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怪談集  作者: 武内 修司
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赤いハイヒール・Ⅱ

若いカップルの別れ話の際、女性は彼の部屋に赤いハイヒールを置いて飛び出しました。後日その女性が自殺した事を知った彼は、捨てた筈の、赤いハイヒールにつきまとわれ…

 赤いハイヒール Ⅱ

 若いカップルが別れました。男は恋多き人物で、飽きて捨てたのです。女性は裸足のままアパートの彼の部屋を飛び出し、以後数日間は、彼が彼女の消息を知る事はありませんでした。彼女がどうなったかを知ったのは新聞紙上での事でした。小さく、彼女が投身自殺した事を報じる記事が載っていました。

 その翌日、彼が会社から帰宅すると、玄関に一足の赤いハイヒールが揃えて置かれていました。それを見た瞬間、彼は血相を変えました。それは自殺した女性が残していったものに違いなかったからです。彼女が飛び出した翌日、捨てた筈だったのですが。部屋の中を探してみましたが、誰も居ません。つまり、誰かがあのハイヒール、ないしは同じハイヒールを買い求め、ここに置いていった、という事になるのですが、その理由が判りません。とりあえず何重にもコンビ二袋で包み、ごみの日に出す事にしました。翌朝大家さんに誰か訪問者があったか訪ねましたが、誰も居ないと言います。

 数日後、帰宅した彼をあのハイヒールが出迎えました。他のごみに紛れ込ませて捨てた筈なのにです。これは誰かの悪戯か嫌がらせか、と考えた彼は、ハイヒールの何箇所かに小さく印を付けて写メを撮り、再び捨てる事にしました。引越しも考えていましたが、暇もなく特に盗られた物も無いので、暫くはそのままにしておく事にしました。捨てた翌日、また玄関にハイヒールがありました。それにはつけた印が全て、ついていました。念のため写真と比較してみましたが、同一物と断ぜざるをえませんでした。彼は鋏と金槌を取り出し、ハイヒールをバラバラにしてから捨てました。

 やはりハイヒールは戻ってきました。何事も無かった様に元の姿のままで。印もそのままです。遂に彼は引越しを決意します。

 引越してもやはり、ハイヒールは追ってきました。遂に彼は会社を辞め、いずこかへと行方知れずになりました。彼は赤いハイヒールに追われ続けていたのでしょう。

 そののち、ある地方都市の公園で、一人の男性の焼死体が発見されました。不法に何かを焼却しようとして、その炎が燃え移った様です。その燃えカスの中に、ハイヒールの踵があったとか。

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