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此岸の大地~現実に実在しうる異世界転生~  作者: KVIN
第三章 シャクティ=プラム編
24/40

第24話 ただいま

 第三章 エピローグ──


 † † †


 シャクティ=プラム──


 見上げてごらん、夜空の星を。

 それは、一千万年前の旅人が見た夢。


 見渡してごらん、大河の岸を。

 それは、一千年前の旅人が見た景色。


 (めぐ)る、巡る。星と季節。

 (まわ)る、廻る。魂と輪廻。


 ここは、二柱の神が眠る、古き大地。

 そして今も──新しき命に問いかける。


「あなたはこの宇宙に、何を想う?」

 それは、終わりなき常世(とこよ)の楽園か。果てなき地平の牢獄か。


「わたしはこの宇宙に、何を願う?」

 それは、永遠の輪廻か。救済の終焉か。


 終わらぬ問い。終わらぬ旅。

 それでも、歩き続ける。どこまでも、いつまでも。


 さあ、帰ろう。わたしたちの家へ。

 目指すは、遥か東──アーシャ=ヤーム。


 あの日見たのは、此岸(しがん)の夢か。彼岸(ひがん)の記憶か。


 答えはまだ、彼の中で眠っている。


 † † †


 夜明け前まで降り続いた雨が上がり、朝日が雲の切れ間から差し込む。 朝日を浴び、サロウェラの湖が黄金色に輝いていた。


 空には虹がかかり、

 天と地が、英雄たちの帰還を祝福していた。


 ──その湖畔に、懐かしい影が立っていた。


「「ルティ! ナギ!」」


「ルゥーーティィーー!!」


 サーナとアーニャが駆け出す。ルティの胸に思いきり飛び込んだ。


 リィィン──

 懐かしい鈴の音が鳴り、空へと舞い上がる。


「おかえりなさい、サーナ!」


 ルティの頬がふわりとほころぶ。


「おかえりなさい、グラハムさん……リディ……」


「おう、帰ったぞ!」


 グラハムが照れ隠しのように頭をかく。


「……ただいま、ルティ」


 三か月ぶりの再会は、まるで何年も会っていなかったかのように、ぎこちない。


 お互いに視線を合わせられずにいた、そのとき──


「ドーーン」


「ひあ!?」


 ルティがサーナに突き飛ばされ、ライデルの胸に飛び込む。


「ご、ごめんなさいっ……!」


 赤面して離れようとするルティを、ライデルはそっと抱きとめた。


「……ただいま、ルティ」

「……おかえりなさい、リディ」


 二人の影が重なったとき、朝の虹が少しだけ濃くなった気がした。


 † † †


「そういえばサーナぁ! さっき突き飛ばしましたねー!」


「ピューピュピュー♪ 何のことぉ~?」


「リディも何か言ってください!」


「ははは…… このやり取り、懐かしいなあ」


「グラハムさんも笑ってないで助けてください!」


「そういえば、お土産買ってきたよー」


「あ、もしかして誤魔化そうとしてますねー」


「じゃーん! “背徳(はいとく)のクッキー”と“冒涜(ぼうとく)のクッキィー”」


「ううん!? 気になるけど神に仕える身として、背徳とか冒涜とかは……」


「これ、とっても美味しいよ、ルティ」


「リディ!? 食べちゃったんですかぁ!? もぉ~~!」


 笑い声が風に乗って、湖の向こうまで届いていく。アーシャ=ヤームの空に、穏やかな日々が戻ってきた──

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