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怪談集  作者: 武内 修司
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駅・Ⅲ

ある若者が、地下鉄の地下道で迷っている時に見かけた女性。彼女は声を掛けても反応がありません。諦めて地上に出ようとある出口に辿り着くと、そこにはあの女性が…

 駅 Ⅲ

 ある若者が地下鉄の駅に降り立ちました。地下通路は濡れて汚らしく、吹き抜ける風も湿っています。彼は地下鉄が好きではありませんでした。案内図を見ても、目的地に着くのに一番好都合な出入り口にまず辿り着かないからでした。その時も、初めて行くビルに近い出口が判らなくなり、とりあえず地上に出る事にしました。

 長い通路の途中に、一人の女性が立ち尽くしていました。壁に向かって傍らに立っています。顔は長い髪に隠れて判りません。ものは試し、若者は出口について尋ねる事にしました。声を掛けてみましたが、反応はありません。体調でも悪いのかと尋ねてみましたが、やはり無反応。しようがないと諦め、彼は再び歩き始めました。 さんざん右往左往し、ようやく階段に差し掛かり、若者は上がって行きました。動きが止まりました。血の気が引いてゆくのが判りました。踊り場に、先程の女性が立っていました。背格好、身なり、全て同じです。壁に向かって、顔を隠すように長い髪を垂らしています。もし、同じ女性であるとしたら、どうやって先回りしたのでしょうか?あるいは一卵性双生児か何かで、彼をからかっているのでしょうか?しかし、彼の上がる階段をどうやって知ったのでしょうか?迷ってたまたま辿り着いた出口だったのですが。彼が立ち尽くしているうち、女性が動き出しました。顔が、徐々にこちらを向いてきたのです。見てはいけない!直感的に悟った若者は顔を背けました。どれほどそうしていたでしょうか。階段を下りてくる複数の足音がして、彼はそちらに顔を向けました。サラリーマン風の男達が、談笑しながら下りてきます。女性の姿はありませんでした。立ち去った足音は、聞こえなかったのですが。


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