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【完結】刻の檻刀シリーズ①偽りのチェックメイト-チェスのカードが導く断罪の儀-  作者: 慧依琉:えいる


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第10話:満流不在の時に!悪鬼の単独襲撃に輝夜は…!



裏山を歩いていた輝夜は急に巨大な影に襲われた。背後から悪鬼の鋭い爪が音もなく輝夜に襲いかかってきたのだ。寸でのところで輝夜はその攻撃を避けたが、輝夜の右足に悪鬼がつけた引っ掻き傷、爪痕が二本、そこから血がジワリと滲んでいる………。


〝おかしい…。本来前兆があるはずなのに…。しかも取りつかれた人間がいないなんて…。こんな事もあるの?油断した‼〟


輝夜はジリジリと痛む足を我慢し、焦りと恐怖が交互に自身を襲ってくるのを感じた。そのせいか、上手く霊力が循環していないようだ。指先が冷たくなって震え出した。こんな時に満流はいない。部活の遠征で今日は遠征先で泊りの予定だ。


身体の中で霊力が循環しない輝夜の身体はその分、妖力が補おうとしていた。輝夜自身、妖力が満ちてくるのがわかる。多分、この状態であっても目の前の悪鬼と戦うことは出来るが、退治するには霊力が必要であるから無理だろう。神刀である「影切刀」は霊力が源となっているのだからそもそも召喚することが出来ない。それにこのまま妖力の方が満ちてくるのはよくない状況だ。


咄嗟に輝夜は危機的状況だと感じた


〝これは…流石にヤバイのかも…。〟


輝夜の額から汗がダラリと流れた。右足は滲んでいる血が止まらずにそのまま少量ずつではあるが流れている。早期決着をすべきだと輝夜の直感が告げる。



決意をして立ち上がる輝夜。


「出でよ!────神刀、影切っ!」


そう輝夜が声を発するが輝夜の手の平は光を帯びなかった。やはり霊力が下がって妖力が上回りすぎているのだろう。このままだと妖力暴走が起こるかもしれない。


〝まさか駒たちが言ってた事がこんな早くにやってくるとは…!〟


輝夜はどうしたものかと思っていると目の前に駒たちがやってきた!


「輝夜っ!」


「ケン!ダナ!」



二人の姿を見てホッとする輝夜。どれだけ不安だったのだろうか…。




「わかってる、すぐに霊力を補うからそのままでいて!」


ダナがそう言うと二人は光の玉に変化して輝夜の方へと突っ込んできた!

輝夜は思わず目を瞑ったが、身体の奥底から霊力が満ちてくるのを感じた。


「これが…駒たちの霊力…!」


悪鬼は輝夜を見つけてまた攻撃をしようとした。が、輝夜はそれをサッと避けて体制を整える。


「出でよ!神刀、────影切!」


するとさっきは無反応だった手の平が〝ポォッ!〟といつも以上に強く青白い光を放ちながら大きく輝き、神刀、影切刀が召喚された!


〝やった!ありがと、駒ちゃん!〟


そして輝夜はそれを両手に構えて悪鬼に向かって走る!


〝怖くない!私の中には霊力を供給してくれてる駒ちゃんたちがいるから!〟


輝夜の瞳は揺らぐことなく真っすぐに目の前の悪鬼に向いている。


「悪鬼!────断つ!」


そう宣言して大きく刀を振り下ろした!



────だが悪鬼はよろめいただけだった。



輝夜は悪鬼の影に差した影切刀に自身が今持てるありったけの霊力を注いだ!


影切刀を通して輝夜の霊力が倍になって跳ね上がり、それがそのまま悪鬼の本体へと流れていく…。

妖力のみを持つ悪鬼にとって純粋な霊力は毒そのものだった。


〝ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……………!〟悪鬼が悲惨な声を上げて苦しんでいる。それでも輝夜は悪鬼が昇天するまで霊力を流しこんだ!


悪鬼の身体はまるで風船が膨らむかのように闇色が光に変わって耐えきれずに破裂した!昇天だ!



〝やった!満流がいなくても悪鬼を退治出来た!〟


輝夜はホッと安堵した。すると悪鬼にやられた傷が痛み出した。


「ったたたっ!」


靴下も輝夜の血で染まっている。


「こういうのも、霊力で治せたりしないのかな?」と輝夜は呟いた



その時、どこからか、目の前にイケメンが現れた。



〝え…?今まで人っていた?〟


輝夜が驚いていると、その男性は輝夜を見てほほ笑んでから自身の手を輝夜の傷口にかざした。すると男性の掌から暖かい銀の光が浮き出てみるみるうちに輝夜の傷が塞がっていった。


