プロローグ
穏やかではないニュースが流れている。
明日の林間学校に行けるかもわからない状況。
学年全員に体育館に集まるように言われたとき話されることを、理解した。
その答え合わせをしようとたくさんの人が話し出す。
体育館履きに、履き替えようとして誰かに引き止められた。
話がある。
なんとなく気づいていた視線。
俺と話すときに、いつもと様子が違う。
鈍感系主人公でも気づきそうな、むき出しの好意。
好意がバレていると気づいてなお、この心地いい関係を崩したくなくて、崩されたくなくて。
いつもなら用事があるから明日でいい、なんていって逃げられたのに今日に限って逃げられない。
そんなあいつのところに、学校全体で有名なヲタクのあいつが俺を連れて行く。
自分で来いよ、なんて思っても言えなくて。
それ以上に、どうやったら逃げられるかなんて、もう手遅れなことを考えて。
もうあいつの言おうとしている言葉なんて気づいてて。
それでも俺からは、言わないように気をつけて。
あいつの、緊張している顔を見て。
マスクで見えないあいつの唇から、言葉が紡がれた。
俺は、なんて答えたんだったか。
次会ったときに話す。
そう言って逃げたんだ。
そのあと、体育館で林間学校に行けないこと。
そして臨時学校休校要請が、出された。