表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無限ホテルの雑務員。  作者: AO
禁書
30/53

出会い





都立レパルス魔導高校。

由緒正しきこの名門に、1人の神童がその足跡をつけた。

「………」

灰色のパーカーを見に纏い、古びた廊下を歩く。

入学主席者、高校一年生メチルである。

「よっ!メチル!」

後ろから肩を叩かれ振り向く。

「ああ…エラルド。」

同じく特別魔法科、エラルドである。

この頃の彼の髪は黒い。

「飯食いいこーぜ!」

「ああ、行こう。」


「そういやさー」

エラルドが口を切った。

場所は食堂。スプーンと皿がぶつかる音がひっきりなしに聞こえる。

エビフライ定食にすればよかったかも、とメチルは若干後悔した。

「次のクラス対抗魔法決戦の本戦どうする?」

「ああ…。」

メチルは少し黙った。

「勝てるか怪しいよな…。とりあえず死なないように頑張るか。」

と答える。

クラス対抗魔法決戦とは、レパルスの重要なイベントのひとつだ。

体育祭みたいなものである。

まず予選がおこなわれる。

レパルスにある16の学科が4つずつのリーグに分かれ総当たり戦が行われる。

その結果リーグ首位の4チームが本戦に進出する。

ここからはトーナメント線だから、負ければ終わりだ。

そしてトーナメントに進出した四チームというのが…

まずメチルやエラルドの所属する「特別魔法科」。

同学年の中で選りすぐりのエリートら40名で構成されている。

Aリーグ首位になった。

そしてBリーグ首位、「防衛魔法科」。

圧倒的な防御を誇る40名で構成されている。

だが、ここははっきり言って勝てると彼は踏んでいる。

弱いからだ。

問題はCリーグ首位の科だ。

「近接魔法科」。

烏合の衆、脳筋チームだ。

が、1人どうしても危険な奴がいる。

シリウス=テリアメス。

魔法術式「認識不可」の効果で彼女の存在自体を認識できないのだ。

見えざる腕と高火力な魔道具から繰り出される一方的な攻撃を防ぐのは不可能に近い。

彼とエラルドはこの異常者に10年ほどボコされている。

「シリウスねえ…。どうしたらいいんだろうね、あれ。」

エラルドはためいきをついた。

「防御魔法と攻撃魔法の並列展開くらいしかないだろうな。」

ちなみにエラルドもメチルも異常者である。

さらっと並列展開と言っているが、そんなことをできるのは学校で彼ら含め10人ほどだろう。

「まあ、防衛魔法科しばいてからでいいんじゃね?」

「それもそうか。」

目の前のことに集中しなければ足元を掬われる。

でもそれは問題を先送りしているだけな気もする。

と考えながら宙を仰いだ。

視界には灰色の天井とー

赤い尻尾と茶色の衣を纏ったエビフライ。

(は?)

彼は思わず声をあげそうになった。

が、声を出すより早く、エビフライが彼の口を塞いだ。

「ゲホッ…ゴホッ…!」

「おい、大丈夫か?って!俺のエビフライ勝手に食ってんじゃねー!」

突然咳き込んだメチルを心配するエラルド。

「…あいつマジで…」

怒鳴るエラルドを無視して食堂の出口を見る。

銀髪が見えた。手がひらひらと泳ぐ。

彼女こそがシリウスである。

この学校史上およそ最強と言って差し支えない実力を持つ生徒。

王家の血を受け継ぐテリアメス家の長女。

(のはずなんだが…なんであんなに行動が粗暴なんだ?

俺の知っている王家の血筋を引く人はもっと物腰が丁寧なんだが。)

「タルタルソースない?」

とエラルドに聞いた。

「ない。」

ぶっきらぼうに返される。


2人は食堂を出た。

外が何やら騒がしい。

見ると、何やら下級生が上級生人に絡まれているようだ。

「…あの制服は一年だな。」

「え?俺らの学年にあんなやついたっけ?」

ひそひそと声が聞こえる。

メチルも同じ気持ちだった。

見たことがない。

黒い髪、整った横顔、一年生の制服、そして…

(魔眼…。)

隠しているようだが、メチルにはわかった。

魔法で黒く見せているが、赤い十字の模様の入った瞳孔を持っている。

彼女が絡まれている原因は、上級生に彼女の肩が当たったかららしい。

「謝れ!土下座しろ!」

声が響く。

(…きも)

率直に思った。

(こういう奴がいるから、貴族は嫌いなんだ。自分も貴族だけど。)

彼女は庶民階級のようだ。

なぜこんな生まれつきのものでいちいちマウントを取れるのやら。

大人しく謝れば済むが、まあそんなことはしないだろう。

彼女の目は反抗心に溢れている。

「おい、ー」

メチルが上級生に喧嘩を売ろうとしたその時。

「ふーん。なるほどねー。」

がし、と上級生のうち2人の肩を掴んだのはシリウスだ。

彼女は一瞬メチルの方を見て、「あっちいけ」とジェスチャーした。

メチルは無視した。

「そんな自分が貴族だからとかいう理由でいきんなよ、だせーぞ。」

シリウスが耳元で囁く。

凄まじい威圧感だ。慣れているメチルやエラルドからすれば別になんとも思わないが、周りの生徒は皆びびっていた。

「んで、君は?」

手を離し、黒髪の子に近づく。

「同級生だよね?何科?お名前はー」

と言いかけた瞬間。

ガアアアアアアアン!

何かが勢いよくぶつかる音がした。

後ろを見ると、上級生2人が壁にめり込んでいる。

「……君がやったの?」

シリウスは黒髪に聞いた。

こくりと頷く。

(…やっぱり…。)

彼女が持っているのは「叡智の魔眼」だろう。

主な術式効果は

「物理系の術式の計算を省略し、即時に発動する」

「相手の術式を把握し、次の行動を予測する」

「相手の防御術式を解析し、無効化する」

の3つ。

「やばいな。君、名前は?」

流石のシリウスも動揺を隠せないらしい。

「…ジラーリア。物理魔法科一年。あなたより強いよ、わかってると思うけど。」

これが、メチル、エラルド、シリウス、そしてアリエルやガングートの運命を決定づける出会いだった。


























いよいよ30話か…

読んでくださってありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