絶叫遊園地
日常の中の1ページだと思っていただければ・・・
転移魔術で二人は遊園地まで来た。
「さっ、参りましょうか?お姫様」
「行きましょうかね?王子様」
二人は、手をつないで遊園地に入っていった。
しかし、疾斗も彩芽も気づいていなかった。
二人を追う二つの影があることを・・・
「おぉー、手をつないで入っていきましたよ!アルフェルタさん!」
「あのぅ、こういうのやっぱり良くないと思うんですよ〜」
「何を言ってるんです!?同居人として以上に僕は二人のキューピッドなんです」
何を言ってるか分からないフェイヘルの熱い?力説に押されるアルフェルタはそのままフェイヘルについていくこととなった。
「疾斗〜何乗る?」
「絶叫系以外なら何でも」
疾斗は、絶叫が大の苦手であった。
昔、母が魔術に失敗して間違って疾斗を時空の狭間に飛ばしてしまったからである。
尚、疾斗はその後自力脱出するまでの2日間、超高速で時空をさまよっていた。
ゆえに、高速で移動するものが苦手であった。
「よ〜し、ジェットコースターに乗ろ〜」
「話聞いてた?」
程なくして・・・
「う〜ん、俺死ぬの?まずいんじゃない?世界終わっちゃうよ?」
「疾斗、しっかり〜」
一方、
「ウハハハ、アルフェルタさんの腕の中で死ねるなら本望ですぅ。地獄も天国だ」
「しっかりしてください、フェイヘルさ〜ん」
少し、回復した疾斗
「彩芽〜次はもっと穏やかなものに乗ろ〜」
「うん♪絶叫系行こっ」
「・・・・・」
ひたすらそのあとを追う地獄から蘇ったキューピッドとキューピッド専属治癒者
振り回されて、気絶寸前の疾斗とスーパー元気な彩芽
「もう限界っぽい。俺生きてる?」
「う〜ん、多分生きてるよ」
「グフフ、グフフフフ。お花畑ぇきれぇだなぁ」
「フェイヘルさぁーん、渡っちゃ駄目ですよぉ」
「疾斗、最後にアレ乗ろ?」
そういって、彩芽が指差したのはこの遊園地の名物巨大観覧車だった。
「いや、実は高いところもっ?」
彩芽が、手を取って観覧車に走っていった。
観覧車の中
「これ、頂上で止まるとかいうベタなオチはいやだよ?」
「まさか〜?んなのないって」
かなり大きい観覧車なので頂上まで行くのも時間がかかる
それまで、今日の大会なんかの話をしていた。
「あっ、もうすぐ頂上だよ♪」
「ふ、ふ〜ん、高いな」
ガクン・・・ガクン・・・ガ・・ク・・・ン
トマッタァァァァァァァ
「まずいって、死んじゃうって。あ、辞世の句、詠まなきゃ」
「いやいや、落ちないって、落ち着いて」
フェイヘル・アルフェルタペア
「これは、どうしたんでしょうかフェイヘルさん?」
「・・・・・・」
「フェイヘルさーん、気絶してるんですかぁ?」
さてさて、疾斗・彩芽ペアはというと
「絶対駄目だって、落ちるよ?俺の勘が言ってる」
疾斗の勘にどれほどの信頼性があるのかは分からないのだがいまだにパニック中の疾斗であった。
「彩芽さぁその余裕はどこから来るの?この世の終わりかも知んないんだよ?」
「いや、そんなことないから」
「絶対、太陽系の惑星吹っ飛ぶんだって」
「だぁぁーもぉっ、・・・・ん」
彩芽が、マシンガンのように意味の分からないことを言い出す疾斗の口をふさいだ
「ん?・・・・ん」
ガクン・・・・ガクン・・・ガクン
「あっ♪動き出した」
「もうっ、いいとこだったのに・・・」
「じゃあ、もう一回しよっか?」
「うんっ♪・・・ん・・・んっ・・・」
楽しかった時間はあっという間に終わった
が、皆様はお忘れではないだろうか?この男を・・・
「彩芽さーん・疾斗さーん・・・」
「あれ?アルフェルタさん?どうしてここに?」
「あのぅ、フェイヘルさんを・・・」
「フェイヘル?うわっ」
白目をむいて気絶していたフェイヘルらしきモノがあった・・・
「どうしたんです?コイツ・・・」
「そのー先ほどの観覧車の停止で気絶しちゃって」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
沈黙の風が俺たちに吹いた・・・
「よ、良かったね。疾斗。仲間がいて」
「いや〜さすがに俺も気絶はしてないなぁ〜」
こうして、3人はフェイヘルっぽい物体を抱えて楽しかった遊園地をあとにした・・・
後日、絶叫克服のために訪れた男の二人組が訪れたとか訪れなかったとか・・・
真偽のほどは定かではないが・・・
真実は永遠に謎である・・・