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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

突然授かった異能【MCオペレーター】がチートでした

作者: 高球

息抜きで書きました。

この業界を知っている方も知らない方も頭を空っぽにして読んでください。

《個体名:『紀貝(きかい) 幸作(こうさく)』。あなたに【MCオペレーター】の異能が授けられます》



「え?なに?」


その日、全人類にあらゆる異能が授けられ。


『きゃあーーーー!!』


異形の生物が地球上に闊歩するようになった。


「うおおおおーーーー!!?」


そして俺は猛ダッシュしている。


「ウキャーーーー!」


休日の昼下がり、部屋でだらだら好きなラノベを読んでいると頭に響く意味不明な声。

そして直後外から悲鳴が上がったと思ったら。


「あのぉ!?人違いじゃないですかぁ!?ハロウィン!?ハロウィン的なやつですよね!?」

「キャキャーーーー!」

「日本語しゃべってぇーーー!」


奇声を上げ俺の背後まで迫るやけに背が小さく肌の血色がめちゃくちゃ悪い変人が、ベランダの窓をぶち破ってダイナミックなお邪魔しますをかましてきたのだ。


ちなみに今は4月で春真っ盛り、当然ハロウィンではない。

お菓子メーカーがまたもなにか日本の慣例行事を操作したものかと、一縷の望みをかけただけだ。


「いやマジで!いやマジでほんと!まじだから!ふざけんなマジで!」


そんなアクティブな訪問者は人生で初めてで一瞬あっけにとられたが、変人が持つ鉈のようなものともう片方の手が掴む大量の黒い糸の塊を見て俺は絶叫した。

それはちょうど人の頭くらいのサイズで・・・


「マジなの!?これマジなの!?マジならマジって言って!?」

「マジーーーー!」

「言えんのかいぃ!?マジでーーー!?」


それから弾かれるように玄関を飛び出し今のような状況に至る。

語彙力が著しく低下するのも仕方ないと思うの。


「だ、誰か助けてください!!」


ビニールひもに括られたスイカの様に、今だ掴んでいるアレを振り乱しながら迫りくる鬼の形相に、たまらず誰とも知れない誰かに助けを求める。


・・・いや、スイカをそんな風に振り回したことはないけど。


こういうのは、とにかく危機を周知させるのが大事。

火事現場に集まったやじ馬がだれも119番通報していない集団心理的な状態になっちゃうから。


「いやぁー!誰かー!」

「うわぁあ!助けてくれぇ!」

「助けて!死にたくないぃ!」


うん。

ご近所さんはそんなことなかったようだ。

キチンとそれぞれに危機を声張り上げて周りに伝えている。


「そこら中に居るの!?」


どうやら、変人に襲われているのは俺だけではないようであちこちで悲鳴が上がっている。道端の車もぼっこぼこだ。


女性は違う意味でも襲われているようで思わず二度見してしまう。

そんな下世話な不注意がいけなかったのだろう。


「あだっ!?」


進行方向に転がっていた何かに躓き走る勢いのまま転倒してしまった。

すぐさま変人に距離を詰められる気配に肝が冷えるが、躓いた障害物を見て体は硬直。動かなくなったそれも、頭部と呼ばれる部位がすっぱりと無くなっていた。


「キャキィーーー!」

「ひっ・・・!?」


横たわる死体を跳躍で飛び越え迫る変人。

ヒュッと喉から出る情けない悲鳴、恐怖で動かない体、立ってもいないのに笑う膝。


ヴン——・・


どこか耳障りな小さい低音を耳に聞くと、全身がびくつき体の自由が戻る。


「ぅわぁ!?」


多分変人が鉈的なものを振り下ろしたと思う。

それを奇跡的に不格好な横っ飛びで転がり避けられた。


そして再び走り出す。


「なんだよなんだよなんだよマジで!」


変人にも死体にもウンザリしているというのもあるが。


「なんなんだよ、この下敷きみたいなの!!」


目の前には透けた水色の下敷きのような何かが浮遊し、走っているにもかかわらずそこに留まっていた。


(落ち着け!これはあれだ!ステータス画面ってやつ!)


余りに未知なので自分の知る知識を当てはめる。というかこの状況もはや()()としか思えない。


(『異世界がきた』ってやつだ!絶対そうだ!)


