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無限ホテルの雑務員。  作者: AO
禁書
33/53

2回戦




二試合目が行われる。

メチルは準備室で待機していた。

エラルドとその他4人はその横に座っている。

だが、そもそも試合になるのか彼らは疑問だった。

「なあお前ら。誰かあいつらの顔を立てるための犠牲にならない?」

エラルドがそんな冗談をいう。

と、同時に入場の合図。

先ほどとは違い、両チーム割れるような歓声で迎えられた。

スタジアムの端に立つ。

相手は6人。これが普通だ。

予選の戦い方を見た感じ、敵はカウンターをメインに相手を倒すスタイルのようだ。

綺麗に陣形を組んで、攻撃に備えている。

「始め!」

笛が吹かれた。

その瞬間防御魔法が何重にもわたって展開される。

障壁が綺麗に輝いて、宝石のような様相を呈している。

「…すげえな。こりゃ、すごい。」

うんうんと頷きながらエラルドが褒める。

会場から拍手が上がる。

メチルは退屈そうにあくびをした。

「絶対防御、さ。君たちにこれを壊せるかな?」

敵の1人がにやりと笑いながら言う。

「申し訳ないな。こんなに頑張ってもらっちゃ。」

エラルドはそっとメチルに耳打ちする。

「ああ、そうだな。でも戦いってそんなものだろ。結局みんな結果しか見てない。」

エラルドはそっと魔法を発動した。

あたりを雷が切り裂く。ビリビリと空気が震える。

が、防御魔法にあっさり防がれた。

「うん、なるほどね。」

強度を確かめて、彼は後ろに引いた。

自身では勝ち切るのは難しそうだと感じる。

「切り札」を出せばいけないことはないだろうが、それは決勝まで取っておくと決めている。

「なあアゲハ、お前もちょっとやってみたら?」

後ろにいた生徒の1人に声をかけた。

アゲハと呼ばれた青い髪の女がびくっとした。

「…いいんですか?」

「どうぞどうぞ。ちょっと見たくて。」

彼女が代わって前に出る。

腰につけていた細長い棒を取り出した。

剣のように見えるが、銃である。

肩に置き、照準を合わせ、放つ。

発砲音とともに一発の弾丸が流星の如く飛んでいき、障壁にぶつかった。

障壁が一枚割れた。

「!!!」

敵が焦った顔をする。

がそこまでだった。

次の障壁を破ることはできず、弾はくるくる回りながら地に落ちた。

そもそも彼女の魔法は「必中」。

空間内のあらゆる障害物を回避、破壊して、相手に自動で当たる。

悪魔族の血を引く彼女ならばやれるかと思ったが、ここまで強力な障壁は破壊できないらしい。

このまま連射すればいける気もするが、別にそうしなくても勝てるからいい。

「誰か他にやりたい人いる?いないならメチルに行かせるけど」

エラルドが提案する。

「ああ、俺は別にいいよ。もうメチルに行かせて終わりにしようぜ。」

「あんなの相手にしたくない。」

「自分防御要員なんで」

後ろの三人は興味が全くなさそうだ。

「そっか。じゃ、あとは頼んだ。」

メチルが前に出た。

敵は余裕の笑みを浮かべている。

「よう主席さん。いくらあんたでも、これを破るのは難しいんじゃないすかね?」

一瞥。すぐに目を逸らした。特に意味はない。

「…学が足りないな。俺は勉強もできるから主席なんだぜ?」

軽く挑発する。相手が若干怒ったのがわかった。

「はは、ここで勉強が何の役に立つと言うんだ?」

「まあ黙れ。そもそも、魔法障壁とは自身の魔力を空間中に広げることで、空間内に擬似的に壁を作り出す。自身の魔力で作った魔法で、他者の魔法を遮ることにより防御する。」

「そうだ、知ってる。」

少し不安になりだしたらしい。遅すぎるような気もするが。

「つまり魔法障壁は魔法という現象を防ぐんだ。さて、ここで俺の魔法「触手」だが…これは魔力の塊なんだ。

全身から魔力を自在にとして放出し、相手を攻撃できるという魔法。魔力そのものということだ。」

「…だから?」

敵の顔色が暗くなってきた。

「わからないか?」

メチルはスタスタと歩いていく。

「俺に魔法障壁は通用しない。」

彼の背中から黒い何かが生えてきた。

羽のようにも、液体のようにも見える。

本来なら体内で循環する魔力を体外に出しているため、非常に状態が不安定なのだ。

すっと手をかざした瞬間。

ガラスが割れるような音がして、障壁が全て破壊された。

会場の全員があっけに取られた。

観客席で唯一そうでなかったのはシリウスとガングート、そしてジラーリアの三人だけだ。

シリウスはケラケラ笑いながらガングートと話していたし、ジラーリアはにこりともぴきりともせず静かに見守っていた。

破片が飛び散り、雪のように消えていく。

それはまるでガラスで作られた花吹雪のように美しく、敵は見惚れたまま、敗北していった。


「お疲れー。相変わらず強いね、あの触手。」

「まあな。」

シリウスがチューチューとドリンクを飲む。

何を飲んでいるんだろう。

ソリッドレンジ?コーヒー?

本人しか知らない。

本戦準決勝が終わったスタジアムにはほとんど誰もいない。

座席にポツンと座るのは、シリウスとメチルの2人だけだ。

決勝は一日休みを挟んで、明後日だ。

「ついにお前やエラルド、アゲハと戦うのか…。」

「……」

こいつは何を楽しみにしているんだろう、と思う。

(戦闘狂なんだろうな。)

でも思えば、出会ったころから変わっていない気がする。

2人が会ったのは10年前のことだ。

メチルはテリアメス家に呼ばれた。

「娘の遊び相手になって欲しい」という理由で。

何でも、あまりに強すぎて同学年の遊び相手がいないらしい。

テリアメス家は皇帝の血を引く家系。

メチルの家が上級貴族といえ、到底釣り合うような相手ではない。

だが、幼少から異端として名を馳せた「見えざる少女」と「黒い少年」。

この2人が同い年であったという事実が、社会体制を無視した邂逅を生み出した。

彼女の部屋に招かれた時に思ったことは、

(…不気味だな。)

誰もいないように見える。

が、彼は雰囲気と「見えざる少女」という異名で彼女の魔法察した。

そして彼は無事シリウスの奇襲を防いだ。

後ろから音もなく忍び寄って刀を首に当てようとしたところを、彼の触手により止められた。

この頃はまだ彼女の魔法が未熟で、メチルの方が強かったからだ。

攻撃を防がれた時のシリウスの顔をメチルは忘れない。

驚愕と歓喜が混ざったような顔だった。

それにより認められたメチルは、シリウスの人生初の「友人」となった。

(…それから色々あったな。)

一緒に買い物に行ったり、遊びに行ったり。

ギャーギャー泣く彼女の頭を撫でたり、本気で喧嘩をして屋敷を半分消し飛ばしたり。

その結果、シリウスは立派な女性(?)へと成長を遂げ、今のメチルでは到底敵わない領域に達した。

元の魔法の性能が圧倒的に違う。

入学試験では筆記試験で勝ったものの、魔法実技戦闘では負けている。

そんな彼女をどう倒すのか?

メチルはその術を知らない。二日後の自分に託す、それしかない。










































自分が書いてるiPadが壊れてしまい、しばらく投稿できていませんでした。

読んでくださってありがとうございます。

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