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ゆらゆら 揺れる

作者: 紫宮月音

      寂しい


 

 とても静かな夜の道を歩いているとき

 深夜の部屋の中  ベッドに開いた隙間

 夕陽が差し込む放課後の教室


 突然悲しみがやってくる


 

 乾いた瞳に涙が込み上げてくる


 視界が歪んでゆれだす


 どうして悲しいのか解らないから 余計にかなしい


 揺らめく水は零れることなく 留まり続ける


 瞳を大きくみひらいて  精一杯の努力を


 零れた滴を拭うのは  ひやりと冷たい自分の指



 だからまたたきはしない


 



     見つけてください



 誰か私を見つけてください

 誰か私を認めてください

 誰か私を呼んでください



 私というものはいつも不安定で   陽炎のようにゆらゆらと

 蜃気楼のように幻で    掴めない



 形を成したかと思えば  さらさらと崩れてゆく

 

 冷めた瞳で見ているわたし


 穏やかに微笑むわたし


 悲しそうな表情のわたし


 どれが本当の私なのでしょう?   


 くるくる変わるワタシ    どれが演技でどれが真実


 溶け合い 混ざり合い 解らなくなってしまった


 ワタシはどこへ行ったのでしょう


 虚ろに惑う   わたしを見つけてください




      願い


 

 自分の隣に誰もいない

 冷え切った部屋の中

 吐く息は白く       透明にはならない


 

 欲しいものがあるの


 無理な願いは思わない   考えない


 何かをして欲しいわけじゃない   甘いことばもいらない


 全てが欲しいわけじゃない     嘘でも偽りでもかまわない


 ほんの少しのぬくもりを頂戴 


 ほんの少しの安心をちょうだい


 

 わたしを拒絶しないで       受け入れて欲しいの


 わたしを無視しないで       存在を消さないで


 凍えるこの手を 暖かな手のひらで包んで   寄り添って


 ただ傍にいて欲しいの


 ここに存在しているのだと ちゃんとわたしはいるのだと    教えて



 とても……簡単な事       そんなことなのに


 どうして叶えられないのだろう


 星屑を掴むかのように   届かぬばかりで


 わたしは一人  凍えた身体を ツメタイ腕で抱きしめる




       矛盾してる


 私はひとりでも  生きていけるわ   他人なんて必要ない

 自分の足がある  身体があるもの   一人で大丈夫だわ


 だから他人に寄りかかりたくないの

 自分の足で地面を踏みしめたいの

 


 それなのにどうしてかしら     なぜ他人と関わっているの

 

 意味のない関係  いずれは壊れてしまう繋がり  ひと時の絆


 そんなものに意味がないのはわかっているはずなのに


 どうして求めてしまうの    貪欲に


 切れてしまないよう 壊れてしまわないよう  必死で取り繕う


 私はそんなに弱くない        私はそんなに強くない



 ぐるぐる廻る思考回路       矛盾した   私





    変化


 

 どうしてなのでしょう   何故こうなったのでしょう


 変わりたくないです    あのままが良かったのに


 昔の私はこうではなかったはずです


 人を蔑み 嘲笑い 見下していた    仮面を纏いながら 

 

 それが今はどうでしょう


 受け入れて 微笑んで  慰めて    素顔を剥き出しで


 剥き出しの感情に ココロ   纏っていたモノは何処へいったのでしょう


 恐ろしい        変わる私がおそろしいです


     私は変わりたくありません



 とても不思議です    ほんとうに不思議で仕方がありません


 このままでいいと思うなんて


 隠さないで   さらけ出して    思ったままに  感じたままに

 

 表現すれば いいと


 そう思うなんて    どうかしています


 そんな私がいいなんて  もっとおかしいです


 変わらないものなどないと    いまになって気づきました


 今は止まっていても  いずれまた動き出すのだと  流れていくのだと


 留まり続けることは できないのだと


 長い 短い 時間の中を歩いてきて  やっと見つかった答え


 それは とても当たり前のことでした


 気づかなかったのが 不思議です     何もかもが


 暗闇しか見ていなかった私の瞳には  眩しいです


 まだ 眩暈がしてしまう    いつかの光景が目の前をよぎります


 それでもいつかは


 慣れてしまうのでしょう    それが当たり前になるのでしょう




 変わるという事を受け入れることが変化なのですね



  

    振り返らずに


 思い出したくないことがある

 消してしまいたいことがある

 永遠に


 深い 深い  記憶の底に 鍵をして

 頑丈な鉄の木箱にいれて


 一瞬で 崩れてしまうけれど


 意識せずに   ふとした瞬間


 ちくり  ちくり     ワタシを刺す


 さざ波のようにひいていく  刹那の回想


 残るのは  とても苦い   後悔


 終焉がくるのは わかっていた  ワタシは  ただ  見ていただけ


 何もせずに ただ傍で  ずうっと  見つめていた


 色々な事ができたはず  ワタシの足は  動かないままだった   いつまでも傍観者


 そして  オワリがきたの   予定されていた  終末




 いまさらどうにもならないのよ   もう手遅れ 無駄  解っているはず


 だって 知っていたんだから    ねえ?




 言い聞かせるのは 言葉という  麻薬


 痺れている間は  平安で    切れてしまえば  よけいに悲しい


 それでも    ワタシは今日も呟く



 ちくり     ちくり


 

 止むことのない  




 懺悔     


 


 


 



 


 


 

 

 

お読みくださりありがとうございます。

またやってしまいました。

書きたくなってしまいました。 すいませんでした。

非常に不安定な感じが出ているといいのですが。

切なさ……出てるといいなぁ……

 駄目だし ビシバシどうぞ

ほんのひと時でも ほんのひと欠片でも

読み終えたあなたに何かが残りますよう。

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― 新着の感想 ―
[一言] 作品は どうしようもない心の不安定さを表現していて タイトルと合っていました(*^_^*) ただ、千篇一体な感じがしてしまって そこが残念だったかもしれません; 全体的に 要所要所で…
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