有酸素運動と恐怖に早まる鼓動と、そこに好奇が交わり更に心音が高鳴る。ヤバイ、マジヤバイ。


(こうなるとあれだ、さっき部屋で聞いた声!)


異能が授けられた、とか言ってたやつ。それ使って戦うイベントだこれ。


「・・・・でもなんも書いてないじゃん!?」


ステータス画面と思しきものには何も記載されておらず、そこにあるのは四角い面とテンキーと色んなボタン。

ノーパソを全開に開いた感じだ。


「なんだよこれ!何が何だか全然なんだけど!?」


どうやら触れられそうなのでヤケクソにそこら中触ってみる。


POS?PROG?MDI?EDIT?

HDL?JOG?REF?

X、Y、Z、C?


(なに?『×1』『×10』『×100』『×200』『×1000』『×10000』・・・・)


なんのこっちゃ。


「なんだよ!説明ぐらいしろよ!スマホみたいに直感操作にしろよ!」


危機感と苛立ちででたらめに指先で叩いていく。時々音声が発せられるがその内容もよくわからない。

やがてわからないこいつをどうこうしようとしても無駄だと悟り、最後の操作で発せられた音声は、


《モード:『HDL(ハンドル)/×10000』》


「ああそうかよ!」


落ち着いた時なら、目の前に出現したホログラムみたいな下敷きを叩いて音声が響くだけでテンションもブチ上ったろうが、今はただただ意味不明な内容が腹立たしいだけだ。


(まてまてまて!声だ!声!あの時なんて言ってた!?)


そう、確か・・・

【MCオペレーター】


「知ってる!知ってるぞ!あれだ!工場で鉄とか削るやつだ!」


求人探している時に見かけた、主に『マシニングセンター』っていう産業機械を操作する職業だ。

よかったー知ってる単語が出てきて。


・・・

・・


「で、なに!?」


何がどういうことなのか。今の営業職から転職しろとでも?今じゃないでしょ今じゃ。

ていうかこれもう文明崩壊しちゃうじゃん、仕事もくそもないじゃん。変人よく見たらまんまゴブリンだし。


まぁ、文明崩壊の前に、


「だめ、だ・・・はぁ。もう、走れ、ない」


俺の終わりが近いみたいだ。


「あーくそっ・・・」


落ちていた小石を拾いながら迫るゴブリンを振り向き地面に腰を下ろす。

脚が短いから走るのは遅いけどスタミナは俺よりもあるらしい。


「はぁ・・・はぁ・・・」


死にたくない、でももう逃げられない、死にたくない、でも何もできない、死にたくない。


「キャキャキャ」

「こっち来たら、石・・・投げっからな」


俺がもう動けないのを理解したのか、へたり込む姿を嘲笑うかのようにのそのそと歩み寄ってくる。

言葉が通じていないのかこちらの子供じみた脅しに特に意に介した様子もない。


最も・・・


「キャーーーー!!」

「この野郎・・・!」


こんな小石を投げつけられたところで、掠り傷にもならない。



(あ。死んだ)



鉈を振り上げ飛び掛かるゴブリンに手を振り下ろし投げつけた小石。

最後っ屁のそれすらも明後日の方へ飛んでいき。


死を、確信。



グシャ



鈍い音、肉が裂ける音。

こんな音はドラマやゲームの中だけだと思ったけど、実際なるんだな、と。

苦痛は長引くのだろうか?それとも一瞬なのか?家族は無事だろうか?

走馬灯でも見ているかのように考えることが一瞬で完結していくこの一瞬。


「?」


俺の脳内を支配していたのは。


「??」



「え?なに?」


部屋で頭に響いた声を聴いた時と同じ反応を繰り返す。


「・・・・おぇえええ」


飛び掛かってきた変人、ゴブリンは。

その頭部を大きな杭でも撃ち込まれたかのように、地面に縫われて脳漿を散らしていた。


グロテスクな光景に胃の内容物を吐き出しながら、ほんの少しの怖いもの見たさでちらりと一瞥すると。


「・・・なん、だ?捻じれた、棒?」


実体なのかこの下敷きみたいにホログラム体なのかよくわからないが、確かにそこにはゴブリンの後頭部を貫き砕くそびえ立つ棒。捻じれ・・・いや、模様?溝、か?


