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第六十話 お父さま、あと一日、日本観光したいわ!

『第六十話 お父さま、あと一日、日本観光したいわ!』

約二千二百文字です。

 元ファッションモデルの優翔玲子(ゆうがれいこ)は、薄茶色のサングラスに大きな白い麦藁帽子を被っていた。

 若草色の短パンにコーラルピンク色のアロハシャツの零や雫と違い、短めの青色のワイドパンツに爽やかな青色の半袖シャツを着ている。

 東都タワーの観光客も、元モデルの玲子に気付かない。


 玲子がタワーの高さと、その高さの理由をルークとシルクに説明している。


「今、私たちがいるのがメインデッキよ。昔は大展望台と呼ばれていたそうね」

「先生、ここの高さは」

零が尋ねた。


「ほら、あそこに書いてあるわ。

ーー ええと、百五十メートルね。

ーー この上には、トップデッキがあるの」


 玲子は、パンフレット見ながら説明を続けた。


「トップデッキは、特別展望台ね。だから、二百五十メートルになるわ」

「先生、ここアニメの舞台として有名でしょう」


「零ちゃん、私もアニメファンだから知っているわ。

ーー 確か、マジックナイトでしょう。

ーー 突然、タワーの窓から凄い光が差し込み、異世界に召喚されるシーンよね」


 ずらしたサングラスから玲子の瞳がキラキラ輝いていた。


「先生、ちょっと、ここでは拙いような」

零の双子の姉、雫が呟く。




 タワーの大窓に光が反射して玲子たちは驚く。

 通りすがりの何処かの制作会社の撮影ライトだった。

タイミングが悪いと起きないことにも、まさかと思うのが人間心理である。


「玲子先生、ここから真下が見えるけど」


 高所があまり得意でない玲子は、零の言葉に頷くのが精一杯だった。


 ルーク、シルク、ルシア、コットンは、高所が苦手らしく、いつもの陽気な雰囲気が影を潜めていた。

サーニャ、ターニャ、セーラ、ニーナは職業柄、平静に見えた。


 ただ敏感なターニャのご機嫌は良くない。


 メリウスはそっと、みんなにリラックス魔法を掛けていた。


「メリウスね、身体も気分も軽くなったわ」


 ターニャはそういうと、ルークとシルクの周囲を確認して安心する。

 玲子たちはメインデッキの下りエレベーターの前で待っていた。




「玲子先生・・・・・・・ 」


 玲子の背後から女子高生が声を掛けた。


「あら、利恵ちゃん、どうしたの 」

「親戚の子たちのリクエストでーー 先生は 」


「私も同じようなものね」


 朝霧女学園の生徒は中学生くらいの女の子を連れて離れて行った。

東都タワーの女性ガイドがエレベーターの到着を案内している。


「みなさん、降りるわよ」

玲子が引率の先生役をして、右手を上げお声を上げた。


 女子高生の利恵が遠くから玲子に手を振っていた。

玲子も利恵に気付き、微笑みを返しながら白い麦藁帽子を高く上げて振った。




 玲子先生を先頭に一階に到着した一行はビル内を見学したあと、メリウスが近くの公園を提案する。

チケット売り場の前を横切り路上に出て、右手へ延びている下り坂のアスファルトの路上を降り終え、左手側にある森の中を進んだ。


 初めての道ってワクワク感が手伝って、疲れを感じないと零は考えていた。

下り坂で、るんるんしているのは零だけだった。

 下り坂って本当は歩きにくいのですが、運動音痴の零にそんな余裕がある筈もない。


 メリウスは人目の少ない場所を選んで、転移魔法で全員を夢月邸に飛ばすことに決めていた。

メリウスは、零、雫、玲子、ルーク、シルク、ルシア、コットン、サーニャ、ターニャ、セーラ、ニーナの名前を呼んで確認した。


「じゃあ、みなさん、ちょっと目を瞑ってください」

 メリウスが発動した瞬間、核融合の瞬間のような光が放射された。

公園から十二名の男女が消え残光がメラメラしていた。


 メリウスが目を開けてくださいと言った時、一同は五階建ての夢月邸の玄関前にいた。


 五人の家政婦と一緒に三人のメイドとクローラが出迎えた。

スペードは、遅れて玄関に到着する。


 不慣れな他人の邸で勝手がわからないスペードだった。

クローラは意外なスペードの欠点を見て微笑ましいと感じている。


 玄関の扉を零と雫が開けた。

 ルーク国王とシルク妃が最初に入り、第二王女ルシア、第一王女コットンが続いた。


「国王さま、お帰りなさいませ」

 クローラとメイドが言った。


 筆頭執事のスペードは城と同じく、直立不動で国王に敬礼をしている。


 夢月邸の大きな玄関で、全員が靴を脱ぎスリッパに履き替える。


 国王は日本習慣に驚き、シルクに相談を持ち掛ける。


「シルク、どうじゃ、我が国でもスリッパ」

「メリウスさんに相談しましょう」

 シルクは、メリウスのファンになっていた。


「シルクさま、遅いランチですが」

「スペードたちも、まだなのね」


「はい」

「ご一緒しましょう」


「勿体ないお言葉」




 夢月邸の五人の家政婦がエプロン姿で、三人のメイドに食堂を案内した。


 メイドたちは、家政婦の説明を覚えてクローラとスペードに伝えた。

 メリウスが主賓を食堂に案内し、王女ルシアとコットンが席に着く。


「ルークさま、日本はどうでしたか? 」

「メリウスさん、素晴らしい国だよ」


「それで、ご滞在ですが」

「メリウスさん、お任せするよ」


 第二王女ルシアが助け船メリウスに出す。


「お父さま、メリウスさんが困っていますわ」

「そうだね。じゃハッキリ言おう。あと少しだけ、どうかな」


 ルークは、躊躇いがちに伝えたが、シルクが言った。

「みなさんを、我が国にご招待しては如何でしょうか? 」


 ルークは、食堂のバルコニーに出てルシアとコットンに尋ねる。


「シルクは、あゝいうが、ルシアとコットンはどうかな」


「お母さまの意見に賛成よ。だけど、お父さま、あと一日、日本観光したいわ」

 コットンがルシアに微笑みながらルークに言った。

 『第六十話 お父さま、あと一日、日本観光したいわ!』

約二千二百文字です。


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三日月未来(みかづきみらい)

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