「え…。傷が…?」


輝夜が驚いて見ていると男性は輝夜に声をかけた。



「これで大丈夫なはずですよ。それからはい、これ…。」


男性に手渡されたのはあのカードだ。




「君のでしょ?大切にね。」


そう言って男性は立ち上がり、スタスタと歩いて行ってしまった。


「あ。私、お礼言ってない……………。」


そしてカードに目をやるとそこには「ナイト」が描かれていた。


「ナイト……………。本当にこのカードって何の意味があるのかしら…。」



輝夜はカードに握りしめたままさっきの男性の事を考えていた。


銀髪のイケメン……………。どこからともなく表れて少ない言葉だけで輝夜の胸の内をかっさらうようにして去って行った。


〝あれは霊力なのかしら……………。不思議な力だわ。〟



そしてふと、自分に霊力を供給してくれた狛犬たちが心配になった。


「駒ちゃん!どこ?どういう状況?」


輝夜は返事がない駒たちのことが心配だ。



すると〝ポッ〟と明るい光が二つ……………。


「駒ちゃん?」


〝カグヤ……………。オレタチ、イマ レイリョクガ スクナイカラ コレガゲンカイ。チョット ヤスマセテ……………。〟


「うん、ありがと!あなたたちのお陰で助かったわ!」


輝夜が二人にお礼を言うと光の姿の二人はそのまま〝すぅ~っ〟と飛んで行った。



〝きっと大丈夫、また会える!〟


輝夜はそう確信をして夜月神社へ、帰って行った。



輝夜の足の傷は治ってはいるが、血がついた靴下はそのままだったので父がそれを見て驚いていた。


輝夜は悪鬼がいきなり狙われたことを父に話した。



「お前の母、叶柄からはそんな話を聞いたこともないな。普通、悪鬼は人間の弱った心を好んでそこに根を張って精神を喰らうと聞いているが……………。」


「やっぱり私達の見解と同じだよね。それが今日の奴は周りに人間がいなかったの。一体どういう事なのかしら……………。これがあり得るのだとしたらこれから先、何も知らない町の人々が狙われる可能性もるってことよね?」


「いや、町の人々は心が弱っていたら狙われる。お前が狙われたのはお前の中にある妖力に寄せられたんじゃないだろうか……………。奴らの生命の源は妖力だからな。もしくは、お前の中の霊力で〝敵〟として感知したかのどちらかだろう。」


父の説明は納得出来ることだった。いつも奴らが姿を現すのは輝夜が近くにいる時だったからだ。


「だったら……………満流も危ないんじゃ……………?!」


「満流君か…。」


父はそう言ってしばらく黙った。



「彼は昔、一度行方不明になった事があったな。その時の記憶は今もまだ思い出せてないのかな?」


父のその言葉を聞いて輝夜は驚いた。それは輝夜の記憶として残っていないからだ。


「お父さん…、それって私がいつの時の話?」


「ん?確か5歳くらいだったと思うぞ?なんだ?覚えてないのか?あれだけ満流君がいなくなってわんわん泣いていたのに………。」


「5歳なんて覚えてる方がおかしくない?」


「んー、そういや、お前、変な事言ってたな。」


父はそう言ってまた黙った。


「変なこと?」


輝夜が聞き返したが、


「いや…いい。大した事じゃないんだ。戻って来た満流君を見て〝満流じゃない〟って言ったんだ。」


「は?何それ……………。」


「だな、よっぽどいなくなった事がショックだったんだろうって皆で言ってたんだ。それに次の日になったらお前、ケロっとしてたしな。はは。」


そう言って父は笑い飛ばした。


「本当だよ、もう~~~~っ!」


輝夜も笑い飛ばした。




翌朝、輝夜はいつものように境内を掃除していた。

いつにも増して今日は静かな空間だった。


〝そうだわ。今日は満流はいないんだった。〟


輝夜は狛犬の前で


「昨日はありがとうね、ケン、ダナ。」


そう言って狛犬たちを撫でた。


〝ダカラ クスグッタイッテ……………。〟


今度はハッキリ聞こえた。多分、昨日狛犬たちと霊力を共有したからだろう。

普段の輝夜は霊力がほぼない状態で、覚醒した時に発揮される。省エネタイプだ。


「あは、今日はハッキリ聞こえたわ。」


輝夜がそう言うと石造である狛犬たちが笑っているように見えた。


「じゃあ、学校に行ってくるね!」



そう言って輝夜は社務所に一度戻って準備をして学校へと行った。




狛犬たちは輝夜が行った事を確認してから話始めた。


〝ナア…………ナンデ キノウ カグヤノマエニ アラワレタンダ?〟


〝ケンダッテ オナジコト キット シタダロ?アノキズ………ミテランネクテ……………。〟


〝アア……………。タシカニナ。マア、アノヨウスジャ オマエダッテコト キヅイテナイナ〟


〝ハハハ!ダナ。 ダカラ カグヤガイインダ〟




そして放課後、満流と合流して帰宅することとなった。その時に輝夜は前日にあった悪鬼の話をした。すると満流は凄く驚いていた。やはり反応は同じだな、と輝夜は思った。


「今まで人間に巣くってたじゃないか?それが突然単独でってか?!」


「うん…、そうみたい。私もいきなりすぎて驚いたわ。」


「お前っ、よく無事だったな。」


「本当に危機一髪だよ!?駒ちゃんたちが来てくれて霊力を供給してもらったから何とかなったんだけど…。」


「早速アイツら頑張ったんだ、」


満流も心配しているのが輝夜にも伝わってきた。


「これからどうしよっか。今度もまたそういう事があったら…、」


輝夜は不安そうにしていた。満流はそんな輝夜を見て、


「輝夜ん家に泊めてもらって悪鬼たちを倒すまで行動を常に共にするか?」


と提案してきた。



「は?な、何言ってんの?いくらお父さんも一緒だからって…、あんた男だよ?」


「んあ?何考えてんだ?ただ居候させてもらうだけだけど?」


「わ…わかってるわよ、それでも…よ!」


何やら意識してる輝夜を見て満流は揶揄いたくてウズウズしてきた。



「ははぁ~~~~ん!お前っ、俺のこと好きなの?」


「はあ?そんなことあるわけないでしょ?」


満流は大笑いしながら輝夜を揶揄い続けた。まるで昨日の事が夢だったんじゃないかと思うくらい、平和な時間だった。


新緑から間もなくやってくる夏を感じさせる爽やかな風がふたりを笑うかのように吹いていった。





ご覧下さりありがとうございます。やっぱり輝夜は満流がそばにいると安心するようです。


11話につきまして

2月1日に投稿セット致します。つきまして、1月31日は投稿お休みとなります。間に合えばこのお話とは違う何か短編一つ投稿したいと思います。

それでは2月1日お会いしましょう。


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