「・・・・・ドリル」


そう、ドリルだ。スーパーなロボットが手に付けたり全身から生やしたりするやつだ。

まぁアニメや漫画みたいな巻貝状じゃなくて、見た目はホームセンターに売ってるようなやつだけど。


「うっぷ・・・・一体なんだってんだよ」


吐き気を抑えつつ命拾いしたのに安堵しながら、目の前で起きた現象が理解できず汗で額に張り付いた髪をかき上げると。


「うぇっ!!?」


ビチャリ、と湿った音を立てて物言わぬゴブリンが一瞬頭部から持ち上げられさらに内容物を散乱させながら崩れ落ちた。


「ぅ・・・生きてたわけじゃ、ないよな?」


更に、脂汗をぬぐった手をズボンで拭こうとすると。


「ぎゃ!また動いた!?」


今度は最初ゴブリンが頭部を爆ぜた時の様に上から何かが降ってきたようだ。


「・・・・」


周りの悲鳴を聞きながら、しばらくスプラッタ状態のゴブリンを見て呆ける。


「・・・上げ」


グチャ


「・・・下げ」


ドチャ


その後何度か手の上げ下げを繰り返す。俺のラノベで培った中二脳はある確信へと向かっていた。


「・・・俺?」


もはや疑う余地もない、この目の前の現象は、俺の所作に合わせて動く限りなく存在感の薄いこの『ドリル』は俺が操っているものだ。


周りの喧騒を無視し俺はこの『異能』の把握に努めた。



「上げ、下げ・・・横。お、いける。左、右・・・・これ以上はいかないのか・・・お。寄せることもできる。けど俺より後ろにはいかない、と・・・後ろは俺自身が振り向かないとなのか」


整理すると、俺の正面に立方体の中で動かせるみたいだ。体感、横向き5メートル。奥行も5メートル。縦は5メートルより少し広いくらいか。


「・・・これは、チート能力なのでは?」


あのゴブリンが極端に脆かった可能性もあるけど、手を振り下ろすだけで頭パーンだもん。なんかこれ見にくいし。

地面だって平気で抉れるし。


「ギィィィ・・・」


初めての異能体験にはしゃぎ公共の道路をがつがつと傷めてるから罰が当たったのだろう。


「あれ?そういややけに静かだな?」


助けを求める声やら悲鳴やらがすっかり鳴りを潜めいつもの閑静さを取り戻した街並み。


「ギギギギッギ・・・」


一つだけ、常と異なる聞いたことのない動物の鳴き声のような唸り声のような歯ぎしりのような音に振り返ると。


「マジか」


目の前には俺がグズグズにしてしまったゴブリンより一回りも二回りもデカい・・・・あ、これあれだ。

ホブゴブリンってやつだ。


「ギャーーー!」

「ぅ、ぐ!?」


でかい図体してかなり動きが速い。というか俺がパンピー過ぎるのか知らないが、逃げも回避もできず首元を締めあげられる。


(死ぬ!死ぬ!死ぬ!)


何かに縋るように手を虚空に上下させ覚えたての異能を動かす。だが、俺を持ち上げたホブゴブリンの後方でアスファルトが弾ける音が響くばかりで何の意味もなかった。


「ギギギ・・・」


プラプラと粗大ごみでも出す気軽さで俺を片手に歩きだすと拘束が緩み解放される。その落下した先には、


「ギャギャ!ギギャッ!」


「ぅぐ・・・」


俺が肉片に変えたゴブリンの亡骸があった。


(仲間意識でも、あんのか・・・?)


罵るように何事か鳴き散らすと、大きな足で側頭部を踏みつけゴブリンの散らばった脳漿へ擦り付ける。少しでも体重を掛ければ人間の頭などここに転がるゴブリンと同じように爆ぜてしまうだろう。


「グギギ・・・」


途端、頭を圧迫される感覚が消える。足を下ろしたのかと一瞬だけ安堵すると。


「ぶ!?あが!?」


靴のつま先で鼻っ面を蹴り上げられる。突然襲う衝撃、痛み、出血。眉間の奥がつんとする感覚。

それに靴を履いていたことにも驚いた。


(痛い、痛い!このやろ・・・!)


