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第二話


「どうか、立ってくれないか。僕はもう王子ではないんだし、そんなかしこまらなくていいよ」


 子ども時よりも低くなった声に、懐かしを感じるわけがないはずなのに、温かさを感じるところが大きくなっても変わっていないせいか、小さい私を救ってくれたことを思い出し、懐かしくなった。


「ありがとうございます、殿下。」


 私がそう言って立ち上がると、第二王子は儚げに笑った。


「僕は、王族の身分を剥奪されたから、殿下はダメだよ。ノアと呼んでくれると嬉しいな。」


「承知いたしました、ノア様。」


 本当はノア様が罪を犯していない知っているので心苦しいけれど、ここで強く抵抗して殿下と呼ぶのに固執したら、ノア様はきっと困ってしまう。なので、私は素直に従い、お名前を呼んだ。


「それにしても、聞いていた話した随分違うな。たまに、兄の命令でこの島に僕の様子をみにくる者がいるんだけれど、その人の話だと大柄な男が従者としてやってくるって言っていたんだ。それに、髪の色は聞いていた通り茶色だけど......」


 身体がビクリと反応してしまった。たしかに本物のオルトと私の容姿はまったく違う。オルトは大柄で横幅も大きかったが、私は筋肉質だが小柄だ。

 髪の色は、正確にいうと少し違う。私は明るい茶色の髪、オルトは目の色と同じダークブラウンだ。


「目の色は聞いていた話と違う。」


 ノア様はそう言うと、屈んで私の目を間近で見てくる。ノア様と私の顔があまりにも近くて、顔が赤くなるのを感じた。


「君の瞳は、綺麗な夕日の色だ。」


 そう言われた瞬間ドキリとした。なぜなら、昔、会ったときと同じことを言われたからだ。

 もしかして、昔の私を思い出しのではないか、そういう気持ちもあったけれど、それよりも嬉しさからくるよ胸の高鳴りが大きかった。


 私は子供の頃、ノア様に出会って人生が変わった。あのときもらった言葉は、私の生きる希望となった。もし、ノア様に出会っていなかったら私はとっくに死んでいたと思う。


「昔、君と同じ髪と瞳の女の子と出会ったことがあるんだ。もしかして、お姉さんか妹かいる?」


 さっきから、私の心臓は忙しい。もしかしたら、違う子かもしれないけれど、赤い目は珍しい。だから、もしかして私のことではないかなと思ってしまって、胸が高鳴る。


「いえ、おりません。」


「そっか、残念だな。もしもそうなら、あの子がどうしているかずっと気になっていたから、近況を聞けるかと思ったんだけど。」


 今すぐ、「それは私かもしれません」と言いたい。でも、必死で我慢した。



読んでいただきありがとうございます。

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