表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

毛布。

作者: ゆう


何処かにありそうな空間で僕は会ったこともない昔からよく知っているたくさんの人達が現れては消えていく心地がする。


一人の女性は悲しそうな表情で僕を見つめているが、毛布に包まれているかのように見えていたのは後ろの男性のせいだった。


うわぁぁ。もう僕はダメだぁ。すっかり毒されてしまったぁぁぁ。もう僕のことはほっといてくれぇ。もうそいつはダメだ、近づかない方がいい。だって見た目は全然変わらないじゃない、それに私はゆうのことが......。えーんえーん悲しい。おまえどうしたんだよ、いったいどうしてしまったんだ。それが僕にもよくわからないのです。どうしたんでしょう、しくしく。


昔のあなたが戻ってきてほしいの。それはムリだよ、もう遠く彼方にあいつは行ってしまったんだろう。ううん、僕はまったく動いてなくてずっと同じ処にいるはずだけどおかしいな。毛布は少しづつカタチを変えていく。彼女の影とつながって覆いかぶさる波になっていく。もういなくなったやつのことなんて忘れよう。彼女にかかった毛布は飛沫をあげるみたいに強く首元をくすぐって何だか蠢く生きもののよう。もういないの?そうだよ、もういなくなってるんだ。僕はまだはここにいるよ。


はぁはぁしてる二人の吐息が僕の頬を撫でる。思わず硝子の部屋に逃げこむ。蒸気があたりを包む。硝子には靄が。水滴が。あたりが霞む。くらくら。びしょびしょだよ。そんなこと言わないで。水滴がどんどん硝子をつたって靄を連れていく。ずっとよく見えるようになった。ずっとずっとよく見えるようになったんだよ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