涙が滲んでくる視界で見えるのは背を向けたホブゴブリン、そしていつの間にか集まっていたのか遠巻きにこちらを見るゴブリンの群れ。群れの元へと歩みを進め何かを受け取る様子。


その手にはやはり鉈が握られていた。


「く、くるな!」

「ギィィィ・・・」


無論こちらの要求など通るはずもなく徐々に距離を詰めるホブ。そして、後ずさる俺に肉薄すると奴は鉈を一振り。


「ぃっ、だ!?」


太ももを斬りつけられ。


「ギ、ギ、ギィ!」

「がぁあああああ!!」


傷口を容赦なく踏みつけ嬲られる。その力はすさまじく地面と挟まれ身動きが取れないまま激痛を与えられた。


「ギギャァ!」


蹴り飛ばすように踏みつけを解放。そして『アリーナー!!』と言わんばかりに鉈を振り上げ同胞のゴブリンの群れへと声を上げる。それにこたえ鳴き散らすさまはまさにライブのようだ。


(死ぬ、殺される、痛めつけられて・・・)


冗談じゃない、仲間の報復だか何だか知らないがなんで俺がこんな目に合わなきゃいけない?

そもそもお前らが吹っ掛けてきたことだろ。


「ふざ、けんなよ。クソ野郎ども」

「ギィ?」


俺は怒りに我をなくし走り出した。傷は痛むが座ってればどうせ死ぬ。


「この野郎がぁあ!!」

「「「キャキャッ!!?」」」


ドリルの異能が届く範囲まで近づくと無心に狂ったように手を振り乱した。

体を貫き、薙ぎ払い、時にはただ地面を削るだけ。悪あがきを凝縮したような醜い戦い。


「ギャギャァ!!」

「ごふっ!」


それも数秒の事。あっけなくホブの前蹴りは俺の鳩尾とあばらを捉えボロクズの様に蹴り飛ばされ、口から血を吐くというショッキングな体験をする羽目になった。


「ひゅー・・・ひゅー・・・」


肺に穴でも開いたのではないかという妙な呼吸が口から洩れる。自分の死が近いのを予感した。


「ゲギャ!ギャギャァ!!」


だから、これは臨死体験による幻なのかもしれない。


《『工作機械魔法:魔導クーラント砲』の使用が可能です》


(こんなボタン、あった、か?)


ホブの怒声をかき消す頭に響く声。目の前に展開する画面、一点だけ光を放つボタン。

指が吸い込まれるように押し込む。


《発動承認。射出軸を選択してください》


「あ、の・・・くそ野郎共、に」


《目標確認。『あのくそ野郎共』C軸、垂直固定。A軸、射出開始後自動旋回》


起き上がらねば。

本能的にそう思った。


「——————やれ」


憎き異形の群れ、率いるホブゴブリン、総じて消すべきくそ野郎に向かい死の宣告を放つように指先を突き付けると。


《薙ぎ払います》


「ギャ・・・?」


どこからともなく現れた筒。その先端の口から放たれるは光。言ってしまえば『ビーム』。

真昼間にもかかわらず周囲を影に埋め尽くすほどの光源は、横薙ぎの軌跡を描く。


「——————」


半円を振り抜いた光の軌跡は、残留したエネルギーを放出しきるように最後は粒子となりその筒は消えた。


「・・・・」


そして俺の眼前からゴブリンの群れは肉片も残さず跡形もなく消え去り。

膝から上をなくしたホブゴブリンだったものが、そこに立っているだけだった。


「・・・・ッ」


俺の胸中を暴れまわるこの衝動は。勝利。絶望的窮地を脱した、高揚感。生への喜び。






「なんじゃこりゃぁぁぁあああ!!!?」


などではなく。

ただただ未知への驚愕だった。


これが、異形が闊歩する世界を。


「なんなのこれ!?めっちゃ怖いんだけどぉおおお!!?」


ニッチでチートな異能。


【MCオペレーター】で戦い生きていく、最初の話。






終わり


はい、最後までありがとうございました。

こんな頭の悪い作品を書いていきたいです。

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