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第六十四話 ランティス、日本に忘れ物を取りに行っただけよ!

 朝食を終えたメリウスたちはリニア地下鉄の長いエスカレーターを降りていた。地下から獣の呻き声のような音がこだましている。


「メリウス、気味が悪い音ね」

「ルシアさま、多分地鳴りでございます」


「ルシア姉さん、地鳴りは大きな地震の前に聞こえるのよ」

「零ちゃん、そうでも無いわよ。地鳴りがあっても地震が起こるとは限らないのよ」


 零は意地悪な優翔玲子先生の言葉に舌を出そうとした時、呻き声に似た音が再び反響する。

「玲子先生、地震ありそうですね」

「メリウスさんが言うなら・・・・・・。 」


 玲子が言いかけた時、エスカレーターがガクンと停止した。駅の構内アナウンスが地震発生を伝えている。


「メリウス、今日の新町行きに暗雲ね」

「零さま、じゃあリニア地下鉄を諦めて移動しましょう」


 メリウスの決断は早く、気付けば新町高層ビルの最上階に移動していた。


「玲子先生、今日は留守番している人いませんね」

「ええ、全員いるはずですけど」


 メリウスと玲子先生の会話に零は違和感を感じてぼそっと呟く。


「何かある? メリウス」


 メリウスは零の呟く声に反応せずに全員を目視で確認した。


「夢月邸の家政婦五人もいるわね」

玲子が呟く。


 玲子の言葉に零は不可解な表情を浮かべた。


 メリウス、零、玲子に加え家政婦五人、零の姉の雫、玲子の同僚の朱雀茜、そして異世界からの来訪者たち。ルーク国王、妃シルク、第一王女コットン、第二王女ルシア、筆頭執事スペード、メイド長クローラとメイド三人。秘書のサーニャ、ターニャ、セーラ、ニーナをメリウスは確認していた。


 新町超高層ビルの最上階のフロアの強化ガラスが眩しく煌めいた刹那、二十一人の男女がその場から消えた。二十一人は夢月邸の二階の大きな居間に現れた。




 零と雫がメリウスに言いかけた時、玲子が静止して言った。


「メリウスさん、どう言うことかしら」

「玲子先生、時間がありませんでした」


「・・・・・・。 」

「分からないわ・・・・・・。 」


 朱雀茜が居間の液晶テレビを見て大声を上げている。

「新町超高層ビルが・・・・・・。 」


 新町の超高層ビルが地盤沈下で傾いていた。


 メリウスが言った。

「ちょっと油断していました。まさかってあるんですね」


「それで、メリウスさんが瞬間移動させたのね」

「ええ、私を含めて二十一人だけですが・・・・・・。

ーー 残りの人たちとビルは大結界で守りましたから奇跡と思っているかも知れませんが・・・・・・。 」


 茜がテレビを見て言った。

「新町超高層ビルで最上階の窓が煌めいた時、奇跡が起こったとアナウンサーが言っています」


 メリウスは茜の言葉に反応せずに言った。

「とりあえず一度、ルーク国王のお国に戻りましょう」

「メリウス、意味が分からないわ」


「東都で、これから起こることは申し上げられませんが、避難が必要かと」

「メリウスさん、それはどう言うこと」


「玲子先生にお伝えしても、未来を変えることは出来ません。

ーー 大きな被害があるかもしれません。

ーー 幸い、この地域の岩盤はズレていますので大丈夫です。

ーー 万が一を踏まえて切り上げましょう」


「メリウスさんが言うなら、私はそれでいいわ」

「よく分からないけど、玲子先生がオッケーなら私もメリウスに従うわ」




 メリウスは零に魔法時計の発動を準備させた。

「メリウス、全員で二十一人になるわよ。できるかしら? 」

「零さま、一人も十人も百人も同じこと。

ーー これは動力じゃありませんから」


「そうね。運動音痴な私にそんな力などありませんし・・・・・・。 」

「零、いいのね」

 第二王女ルシアが零を優しい眼差しで見つめながら言った。


「ルシア姉さん、また何度でも日本に来ましょう」

「そうね、零とメリウスがいればいつでも来れるわ」


 メリウスはルーク国王に家政婦五人の追加の承認をお願いして了承された。玲子先生と零が家政婦五人に異世界のことを説明した。家政婦たちは青天の霹靂に戸惑いの表情を浮かべたが笑顔で受け入れて言った。


「零さまと雫さまのお世話なら私たちにお任せください」


 メイド長のクローラが家政婦に言う。

「私たちの国では、あなたたち五人の家政婦さんもゲストなのよ。

ーー なんの心配もいらないわ」


 メリウスは居間で大きな円陣を作り最終確認を告げた。

「これから次元扉の中に入ります。

ーー 時間が停止しますが大丈夫です。

ーー 隣の人の手を離さないでください」


 零がメリウスのウインクを見て魔法時計のパネルを開いて行き先を選択した。

「じゃあみなさん、行きましょう」


 次元トンネルの暗闇に慣れた頃、向こう側に光が見えた。


「あれは、朝霧女学園の裏門よ」

 妃シルクが言った。


「零、ちょっとズレたわね」

「ルシア姉さん、ちょっとだけよ」


「零、裏門よ」

「コットン姉さん、裏口の方が目立たないわよ」


 二十一人は裏門を経由してメリウスの瞬間移動魔法でドメーヌ城の正面玄関横に現れた。




 玄関前には金髪のランティス王子と銀髪のティラミス王子が待っていた。

「みんな、急に消えて何処に行っていたの」

ランティス王子だった。


「ランティス、日本に忘れ物を取りに行っただけよ」

「ルシア、忘れ物って」

「大切な思い出かな」


「ティラミス王子、馬車の準備が出来ました」

 馬車担当のクローバーの声に筆頭執事スペードが振り向いた。


 視線の先にはルイ・ザード大隊長が私服兵に指図している。

「ルイ、何かあったのか」

「国王陛下、例の件が進展して調査を手配しました」


 ドメーヌ城に午後の日差しが差し込み池の水がキラキラと光っている。朱雀茜と五人の家政婦は大きな城の前庭に目を見張っていた。


「大きなお城に綺麗な池ね」

 茜が城を見上げながら言った。


 いつの間にかランティス王子が朱雀茜の横に現れ言った。

「あなたの方がキラキラと眩しく見えますよ・・・・・・。 」

 お読みいただき、ありがとうございます!

約二千三百文字です。

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三日月未来(みかづきみらい)

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