大じな話は聞き流す。
・・・ディフォルメ無しでも圧倒的な可愛い手が俺に差し出された。
・・ちょこまかと、、てくてくと。
俺がこの手を握ったらどうなるってんだ?
宜しくと、このエセ西地方の方言混じりに語りかけてくる俺に悪意を持って憑依とかいう行為をしてきたコイツのこの怪しくも愛らしい手を。
・・・。
「っは!!」
気付けば俺はしゃがみ込みコンと名乗る狐の手を握らされてしまっていた。
「何やねん!!
ご主人!!
馴れ馴れしいにも程があるやろ!!」
「っは!!!」
気付けば俺の手の中でジタバタするコンの頭を撫でながら喉の辺りをゴロゴロして、、嫌、させられていた!!
流石、、神!!
俺の小動物好き心を上手くくすぐるとは。
しかもこうも容易く、俺の・・・なんとかしん?
猜疑心?
を解くなんて。
・・・ふむ。
神とか名乗る位だから、寄生虫とか病気とかは無い筈。
ツーことは、触り放題、メデ放題という訳だ。
「やめんかいご主人!!
儂、安い神やありゃへんねんぞ!!
あああ!!元やけどなっ!!!」
引き続き、きぃーきぃー俺の手の中で身体を動かし、講義を示しながら喚くコンを見ながら、野生の狐だったらこうはいかんだろうなとしみじみ思う。
俺、少し潔癖入ってるし。
ふふ、それに、本人もそう嫌がっていない様だしな。
ふふふ、俺は見逃さんぞ、その嫌よ、嫌よも好きの内の
顔。
「・・・・ああ、ご主人、その顔、ごっつきしょいで、
あのくそ女神も真っ青や!!」
女神?
ふふ、どうでもよい、久々の小動物とのスキンシップなんだ、少し我を忘れて愛でるのもいいじゃないか。
ワンコとかに比べたら少し固めだけどコレはコレで、いい。
モフモフには程遠い毛量だがコレもコレで、いい。
「で、蝕って?」
「ん?
ただ呆けてた訳や無いんやな、流石の胆力っちゅー事か?」
「ふぅ・・・・。」
休憩時間も終いだ、状況把握は今は2番目に大事なファクターなんだから。
「流石って、俺はただこの状況を把握したいだけだ。」
周りをぐるっと見回すが、周囲はまだ先程からの暗闇を維持していた。
「朝の忙しい時間帯が何でこんなに暗いのか、っていうかさっきのアレの説明!
わかるんだろコンなら。」
我ながら周囲に目が無い事を確認済みだからこそ出来るシュールな光景だ、大の大人が小動物に語りかけるなんて。
しゃがむのが面倒だからコンの位置は俺の肩になっている。
獣特有の臭いは感じない。
・・・・嗅ぎたかったわけでは無い。
「・・・まぁ、簡単に説明すれば、儂が元いた世界と、ご主人の世界が融合、、嫌、ちゃうな、、ユーメリアが地球を奪う、、嫌、、食う。
うん、こっちのがしっくりくるな、蝕、侵蝕・・・。
かか、、。」
コンは人間の様に表情をコロコロと変えながら、ニヤリと赤い口を開け、短い舌をチロリと出し人間宜しく舌舐めずりをする。
「おもろいのぉ、文明的に言えば、地球の方がよっぽど優ってるっちゅーのに、儂がこっちに来た時には地球の意思はのうなくなってもうとった。
死んだ星を生きた星が捕食したっちゅーのが正しいのか。
何にせよ、魔法のなせる業やのう。」
「ユーメリヤ、魔法?」
予想通りというか、それ以上というか。
「せや、、魔法や、ユーメリヤは意思を持つ星、生きてる星や、その意思が地球の捕食を望み、魔法を使用し、地球を喰ったんや。
まぁ・・・あくまで儂の私見やが、そういうこっちゃな」
「私見ってあてずっぽうって事か?」
「かか、あてずっぽうか、まぁ、信じるか信じないかはご主人次第や。
これから地球はユーメリアに主権を奪われ科学と魔法の星になる。」
「科学と魔法か、本当にどっかの人気小説だな」
「かか、かかか。
そこらの三文小説顔負け、ラノベの殆どが予言書扱いになる、ファンタジー世界の幕開けっちゅー事や。
じゃがのう、ご主人、状況は地球人にとってかなり悪い・・・・と思う。」
「実に楽しそうに、えらい事を言うな。
コンの口ぶりじゃあ、ユーメリア人ってのもいるんだろ、飲み込んだと言うことは、星二つが一つになる。
人口爆発だって起きるだろうし、生活、インフラ、おいおいおいおい、考えるだけで吐き気がするぞ、ユーメリア人ってのが、友好的とは思えないし。
こりゃ、ディープインパクト、嫌、アルマゲ、、インディペンデントデイ、未知との遭遇、、、。
あああああ、、、もう食われてるんなら、手遅れも甚だしいだろ!!!」
頭を抱える俺を励ますかのように、コンは俺の頭に可愛らしい肉球をポンポンとする。
「まぁご主人は大丈夫やろ、なんったて、アレだけのスキルとアイテムをゲットしたんやし、人間の寿命が90やとしたら・・引き篭もって何をせんでも生活出来るやろうし。
むしろユーメリア側としたら、、引き篭もってもらっとった方が、スムーズなのかもしれんのぉ、色々と。」
「なぁ、コン、お前がさっきから言ってるスキルって、一体?」
「・・・ほんまに忘れてもうてるんやな、●●●●●●や、・・ああ、こっちの世界でスキルオープン言うてみ。」
「スキル・・オープン」
・・・おお。
大方予想はしてたが本当に出た。
俺の目の前にタブレット大の画面が。