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プロローグ 遭遇は誰も知らない夜と共に
一つの街の中、巨大な影が歩き回る。
夜闇に沈む時間帯、裏路地を歩いていた一人の女性キャシーは、それを見て息を飲んだ。
ありえないものを目撃した彼女は腰を抜かして、その場から動けなくなってしまう。
近づいてくる不気味な影を前にした彼女は、頭の中にこれまでの人生の光景が浮かびあがってきた。
走馬灯に涙を浮かべるキャシーの運命は、この時点ですでに決まっていた。
怪物を倒せる力を持った人物は、街にたどり着いてすらいないのだから。
キャシーは、近くにやってきたその怪物を見て、ようやく悲鳴を上げかけるが、それが言葉になるよりも前に、全てが終わった。
平凡な娘として生まれ育った彼女の人生は20数年で幕を閉じる。