十一話
もう、このエッセイもそろそろ終わりにしようかと思います。
ていうか、「風の音は~」も六話目に入っていますね。主人公の風香姫は「千の夜」の香子姫よりも懐疑的でありながらも活発な子です。うう、眠い。
はい、失礼しました。ちょっと風邪をひいているもので。そういや、昔は風邪を「ふうじゃ」と言っていたと聞いた事があります。平安時代でも「風邪の気味」と言ったら風邪をひいているという意味だったとか。
とりあえず、古典の話をば……。今、思いつくと言ったら「更科日記」でしょうか。作者は菅原孝標娘です。これの現代語訳を堀辰雄先生が書いておられて。確か、名作集の中にあって読んだ事がありました。
「更科日記」の内容は作者の少女時代からスタートします。孝標娘は「源氏物語」の大ファンだったようですね。彼女が読みふけって夜更かしをしていたと日記の中にもありました。
孝標娘は親戚の方に源氏物語の写本をもらい、はまったとか。けど現実はそんなに甘くなかった。彼女は源氏に出てくる光の君や夕霧の君、薫の君のような男性に憧れていましたが。成長していく内に彼らがあくまで架空の人物だと思い知らされます。こうして孝標娘は婚期を逃してしまったのでした。
心配した親族などからある時に宮中への出仕を勧められます。彼女は渋々だったようですがこの話を了承しました。孝標娘は宮中に出仕している内に後に夫となる男性と出会い、付き合います。彼女はこの男性と結婚して息子にも恵まれました。夫は彼女を大事にしていたようで仲が良かったようです。
後に夫は先に亡くなります。孝標娘は徐々に仏の道へと傾倒していき、出家して夫の供養をする日々を送っていたと日記にはあるようです。息子達も独立して静かな暮らしをしていたのでしょうか。
事実は定かではありませんが。そういえば、孝標娘は日記の他にも物語を書いていたようです。
「夜の寝覚め」という題名だったと思います。「寝覚めの君」という女性の恋の物語ですね。これはまだ読んだことがないんです。お恥ずかしい限りで。
けどこの物語は源氏物語の影響を強く受けていると言われています。文章や物語の構成が何処と無く似ているとか。
また、源氏物語の続きも彼女が書いたのではという説があります。薫の君のその後の物語だと言われています。宇治十帖がありますが。それの続きだそうですね。
薫の君の子供を生んだ女性が登場すると聞きました。この物語では薫の君は幸せになったようですね。
後、「紫式部日記」もちょっとだけ。これ、作者は紫式部本人ではないようです。もしかしたら、藤原定家ではないかと言われています。若紫の件で本人ではないのではと学者の先生が言っておられるそうですね。
日記は紫式部が宮中へ出仕を始めた時から四年ほどの記録のようですが。ただ、若紫の件でとある男性貴族が「ここに若紫はいないか」と呼びかけて式部が「ここには若紫という女性はいないのに」と思ったというエピソードは疑わしいとかで。式部本人が書いたとしては疑問点が残るようです。
といっても学者の先生の説によるとなので。私個人は本人の作品かなと思っていますが。清少納言の場合は割とはっきりとエピソードがあるようです。ただ、彼女も宮中を去った後は謎に包まれていますが。
さて、いかがだったでしょうか。語るのはここまでにします。お読みいただき、ありがとうございました。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。