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フリー  作者: 空暉
9/9

そして…

いや、まだ負けたわけではない。


次で取り返そう。


みなみ「もう無駄だと思うな〜」


そう言って、みなみはカードを出した。


いや、まだだ。まだ負けと決まったわけでは…


俺はジョーカーを出す。


みなみからしてみれば、1は出しにくいはず。みなみもジョーカーを出して来るはずだ。


そう思って俺はジョーカーを出す。


みなみ「だから〜それ、ジョーカーでしょ?もうわかってるんだって〜」


真人「えっ‼︎わわっ、い、今のなし‼︎」


慌ててジョーカーを手札に戻す。


みなみ「まぁ良いけどね〜」


みなみはカードを変えなかった。


みなみは何を出したんだ?今の言葉が誘導なら、みなみは3を出しているはず。


それなら俺はもう一度ジョーカーを出せば良いのだが、この俺の考えを読み取って1を出している可能性も…


考えれば考えるだけ分からなくなる。


いや、待てよ…


俺が初めにジョーカーを出すとわかっていたならなぜそれを邪魔したんだ?そうか、ジョーカー出されたら困るんだ。つまり、みなみは1を出していない。とすると、みなみもジョーカーか?それとも3か?そうだ、ここはジョーカーだ。それしかない。


俺はジョーカーをもう一度出した。


みなみ「はい。じゃあいくよ〜!せーのっ!」


結局、俺はまた負けてしまった。


みなみは1を出していたのだ。


その後、俺は2を出して負けた。


みなみ「やった〜〜みなみの勝ちだ〜!」


みなみは精一杯手を上にあげて喜んだ。


だが次の瞬間、みなみは全くの別人に変わった。


みなみ「なんてね。あ〜疲れた〜」


真人「えっ…?」


さっきまでの子供っぽい仕草はどこかへ消え去り、可愛げのない座り方になった。


真人「どうしたの…?」


負けた悔しさよりも、みなみへの違和感が勝ってしまう。


みなみ「あのねぇ、真人。あんた子供相手だと思って油断したんじゃない?あんたの思考が手に取るように分かったわ。」



真人「えっ…?」



さっきまでと同じ声。だけどさっきとはまるで違う喋り方。この子…本当に何者なんだ…?



みなみ「まず一回目、私がジョーカーを出せないと思って3を出した。2回目、私が子供みたいな思考で動いていると勘違いしてジョーカーを出した。そして3回目、私の狙い通り、1を出した。最後のは論外ね。完全に私に遊ばれてたわよ。」



真人「どういう事だ?」



みなみ「話は簡単よ。私、彩葉だから。」



真人「……は?」



意味が全く分からない。



みなみ「私はこのみなみっていう女の子じゃないの。」



真人「は…?何言っているんだ⁉︎意味がわからないぞ!」



みなみ「あーもう面倒くさいなぁ!このみなみっていう子の体と私の体を入れ替えたのよ。」



うそ……だろ……?



真人「そんな事…できるのか…?」



みなみ「できるわよ。フリーで奴隷にして、体入れ替えてって言ったら簡単に入れ替われるわ。」



真人「そんな事…」



みなみ「馬鹿げてる?でも、これが現実よ。」



今まで俺は勘違いしていた。フリーの「なんでも」と言っても、そこまでなんでもは出来ないと思っていた。だが、そんな非科学的な命令まで出来たとは…


みなみ「じゃあ命令だけど…」


真人「あぁ、」


みなみ「一生中谷彩葉の言う事を聞き、命令に従って行動しなさい。」


真人「はい…」


これで、この長い勝負は終わった。


この後、俺の奴隷達はみんな彩葉に持って行かれた。みなみと彩葉も元に戻ったようだ。


そして俺は今、沢山の元奴隷達に囲まれて、ある大きなマンションの屋上に来ている。


彩葉「はい、じゃあそこに立って。」


大きなフェンスを越え、もう一歩進めば確実に落ちるところまで来ている。


彩葉「じゃあみんなに聞くけど、真人を殺したい人はどれくらいいるの?」


なんだか物騒な事を聞かれている。


どうせみんな俺を殺したいに決まっている。当然だ。俺はそれだけひどい事をしたのだから。


だが、誰1人として俺を殺したい人はいなかった。


男性1「特に何もされてないし、良いんじゃない?」


女性1「そうだね。何されるか分からなくてちょっと怖かったけど、まだ子供だしね。」


みんな優しかった。


彩葉「そっかぁ、分かった!」


みんなが俺に近づいてくる。


真人「こんな俺を…許してくれるのか?」


男性2「今回だけだぞ!次こんな事したら許さないからなっ!」


彩葉「だってさ。みんな優しくて良かったね〜」


真人「うっうぅぅ…ごめんなさぃ…ごめんなさぃ…」


俺は、初めて心の底から泣いた。今までの自分が馬鹿だった。みんな俺より出来損ないのくせにってずっと馬鹿にしていた。


だけど今は違う。こんなにも優しくて暖かい人達がこんなに近くにいたんだ。


まだやり直せる。これから俺は新しく生まれ変わるんだ。


彩葉「いや、そんなに世の中甘くないわ。みんなが良いって言っても私は許さないから。って事で飛び降りなさい。」


真人「へっ…?」



気づけば俺は、そこから落ちていた。



彩葉「まぁ、悪い事をしたらこうなるって事で。みんなも気をつけてね〜」




みんなの泣く声が聞こえる気がする。




それだけで、十分幸せだった。




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