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怪談集  作者: 武内 修司
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車内に残る人

夜中、回送電車を降りたサラリーマンが、走り出したその車内に見た者とは…

 車内に残る人

 夜中、その電車は終点に到着しました。回送専用のプラットフォームに入線します。僅かな乗客が降ります。その路線には先があるので、次の電車を待つ人は反対側のプラットフォームへ移動します。そんな乗客の中にそのサラリーマンがいました。

 電車を待つ間に、背後の回送電車の中を誰かが走り抜けてゆく音が聞こえてきました。駅員が車内確認を行っているのでしょう。やがて電車から駅員が出てくるのを目の端に捕らえたサラリーマンは、何気なく回送電車を振り返りました。電車は走り出していました。彼の目の前を電車の窓がフィルムのコマの様に流れて行きます。その中に、それは見えました。

 男性です。一人の男性が姿勢正しく腰掛けています。顔は前を向いていました。瞬く間に過ぎ去って行きましたが、確かに彼は見たのでした。車内に誰も居ない事は、駅員が確認した筈であるのに。腰掛けた男は起きていた筈なのに。

 サラリーマンは、内心ああ、そうか、と思い、向き直りました。幼い頃から、彼は在り得ない物を色々見てきたので、余り興味を惹かれなかったのでしょう。やがて電車が来て、サラリーマンは乗り込みました。ドアが閉じ、再び走り出しました。


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