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【揺花草子。】(日刊版:2022年)  作者: 篠木雪平
2022年03月
70/364

【揺花草子。】[#3696] 知恵を使う。

Bさん「阿部さん、今日は3月11日。」

Aさん「んん・・・そうだね。」

Cさん「あれから11年よ。早いものね。」

Aさん「早いものですね・・・。」

Bさん「毎年言ってるかも知れないけれども、

    今日この日にあの日の事やそれから数日数週間の事を

    思い返したりするわけだけれども、

    正直昨日の事のようにはっきり覚えてる。

    世に言われるような記憶の風化なんて無縁ではあるよ。」

Aさん「まあ、ぼくらはそうかも知れない。

    直接的にあの出来事を体験しているわけだからね。」

Cさん「そうね。

    でもそうでない大多数の人々にとっては、

    11年と言うのはもう記憶の彼方に薄らいで消えてしまっても

    おかしくないぐらいの年月だわ。」

Aさん「ええ・・・それも、そうだと思います。」

Bさん「それが悲しい事かどうかは人に依るかなとも思う。

    長い時を経る事で傷が癒えると言う事もあるだろうしね。

    一概に時が過ぎて忘れされるのが完全悪とは言えないんじゃないかな。」

Aさん「うん。そうだね。

    もちろんあの出来事で得られた教訓はこの先もずっと

    受け継いでいかなければならないと思うけれども、

    ただ心を擦り減らせ前に進む勇気を鈍らせるだけの記憶なら

    いっそ忘れてしまうのもひとつの解決かも知れないよね。」

Cさん「もちろん人による、だけれどもね。」

Aさん「ええ。」

Bさん「ぼくら【揺花草子。】はあの年のあの出来事の少し後から

    コンテンツが始まったわけだけど、

    逆に言えばあの出来事がなかったらもしかしたらぼくらは

    阿部さんとこうしてちょいちょいお話をするような機会は

    なかったかも知れないよね。」

Aさん「そうだね。

    あの出来事があったから・・・と言うと肯定的過ぎるかも知れないけど、

    あれがいろんな意味でいろんな人のいろんな人生に

    いろんな影響を与えたと言うのは疑念の余地がないと思う。」

Cさん「もう二度とあんなことは起こって欲しくはないけれども、

    起こってしまった事実を無くす事はできないわけだからね。

    であれば私たちはあの日々を乗り越えて、あの日々を糧にして、

    こうやって新しい日々を紡いでいくより他ない。繋いでいくより他ない。

    それがきっと、私たちがなすべき事だと思うわ。」

Aさん「ええ。そうですね。」

Bさん「悲観的にも楽観的にもならず。

    正確に、正当に、正直に、あの出来事を評価する必要がある。

    所詮は人なので感情が先に立つのは心情的に理解はできるけれども、

    気持ちの強さだけであらゆる物事が解決できるものではないからね。」

Aさん「そうだね。

    ぼくらはきっと、もっと賢くなれるはずだし、うまくやれるはずだから。」

Bさん「その通りだね。

    そしてその時が来たらぼくらは本当の意味で

    あの出来事を乗り越えたと言えるようになるんじゃないかな。」

Aさん「そう言う日が来てくれることを祈りたいね。」


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