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第六十八話 フェリカ、少し懲らしめてみますか

この話は、約2300文字です。

⬜︎⬜︎⬜︎でシーン転換の目印です。

 夢月零には、“天才少女”と呼ばれた双子の姉・夢月雫がいる。

その雫は、優翔玲子(ゆうが れいこ)の同僚であり、剣道師範・朱雀茜の前に立っていた。


 ドメーヌ城の宮殿の離れにある武道場では、師範と生徒が剣術の稽古に励んでいた。

その武道場も、魔法少女メリウスの結界魔法によって守られている。


 二人の稽古を見学しているのは日本から異世界を訪問している九人だ。

傍にはメイド長クローラが決めた魔法資格のあるメイドが各人に付き添って見守る。

担当メイドの赤色のメイド服はその立場を表す。


 メイドの腰にある紫色の大きなリボンの中には、携行用の武器が隠されていた。

それは、魔法で飛ぶ殺傷性の高い長い針が数本——。



   ⬜︎⬜︎⬜︎



 夢月邸の家政婦五人は、城から渡された部屋着のドレス姿で雫お嬢様を見守っている。


 そして彼女たちより先に城内に滞在していた菱田財閥の御曹子の小金崎隼人。

その婚約者の南香織、小金崎の家政婦の山女京子の姿もあった。


 女優の早乙女沙織は、剣術に興味のない素ぶりで武道場の窓から外を眺めていた。


 メイドたちは、非常時体制を通知されていたが日本からの来訪者は知らない。

メイドのひとりが沙織に寄り添ってガードしている。


「ーー あのメイドさん、外が騒がしいんですけど」

「沙織様、詳しく申し上げられません」


「・・・・・・ 」

「日本の皆様をここに集めたのも国王秘書クーニャさまの御命令です」


「それで日本人が沢山いるのね。でも玲子や零の姿がありませんが・・・・・・ 」

「多分、彼女たちはメリウスさまとご一緒にじゃないかしら」


「そうなのね。私は小金崎監督が傍にいれば問題ありません」

「沙織様も、他の方々もメイドたちが付き添って、城内のお部屋まで御案内します」


 沙織が窓の外を指差して言った。


「メイドさん、中庭の方向から黒い煙が上がっていますが・・・・・・ 」

メイドは何も言わず、入り口付近に視線を投げた。


   ⬜︎⬜︎⬜︎



 私服兵の一団が、勢いよく武道場に入って整列して並ぶ。

その中で恰幅のあるリーダーの男が言った。


「今日は訳あって、ここの使用を間もなく中止にします」

「ーー 」


「みなさんはメイドと一緒に地下通路を通じて城内に戻ってください」


 小金崎隼人が大きな声でリーダーに言った。


「なにかあったんですか? 」

「それは上の命令で申し上げられません」


 小金崎は監督業の立場から素早く理解して黙った。


 メイドを先頭に日本の来訪者が続いて移動を始めた。

小金崎、南、山女、早乙女、雫、朱雀、家政婦五人を合わせた男女。


 十一人が地下に通じる階段を降りた。

足音が響く後方には私服兵の一団が従っている。


 地下通路の幅は途中から広くなって五人ずつ並ぶことが出来た。


 地下一階を素通りして、地下二階を過ぎて三階に到着した。

そこには地下武道場があった。


 メイドたちは地下武道場前を通り、長い通路を進む。

通路の両側の壁にあるランプが次々に点灯して明るい。


 沙織はランプに驚いて尋ねた。


「あの壁のランプって自動ですか? 」

「あれは、魔法で点灯しています」


「魔法ですか? 」

「メイドたちが点灯させています」


「でも、来た道は消えていますが」

「私服兵が消していますね」


 沙織は、魔法という言葉に馴染めずに複雑な表情で顔を強張らせた。


「沙織様、そんな緊張しないでください。ドメーヌ国は魔法の王国ですから」

「なるほど」


地下通路が開け宮殿の真下に出た。

硫黄臭が立ち込める大浴場の付近と分かった。



   ⬜︎⬜︎⬜︎



 メイドたちは来訪者を連れて、ルシア第二王女の部屋の隣室にある謁見の間の前に到着した。

そこには、メリウス、零、玲子とルシア第二王女、コットン第一王女、国王筆頭秘書のクーニャの姿があった。


 クーニャが来訪者に説明する。

「実は、結界魔法が損傷して魔物が城内に現れ、メリウスが緊急対応した」

「・・・・・・ 」


「魔物が侵入した原因は現在調査している」

「ーー 」


「メリウスの使い魔の妖精フェリカも加わっているから心配ないが、念の為、この謁見の間が安全と判断した」


 第二王女ルシアがメリウスに尋ねた。


「メリウスの結界魔法って壊れるの」

「人間には十分なレベルですが魔物は想定外です」


「じゃあ、できないの? 」

「メリウスに出来ないことはありません」


「じゃあ、今は」

「ルシア王女、もう既に修復済みです」


「でも人間レベルでしょう」

「いいえ、今回の結界魔法は魔物対応レベルでパワーアップしています」


「メリウスはなんでもできるのね」

「魔法に限界はありません。限界を作るのは魔法使いのレベルでしょう」


 クーニャが二人の会話を聞いてメリウスに尋ねた。

「メリウスさん、今度、その限界の解放を教えてくれませんか」

「クーニャさま、それはできません」


「なんで」

「魔法暴走知っているでしょう」


「知っているわ」

「クーニャさまを危険に晒したくないのです」


「メリウスは優しい魔法使いの女の子ね」



   ⬜︎⬜︎⬜︎



 メリウスはクーニャの言葉に反応して、変身して見せた。

女子高生姿の妖精フェリカが黒猫を抱いてクーニャの前にいる。


「メリウスは私の腕の中にいるわ」


 クーニャは自分自身の失言を後悔していた。

黒猫メリウスが人間言葉でクーニャに話し掛けた。


「事件は未だ未解決です。魔物も魔法銃も分かりません」

「そうね、メリウスさん、次はどうしますか」


 メリウスはフェリカから飛び降りて女子高生の姿に戻って言った。


「待っていても変わりませんから潜入調査が必要です」

「メリウスが潜入するの」


 メリウスはフェリカを見ながら言った。

「わたしとフェリカで潜入しましょう」


 妖精フェリカの緑色の瞳がキラキラ輝いている。


「メリウスさん、次は」


 メリウスは腕組みして天を仰ぎ言った。

「フェリカ、少し懲らしめてみますか」


「メリウスさま、加減して上げないと魔法省が消えてしまいますが・・・・・・ 」

「じゃあ、消えない程度に」

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投稿後、加筆と脱字を修正をする場合があります。


三日月未来(みかづきみらい)

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