証
[日間]ホラー〔文芸〕 - 連載中 10位
[週間]ホラー〔文芸〕 - 連載中 43位
評価ありがとうございます!
多忙につき更新頻度下がり中ですが、なんとか投稿していくのでこれからもよろしくお願いします
1日おき更新するつもりでしたが大幅に遅れてしまいました
申し訳ございませんでした⋯⋯
それから僕と龍は一緒に登校するようになった。他の人には龍の存在を認知することが出来ないようで、常にうろちょろしていても何か言われることはない。⋯⋯声が聞こえなくても授業中に話しかけるのはやめてほしいと思うけど。なんせ無視するのはさすがに不敬だし、逆に返事をしてもたまにぶつぶつ言う変人ってことになるからね。
「なー、心。何回も言ってるが、お前には危険が迫ってるんだぞ?家の中にいたほうがよくないか?」
「でも、授業は受けなきゃ卒業できないんだよ。そして卒業しないと就職できない」
傘をくるりと回しながらそういう僕に、龍は死んだら元も子もないのになーとつぶやいた。他にも何か言っていたような気がするが⋯⋯あまりに小さい声だったから聞こえなかった。なんて言っていたのか気になるけど、小声ってことは聞かせる気がないってことかな?すっごく気になるけど、我慢、我慢。
「ああ、言い忘れていたことがあったな」
「なに?」
「いや、実は俺雨の日しかいられないんだよなー。というわけで俺のいない間はどうにかして身を守ってくれ。今日明日は大丈夫だが明後日は晴れるぞ」
うえ!?そんなの聞いてないよ!水神様が守ってくれるって聞いたから安心してたのに⋯⋯。
隣を歩く水神をちょん、とこづくと少しだけ雨が強くなった。
「悪いことをするやつにはおしおき。これはいつの時代でも変わらないのだな。そういえばさっきから女がこっちを見てるが⋯⋯知り合いか?」
「え?」
慌てて振り向くと、電柱の影から飛び出た艶やかな黒いポニーテールが見えた。
あーあ、バレちゃったかぁ。龍の存在がバレると大事になりそうだから黙ってたのに⋯⋯なら言いふらされる前に口止めしておくか。
「紫音姉ー!隠れてるのはわかってるよー!」
その言葉に反応して、ビクッと影が震える。彼女は数瞬のあと、顔をそろりと覗かせた。
「⋯⋯なんでわかったの?あなたの隣にいる化け物のおかげ?」
「化け物!?この人は水神様だよ!そんなこと言ったらバチが⋯⋯」
そう言い終わらないうちに、雨がさらに強く降ってきた。
やっぱり、この雨は龍に不敬なことをしたら強くなるようだ。僕が龍に敬語を使わなくても不敬だと認定されないのは、龍自身が許可したからかな。
「化け物⋯⋯か⋯⋯」
「──ッ!ほら、謝って!早く!」
「え、ちょ、心!?押さないで!謝るから!」
だ、だって神様だよ?怒らせたらどうなるかわかんないから怖いもん。
そう問答しているうちにも服が肌に張り付いていく。少し気持ちが悪いが、この雨が龍といられる証なのだと思うと何故か嬉しかった。
「いや、俺は気にしないぞ。なんせあいつには散々『化け物だァ!?』って言われたからな」
声真似をしているつもりなのか、声を高くしてそういう龍に少し笑う。
「おい、なんで笑うんだよ!俺の声真似は完璧だっただろう!?なあそうだよな、嬢ちゃん!」
「え、わ、私!?ええと、そうね。完璧だったと思う⋯⋯たぶん」
「たぶんとはなんだ!」
雨が少しづつ弱くなっていく。
この雨も龍を恐れてこんなことをしているのだろうか。
恐れる必要はないと思う。
ザーザーという音に交じって響く笑い声は、水神がいい人である証拠なのだから。
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