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初めましての挨拶は大切です。

・・・・目が覚めた。


だとしたらさっきのも夢?


自宅の寝室?

何も見えない程、暗かった。



常夜灯はつけているはずなんだけど。


まどろんだ意識がはっきりしてくると背中に感じる違和感が痛みだということが解る。

眼鏡を取ろうと手を動かしてみるとパラパラと音がする。



その音で自分に何があったかを思い出した。

記憶が蘇り、現実とは思えない光景が脳内に再生される。


ドキドキと心臓が高鳴る。


動揺なのか、高揚なのか。


明らかに異常と思える動悸に恐怖を覚え、ジャージの上から心臓の辺りをギュッと鷲掴みにする。


「はぁ・・・はぁ・・はぁ」


上体を起こし。呼吸を落ち着かせる。


背中だけではない、こめかみに感じる鈍痛、片頭痛、首、肩、腕、、、身体の節々が痛い。


こんな所に寝たせいで風邪でも引いたのか、もしくは、あの化け物が未知の病原菌を保有していてソレが俺に?


軽率すぎたか?


頭を抱える。


軽率だった?


頭を抱えるもんなんだな・・実際。

人間って自分の想像を遥かに超える出来事に遭遇するとこういうポーズをとってしまう生物なんだ、もちろん個人差はあるだろうが。


はは。


戯言を考える余裕はある。

精神はまだやられていない様だ。


・・・風?


辺りは物静かで空気が澄んでいた。

つい先程まで俺とアレの死闘が繰り広げられていた場所とは思えない。

俺に夜目でもあればあの緑色の血糊が目に入ったのだろうか?

それともあの死体と同じく忽然とまるでゲームの様に綺麗さっぱり消えてしまっているのか。


それにしても・・・暗い。

自分の片手でさえ神経が繋がっていなければ、繋がっているかどうか確認する事さえ怪しい。


神社は照明のおかげで明るかったはずだ、それを目当てでここに入った訳だし。

  

時間で消えるライト?

設定なのか?


嫌、そもそも今何時なんだ?

時計を確認する。


・・・・午前7時33分?


時計を確認する。


34?

7時?


朝日が出ていても何もおかしくは無い。

嫌、もう既におかしいだろ。


そういえば、それ以前に音が、何も聞こえてこない。

鳥の囀り、犬の鳴き声、車の音、電車の音。

何もだ。


この暗がりの中俺一人だけ。

そんな心細さを感じる。


心細いってそんな状況じゃないだろ。


会社に行く時間、嫌、その前に家に戻ってシャワーだけでも。


嫌、、、嫌、、、そんな場合じゃない、この異常ともいえる状況に全く頭がついていかない。

いくら寝起きだからって現実逃避なんかしている場合じゃない。


「蝕やの」


声がした方向を見たが何も見えなかった。

声がした方ではない、聞き覚えのある声は俺の頭の中から聞こえた。


「?」


「ああ、さっきぶりやのぉ。」


さっき?


なんや?

つれないのぉ?

・・・・ん?

おんし記憶が曖昧みたいやな?

まぁええか、ほな、面倒やけども一度自己紹介やな。

儂の名前はコンや。

元、神様やで。」


「コン?

神?」


「せや、コン様や」


・・・俺も名乗らないといけない状況なんだろうか。


「そりゃ、そうやろ、名乗られたら名乗り返す、それが自己紹介っちゅーやつやろ。」


「はぁ・・・一人、斎藤一人」


「かずと、まぁ儂はさっき聞いたんやけどな、流れゆうやつやな」


面倒臭いなこの声、ってゆーか、何なんだよ、少し受け入れてる俺がいるのが怖いわ。

え?

嫌々しかも神って!

怖いだろ普通にこれ!!


「・・・コン様って・・・あの、何者なんですか?」


「さまて、他人行儀やなぁ

おんしと儂はもう他人とちゃうんやで、コンでええわ」


「・・・・?」


「あ・・せや、記憶のなったんやな、儂がこの世界に留まるのに必要やったんやな、生身の身体が、んで手短な所におんしの身体があったから失敬しようおもてな、おんしに憑依したんやけど、そん時ちょうど・・」


「ちょっ待って、失敬って?

憑依!?」


「せやせや、単純に言うと乗っ取ったろうとおもて、おんしに憑依したら逆に飲み込まれてしまった的なやつじゃ。

かっかっっかかか!!

どうにかせんか!!

嫌、無理か!!

かっかっっかっかかか!!」


「?」


状況が飲み込めん。

頭の中で俺の意思とは別の何かが話しかけてくる気持ちの悪い感覚。

精神的に吐きそう。

目の前の暗さが更に濃くなったような。


「ダメだ、気持ちが悪い、出て行け!!」


「そりゃ、出来るんなら儂もやってるがな!!」


「知るか!!」


「って?

え?あれ?え?

ええええええ!?」


プツンとテレビのスイッチが消えたかのようにコンと名乗る未知の存在が頭の中から消えるのが理解できた。


「!」


ほぼ同時に俺の後方からポンっと何かが出てくると砂利の上にポンポンとサッカーボールがバウンドするかの様に光の玉が転がった。


その玉がニュルンと変形するとポテっと白い子犬が転げ落ちた。

嫌、子犬じゃない、一瞬犬に見えたが違う。

目鼻立ちがキュッと整った狐。

白い、真っ白な狐だった。


「おいおいおい、まことかのぉ、おんしを乗っ取っとるつもりで入ったんじゃが、こうも容易く追い出されるとは・・・・。」


狐の視線が俺に向けられる、体躯こそ可愛い子狐の様であるが、その鋭い視線はたじろいでしまうほどの寒気を俺に感じさせた。


「しかも、身体まで。

コンマイのがちと不便そうじゃが、そこは魔力でなんとかなるじゃろうな。」


器用に二本足で立つと両手?

を広げキョロキョロと自分の身体を見回す。


「しっかし、難儀なのは従属の契約を結ばされとる事か、儂、受諾・・・した覚え無いんやけどな。」


そう言うと狐は俺をチラッと一瞥し頭を掻きむしるような大袈裟な仕草を見せる。


「あああああ!!

それも、これも、あのあり得ない量のスキル付与の為せる業という訳か。

けったくそ悪い!!

コレでも儂神なんやけどな、元やけど!!」


ポンポンと足をバタつかせている。


「・・・・狐が独り言。

嫌、動物が喋ってるところからおかしくないか?

しかも仕草がばかに人間くさい!!」


「まぁ、、ええか!!」


ちょこちょこと小動物が俺の所に歩いてくる。


「チューワケや、宜しく頼むで、一人はん、嫌、ご主人」


小さい手が俺に向けられる。


誰か、、説明宜しく。



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