ほらぁ、な話
テレビを見ていて、突然メレンゲの砂糖菓子を食べたくなった私は、卵白を泡立てていた。
ただひたすらに、無心に。
「カシャカシャ」と金属のぶつかる音がする。
すると「ガチャガチャ」と鍵を開ける音がした。
「ただいまー」と言いながら旦那がリビングに入ってきた。
「お帰り」そう言って、また泡立てる。
卵5つは多かったなと後悔する。
ちょっと泡立ってきた。すると、白い泡に黒い髪の毛が一本混ざっていた。
いつの間に毛が入ってしまったんだろう。
指でつまんで捨てる。
そして私はまた混ぜる
するとまた髪の毛が一本
つまんで捨てる
そして私はまた混ぜる
するとまた髪の毛が一本
つまんで捨てる
そして私はまた混ぜる
するとまた髪の毛が一本
つまんで捨てる
「おかしい」
私は気分が悪くなった
私は「ぞ」っとした。
慌てて旦那を呼ぶ
「ねぇ、ちょっとおかしいんだけど」
旦那が私の傍にやってきた。
そして私のまっすぐな髪の毛を撫でながらこう言った。
「もしかしてお前、昨日殺したやつに恨まれてるんじゃない?あいつ天パだったし」
「そんなのありえないでしょ!!貴方は天パじゃないし…このクルクルの髪の毛は誰のよ!もしかして浮気でもしてるの!?なんでこの髪があるのよっ・・・!!!」
私は怯え、おかしくなってしまった。
「ねえ、さっき言ったこと、冗談でしょ!変なこと言わないでよ!!」
すると突然、旦那が優しく撫でていた私の髪を強く引っ張った。
「ちょっと!痛いでしょ!」
そう言って、振り返ると、天パの男が笑っていた。