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無限ホテルの雑務員。  作者: AO
赤ずきん
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赤ずきん 4




さて一方の無限ホテル。

メチルは今日も客の相手で忙しかった。

「…ああああああ!」

客の断末魔の声。

必死で向かってくる客を、ひたすらに切り刻んでいく仕事。

これを初めてもう何年になるのやら知らないが、最初は抵抗があったとは言え、もはや日常の一部である。

(…自分はなぜこんなところにいるんだろう。)

メチルは疑問に思った。

「…娘を、返せ…。ジラーリアアアァ…」

「…あんたの娘は、もう死んだんだろ。」

メチルはその無情な触手で客の急所をつき、絶命させた。

客の持っていた武器を回収し、100階の倉庫に向かう。


彼はシリウスと同様に無限ホテルの最初期のメンバーである。

ジラーリアにより無限ホテルが作られてもう12年になる。そう昔のことではない。

忘れもしない12年前の惨劇。

ジラーリアは多くの人を殺した。数えきれない死体の山を築き上げ、幾つもの施設や組織を壊滅させた。

だが、それはあくまでも結果に過ぎないものだ。

メチルは知っている。彼女がどう考えてあのような行動に出たのかを。

もちろん、シリウスのように大切なものを失ったことで彼女を許せなかったものもいる。

が、メチルは違った。

彼女の考えは十分に理解できたから。この悲しみしかない社会に、終わった社会に少しだけ光を与えたから。

だからこそ許せない人もいるし、余計に悲しみを得た人もいるが、それでも間違っていなかったと思うから、メチルはジラーリアと共にいくことを決めていた。

倉庫に入り、回収した武器を保管する。

ふと、前を見ると、シリウスの遺体が棺に入れられてそのままに保存されていた。

(シリウスは最期に何を思ったんだろう。)

メチルはシリウスのことを思い出していた。


この世界は腐っている。

そう実感したのは、シリウスにあうよりもずっと前からだった。

貴族とはいえそこまで裕福とはいえない家庭に生まれたメチルは、小さな頃からずっとこの世界のあり方を疑問に思っていた。

魔法と血筋によって優劣が決まる世界。

国のトップには世襲の皇帝とその他大した能力もない大臣たちによって決められる世界。

メチルの父親は下級貴族だったが、極めて優秀な人物として官僚になった。

おかげでメチル自身、学校でいじめられたりすることもなく自由な幼少期を過ごした。

シリウスに初めて会ったのは、12歳の中等部に進学する時だった。

貴族の中でもかなり身分が高い位置にあるシリウスは、メチルにとっては同じ貴族とはいえ別の世界の住人に見えた。

入学式の時点で主席だったし、勉強や魔法や戦闘で彼女に勝てるものは誰もいなかった。

その優れた容姿も相まってすぐさま彼女は注目の的となった。


(そんな彼女と自分が関わることなんて、決してないと思っていたのに…)

どうだろう。今となっては、こうして彼女の最期を拝むまでになった。

(自分だけじゃなく、エラルドもガングートも、全く予想しなかっただろう。)

結局、一度も戦闘で超えることは叶わなかった。

彼女の生前のお気に入り武器である「RBB34」はガングートが受け継いだ。

メチルは彼女のものはなにも貰わなかった。

シリウスの後はレーカードという保安チーム一級職員が受け継いだ。

だが、組織の穴はパズルのピースのように簡単に埋められるものではない。

しばらくは帝国陸軍の襲撃もないだろうし、赤ずきんも今テスラが追っている。

当分の間、重大な襲撃はないだろう。

「珍しいわね。あなたがこんなところで足を止めるなんて。」

後ろを向くと、ジラーリアが立っていた。

「お前こそ、こんな下層に降りてくるなんてどうした?頭でも痛くなったのか?」

「あら、余裕そうね。そうも言ってられなさそうな状況だけどね。」

そういうと、一枚の新聞をメチルに寄越した。

そこにはこう書いてあった。

「…東部技術特区周辺で大規模襲撃、周辺住民が行方不明に…」


「…ん…」

テスラは起き上がった。

全身が痛む。

目がチカチカする。

額が濡れているので探ってみると、血が垂れてきていた。










感染症にかかったので少し投稿頻度が落ちます。

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