天の布
天に大きな布が垂れ下がっていました。
どうやって吊るしているのか、
雲に覆われていてよく判りません。
賢い人が言うには、天の終わりにある縁に
引っ掛けているのだろうとの事でした。
途方もない時が経ったあと、
天の向こうから大きな手が伸びて来て、
布を掴み取ってゆきました。
それを見ていた人々は驚きもせず、
がっかりしていました。
天の布には恐れ敬うべき意味があるものと信じて、
様々な伝説を語り継いで来ていたからです。
それは大きすぎる、
高すぎる場所に干してあっただけの、
ただの洗濯物だったのでした。