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竜と剣


俺は、伊藤慧。

今は、アルバール・アリュアと呼ばれている。

トラックに刎ねられて、転生したのだ。

転生した俺は、赤ん坊の頃から知識を溜め込み、体を鍛えた。

そして、十歳になった。


「お母様―!」

「あら、どうしたの?」

「今日でございます!」

「あら、今日だったのね。気を付けて行ってらっしゃい!」

「はい!」

今日は誕生月の一日、今日は竜山と呼ばれている山に登り、竜紋を手に入れます。

『竜紋』…十歳の子どもが近くの聖竜と呼ばれる存在より授かる。その能力は多岐に渡る。

これも、本の知識だ。

俺は支度を済ませ、家を出る。

どんな能力がもらえるか、楽しみだ。

竜紋はいろんな能力がある。魔法を使えたり、特殊なスキルを使えたり、身体能力が上がったりもする。

強い能力だったら、冒険者になってみたいな。

そんなことを考えている内に山の麓まで着いた。

ここからは危険地帯、気をつけなければ。

竜紋を貰いに行って帰ってこない子は少なくないらしい。

山道ははっきりと分かるよう整備されている。

私はその道に沿って進んだ。


山腹、大きな洞窟があった。

ここが竜の巣、聖竜がいる場所だ。

「あ、久しぶりに来た―!」

竜の姿の者はおらず、きれいなお姉さんがいるだけだった。

「そろそろお腹も空いてきたしなー。まぁ、久しぶりだし帰さなくていいか」

そう言うとお姉さんは白い竜に姿を変えていく。

「、、、あ、、、あぁ、、、、、、。」

俺はどこかでこう思っていた。

転生者だから、子供の頃から努力したから、主人公だから、

()()()()()と。

そう思ってしまった。

恐怖、畏怖、どれがしっくり来るだろうか。

否、どれもしっくりこない。

本当の恐怖は人の言葉なぞに押し込められるものではないのだ。

死にたくない。

俺の精神をそれだけが支配していた。

ただただ我武者羅に、逃げた。

逃げて、逃げて、逃げて、逃げ切れた。らしい。

俺の脳はそれから、先の記憶を殺した。

俺が覚えているのは四日後のベッドからだった。


「あ、、れ、、、?」

なんでここに?

隣にはベッドに倒れ込むように両親が寝ている。

その顔は険しい。

俺の右手は消えていた。

あの状況から逃げられたのか。

右手で済んだ。

最高半身、そう思っていたのに。

早朝の光が差し込んでくる。

その光で両親が目を覚ます。

驚きと安心が混じったような表情をした。

「アルちゃん、、、、!」

母が抱きついてくる。

「アルバール!」

父がその上から抱きつく。

今はこの時間を大事にしたいと思った。


やはりと言うべきか、当然だと言うべきか、竜紋はなかった。

こういうことは極稀にあるらしい。

聖竜に認められなかった者。

無紋者、または失紋者というらしい。

魔法だけは竜紋がなくとも使えるため、大概が魔法使いとなるらしい。

俺は、なりたくない。

だから、独自に何か探そうと思う。

まずは、竜紋鋼が応用された魔道具だろう。

家にあったものを片っ端から、試してみる。

鎧、無理。杖、使えない。ランタン、光が出るだけ。剣、まぁ持てる。

魔道具は無理だった。

次は、、、、次は、、、、、、、、、、。

ない!

魔道具と魔法以外にいいものがない。

テイマーはコスパが最悪だし。

何より、冒険者になりたい。

邪竜を倒せるようにならないと、冒険者にはなれない。

あの竜には叶う気がしないけど、弱い竜なら、、。

はたしてあれは聖竜だったのか、邪竜だったのか。

あんな恐怖を与えてくるなら、邪竜だろう。

竜紋もなく、冒険者になる方法を探し始めて、五年がたった。


「あー、無理だ」

魔道具は役に立たず、魔法は才能がなく、他の方法は見つからず。

五年も何をしていたのだろうとふと思い返す事がある。

唯一使えそうなのが、剣。

普通の剣より少し軽く少し耐久性があるだけの剣。

「これがもっと使えたらな」

そう剣を手に取ると、刃が輝きその輝きが柄を通り、左腕まで広がっていく。

輝きが収まると左手に竜紋が刻まれていた。

『なんですぞ!これはー!』

剣の言葉が聞こえてくる。

『まさか!、、、、主殿か、?』

「は?」


俺に新たな初めての力が宿った。

微々たる言の葉(かすかな声)』…声が聞こえるようになる。竜紋として心身に与える影響はない。

それが元の持ち主→剣→俺と渡った。

『ワタシの声が聞こえるのも主殿の能力がお主に渡ったおかげですぞ』

黙っててほしいものだ。

『いやはや、こんな奇跡が起ころうとは、長生きするものですな。ま、手入れされなければ長生きはできなかったのですがな。わはははははははは。故に人には感謝したいですぞ』

要するに、強くなったということだ。

やったね!

けど、身体能力に変化はないし、剣を持つにも一苦労、、、、?

俺が剣を持つと、まるで元の世界のペットボトルのような軽さで持ち上がった。

身体能力が上がったのか?

『おぉ!まさかこれは、、、何なんですぞ?』

「剣でもわからないのか」

『剣と呼ばれるのは侵害ですぞ。強くはない強い剣(アスカトロン)と呼ばれると幸いですぞ』

強くはない強い剣(アスカトロン)』…『微々たる言の葉(微かな声)』が定着した龍刈りの剣。龍に対し大いなる力を発揮する。竜魔鋼製。

アスカトロン、名のある剣と言うのはそう多くない、名のある剣そのほとんどが歴史書や神話書に刻まれているほどだ。

それでも聞いたことがない。

『ワタシの名声ですかな?』

聞いてもないのに、話してきた。

『そりゃあ、ないですぞ。ワタシが歴史に乗るのは初めて龍を倒した時と最後の龍を倒した時その二回だけと決まっておるのですから』

その瞬間、剣から力が溢れ出し部屋を満たす。

しかし、その力は部屋の外へ漏れ出すことなく、部屋の空気のみを満たしていた。

それだけで、力のコントロール技術が果てしないことが分かる。

『これは、ワタシの力の一部です』

そう言うと、瞬時に力を引っ込め今までのなんでもない剣のようになった。

俺は言葉を失っていた。


―――某所、某日

「ついにですか?」

「合図が来たからね」

「えー、めんどくさいよー」

「そんなこと言ってないで、目的を思い出してください」

「殺す殺す殺す殺す殺す殺す…」

「さぁ、反撃開始といこうか。」

正七角形の卓の一つの空席を残し、全員が律儀に座っている。

全員が卓の中心に各々の剣を掲げる。

「龍を滅ぼす!」

ご読いただきありがとうございます。

なにか質問や指摘、わからないところがあったら、ぜひ知らせてください。

改善、説明に尽くします。

改めまして、ここまで読んでいただきありがとうございます。

次も是非読んでください。

それでは!

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