ずと生唾をゴクリと吞んでいた。



「あなたは元々正鬼の姫。だからクイーンのカードがなくてもクイーンなんです。ですが、黒のクイーンはカードがないとクイーンになれません。もし、あなたがその黒のクイーンのカードをも手にしたら完全なる勝者となるでしょう。」


「では私は黒のクイーンを手にすることが先決ってこと?」


「そうですね。それが我々を救う道です。ダナさんがあなたの、白のナイトです。満流さんは……………。やはり白でもナイトではありません。あなたの正体だけは見抜けない…。不思議だ。」


悠一のこの能力は〝導きのナイト〟としての能力のようだ。



「ハッ…。どっちみち俺はナイトじゃないってか。」


満流はどうやら自分が何者かわからないことに失望していた。そんな満流に対して悠一は更に考察を交えて可能性を説明していく。



「ええ、ですが、君も関係者だ。消去法からいくと、キングの可能性が出てきますね…。」


「──────────!」


キング…。それはクイーンと対なる者。つまり将来を約束された存在。少し顔が緩む満流。ナイトだと輝夜を黙って支えるしか出来ないからだ。


「あくまで可能性ですからね…。しかし黒のキングだったら最悪ですから…。」


悠一の最後の一言がちょっぴり幸せになった満流の頭に現実を突きつけた。


〝そうだ、黒のキングなら輝夜にとっての敵となる!〟



それは満流だけではなく、輝夜も連想したのだろう…。


〝幼い頃に出会ってからずっと一緒だった満流が「敵」?〟


二人は見つめ合いながらもお互いが戸惑っているのが手に取るようにわかっていた…。




その様子を黙って見ている悠一、そして冷静にみていたダナ。ケンは輝夜の心境を考えて神妙な顔をしていた。



そんな微妙な空気の中、悠一が言葉を発した。



「まだそうとは限らないのだから、今から心配しても仕方ないでしょうに…。それよりも、キングとクイーンの封印をどうやって解くのかってことの方が重大では?」


悠一は流石〝導きのナイト〟と名乗るだけある。しっかりと皆の思考を導いている。まるでチームのリーダーのようだ。輝夜は唇をキュッと噛んだ…。〝本来であれば姫である私がそうでなきゃならないんだわ…。〟


悠一はそんな輝夜の心境を読み取ったのだろうか


「輝夜さん、気にしなくても大丈夫です。あなたはクイーンとして覚醒していないんですからわからなくて当然です。」


悠一の言葉に輝夜は驚いた。


「え?産まれながらにクイーンだと言ってなかった?」


輝夜は思わず悠一に問いかけた。


「はい、そうですよ。産まれながらにクイーンではありますが、覚醒していなければ記憶も部分的にしか思い出していないはず。正鬼の姫であると覚醒したのはまだ完全に封印が解かれていないんです。あなたには二重の封印がかけられていたんですから…。」


「え…、どうして二重に…。」


「んー、多分、産まれる時点でクイーンのための封印は同時にかかったと思います。正鬼としての封印はあなたの母上が命をかけて悪鬼を封印した余波でかかってしまったのではなでしょうか?本来、封印がかかっている者に対してその上に封印をかけることは不可能なんです。その点から考えたらその可能性が高いですね。あなた自身を守るためにもちょうど良かったのだと思います。あなたに危機が迫った時のみ覚醒、つまり封印が解かれるようになっていたようですね。」


この言葉には満流も悠一を認めざるを得なかった。辺りに緊張感走る空気が漂っていた────。



「さて、本題に戻ります。」


悠一がそう言ってその場の空気を変えた。


「クイーンとキングの封印に関しては覚醒した僕にもわからないのです。その時が来たら封印解除について僕の記憶が目覚めるようにプログラムされてるようですね。はぁー。」


悠一は最後にため息をついた。


「そう…。何かが起こらなければ封印は解除されないのね…。それはもう一枚を手に入れたらわかるのかしら…。」


「そこは何とも言えませんが、その可能性は高いですね。ただ、気を付けなければならないのは今集めているのは黒のカードなんです、輝夜さん、あなたは白のクイーン。最後のカードが揃った時点であなたに危機が迫る可能性が高まります。最後の一枚を集める前に白のカードを集められればいいのですが、カードのありかは僕にはわかりません。白のナイトであるダナ、君にはわかるかい?」


そう言って悠一はダナを見た。しかしダナは首を横に振るだけだった。


「僕ら狛犬は霊力を供給するための存在。だから人間でのナイトを探さないと、君のように導けないんだ。」



その会話を聞いていてふと、疑問が湧いてきた満流。


「そう言えば、お前たち、白と黒なんだよな?白と黒は敵対するんだろ?お前たちは何故敵対どころか仲がいいんだ?」


その言葉にみんなが〝そう言えば…。〟という顔をしてケンとダナを見た。






ご覧下さりありがとうございます。今回は2体と決闘しました。謎解きも段々進んでいきます。今後をお楽しみに!

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