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「オイ、いい加減願い事は決まったのか」
あれです。なんて言えば良いのでしょう。ねえ?
黒のフロックコートにベスト、そこから覗く白いシャツ、そして真っ赤なネクタイ。「時代錯誤もいい加減にしとけっ、ここは日本だっっ」って男が目の前にいるわけですが。
無意味に高圧的ですよ、ええ。これでもかってくらい偉そうオーラが出てます!
先日、平和なお茶の時間に突然テーブルの上に現れたこの変な人、もとい変な自称悪魔(変な人でも十分)、突然「願い事はなんだ」とか言い出しましたよー!!
とりあえずテーブルにこぼれたお茶拭こうとすれば怒り出して、「願い事はなんだと聞いてやっているのに茶を拭き出すなっっ!! 話を聞け!」
うるさい事この上なく。しかもテーブルひっくり返すし。でも不思議とティーセット一式は割れていなかった。そこだけは良かったです。
それにしてもどこの頑固親父ですか。ワタシこんな熱血親父いりませんよ。ここ数日無視してもずーっと付きまとわれるし、願い事願い事うるさいし。思い返せば溜息が出るってもんです。本当にこの方なんで私の前に現れたわけですかね?
「なんだその反抗的な目は。俺に何か言いたい事でもあるのか」
仁王立ちした彼の、ぎろりとこっちに向ける視線は絶対零度の冷たさ。
黒い服黒い髪それに青白い肌が物凄く映え、そしてなんと言っても一番輝くのは、ピジョンブラッドだって霞んでしまうような深紅の宝石のようで綺麗な瞳。・・・すこぶるもったいない。そんなんじゃ彼女できませんYO!
ああでもその変な服装もどうにかしないと駄目でしょうかね。
「とりあえず」
そう言ってこほんとワタシは一つ咳払い。
「なんだ。願い事が決まったのか」
にやっと『変な自称悪魔』さんが笑います。恐ろしく美形です。変な人が顔が良いだけで少しまともに見えます。
「お茶にしましょ」
コントのように目の前の『変な自称悪魔』さんがガクリとズッコケました。誰もギャグなんてかましてないですよ?
「はいどうぞ」
しゃがみこんで頭を抱えている相手に向かい、自分もしゃがみこんでカップを差し出す。警戒している動物には同じ目線で相手にしましょう~と昔誰かが言っていた言葉を思い出してなんだか笑っちゃいます。
「・・・・お前、俺を馬鹿にしてはいないか」
そう言いつつも『変な自称悪魔』さんは躊躇いもなくカップに手を伸ばしました。おや、静かになりました。
ワタシもそのまま座り込んで自分のお茶を一口。
うん、おいしい。




