また明日
荒波の傍、切り立つ崖の上。
君は、星空を眺めている。
月のない夜だからなのか、いつもより星が多い気がする。
空を埋め尽くす光に君は、とても穏やかに微笑む。
その横顔は、何よりも美しい。
闇色の中を駆ける、一層眩しい光。
宇宙の塵が大気圏に侵入し、燃え尽きた。
それは、珍しいけれど、至極当たり前の出来事。
なのに何故、君は涙を流すのだろう。
君は、星の神話を聞かせてくれる。
知らない事ばかりの、面白い話を。
星明りの中、君は本当に楽しそうだ。
けれど、時折悲しそうな眼をする。
それは一体、何故なのだろう。
空が動き、紫色に染まり始めた頃。
君は立ち上がって僕を見て、言う。
「また明日」
僕らの『明日』は、もう来ることはなかった。
二人がどうなったかは、ご想像にお任せいたします。