(27) 偽物
第27話です!
生徒会メンバー紹介
会長 黒崎 朔也
副会長 白銀 文也
会計 夢野 蘭丸
書記 乾 亜樹
庶務 花房 立夏
教室に入ってきたのは雫ではなく、まったく同じ格好をした奏多だった。俺は声や話し方でわかったが、少し声色が似ていることもあって偽物だと気づいてるやつは少なそうだった。
「流星くーん!おはよー!」
「えっ?お、おはよう?」
甘ったるい声で流星に挨拶をしたかと思えば、腕をからませた。流星もとても驚いているようだ。
「藤岡!あれ……なに?雪城キャラ変?」
「いやあれは別……」
「あっ!幸輝くーん!話があってちょっといいー?」
野口が問いかけてきたので、別人であることを話そうとした。だが奏多に邪魔をされて話すことができなかった。そのまま腕をとられて人気のない方へ連れられていく。意外と力が強いらしく、引っ張られている腕が痛い。
「……よしこの辺でいいか。」
「なんで入れ替わってるんだ?本物は?」
「あー!うるさいな!これは君には関係ないよ。でも邪魔しようものならわかるよね?」
「!?瑞希は無事なのか?」
「……無事なんじゃない?僕知らなーい。」
「は!?」
「とりあえず邪魔したら雪城くんも君も安全ではいられないってだけ。」
「……」
「返事はー?」
「……わかった。」
(本物がどこにいるかわからない限り、下手な行動は出来ない……)
「よし!じゃあそれで!」
奏多は上機嫌に教室へ戻っていった。
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奏多は様々な問題を起こしていった。
まずずっと流星にベタベタとしている。流星のファンクラブの子達が苦言を呈しても、いじめられたと流星に泣きつく。流星がさりげなく距離をとろうとしても、いつの間にか隣にいて腕を絡ませている。
様子がおかしいと聞いて、香と亜樹がA組の教室へ来ると香を突き飛ばし、亜樹に抱きつく。幸い押された香を亜樹が支えたことで怪我はなかった。香からはメッセージで詳しいことはは秘密基地で聞くときていた。
そして謝罪をすると言っていた副会長親衛隊隊長が訪ねてきたときが一番ひどかった。彼は転校生の様子が夏祭りのときと同じだと気づいたようで、香を睨んできた。嘘をつかれたと思ったのだろう。だが約束したからには謝罪をしようと思ったのだろう。きちんと近寄って謝罪の言葉を口にしようとした。しかし奏多はそれを遮って、大声でわめきだした。
「ひどい!なんでそんな嫌がらせをするんだ!」
「みんなで仲良くしようと思ってるだけなのに!」
「いえ今日は謝罪をしようと……」
「嘘だ!そうやってまたいじめるんでしょ!?」
「……結局本性はこれだったんだ。」
「怖い!誰かー!」
「僕たち親衛隊はあなたを認めない。」
「みんな親衛隊に迷惑してるんなだよ。認めないのは僕の方!」
謝罪のはずが睨み合いに発展してしまった。まぁ奏多と話しているとムカつくのはわかる。
副会長親衛隊隊長は親衛隊を引き連れて、帰ってしまった。親衛隊のみんなが不服そうな顔をしていたため、嫌がらせは止まないだろう。
こういったことが発生した。奏多がトラブルメーカーであることは確定だ。
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- 昼休み
「こーくん!やばいよ!」
「香?そんな焦ってどうした?」
「いいから食堂行くよ!」
いきなり香が教室に飛び込んできたかと思ったら、食堂へと連れ出された。
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- 食堂
「なんか騒がしいな。」
「そー!あれが騒ぎを起こしてるの!」
「あー、あれか。」
「隊長!副隊長!」
食堂に到着し、香と話していると会長親衛隊のメンバーが話しかけてきた。
「お待ちしてました!」
「ごめんね!待たせちゃって!隊長つれてきたよ。」
「いえ!大丈夫です。」
「遅くなったな悪い。それでなにがあった?」
「実は生徒会メンバーの方々と一緒に転校生が現れて……」
親衛隊の子の話によると、食堂で生徒会メンバーが現れた際に同時に奏多が入ってきたそうだ。そして特別席へ一緒に行こうとしたらしい。最初はそれぞれの親衛隊が奏多を止めていたらしい。特に副会長親衛隊。だが生徒会メンバーが別にこいつは一緒でもいいと、連れていってしまったらしい。現在、奏多は生徒会メンバーと特別席にいるらしい。
「僕たちじゃもうどうしようもなくて……」
「どうか隊長に止めてほしいんです。そうじゃないと親衛隊はもちろん、一般生徒も不満が爆発してしまいそうで。」
「……こーくんどうする?」
「そうだな……。」
(まぁ特別席っていうのは生徒会メンバーの特権だからな。それを役職もないやつが使ってたら不満も出るか。でも邪魔したら雫になにかあるかもしれない。……香はなんとなく察しているみたいだな。)
「……一旦、話を聞きに行くよ。」
「隊長!ありがとうございます!」
「こーくん!僕も行くよ!」
「ありがとう。」
俺と香は生徒会メンバーと奏多がいる特別席へと向かう。歩いてる途中に親衛隊や一般生徒から応援の目を向けられたり、声をかけられたりした。
(こんなたくさんの敵をすぐ作るなんてある意味才能じゃないか?)
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- 特別席前
「失礼します。」
「「「幸輝!」」」
「こーくん!」
「あなたは……」
階段を上ると生徒会メンバーが俺の名前を呼んでくる。俺の後ろからきた香が顔を見せると、そちらの顔も驚いたように見る。
「あれー?幸輝くんに香くん?ここは特別席だよ?」
奏多が白々しく、俺たちに注意してくる。特に俺に対してはものすごい目で見てくる。一番手前に座っていることもあって、その目は俺と香にしか見えてないらしい。
「そうだね。でもなんで雪城くんがここに座ってるの?」
「ん?僕は友達だからだよ!」
「友達だとしても役職のある人しか座れないと思うけど。」
「友達と一緒にランチするのに場所なんて関係ないよ!」
「あー、わかった!2人とも羨ましいんでしょー?親衛隊なんか辞めて友達になればいいんだよ!」
(問題を指摘しても論点をすり替えて話してくるな。俺も親衛隊は変だなとは思うけど、真剣に応援したいっていうあいつらの気持ちは大切なものだと思う。)
「親衛隊には親衛隊の役割があるんだよ。」
「ふーん変なの!でもだからって僕に嫌がらせしてくるなんてひどいよ!みんなひどいと思わない?」
奏多は自分がどんな目にあったのかを細かく生徒会メンバーに話している。だが内容的にだいたいは雫が受けた嫌がらせの話だ。
(自分が体験してない話をどうしてそこまで知っているんだろうか。やはり監視カメラで……?)
生徒会メンバーにあらかた話し終えたようで、親衛隊は良くないという話を始めている。
「幸輝……おまえが……?良いやつだと思ってたのに。」
「いえ……俺は……」
「そうに決まってるよ!猫被ってたんでしょ!?幸輝くんも香くんも友達だと思ってたのに……ひどいよ。」
「大丈夫ですか?」
「文也……ありがとう。」
会長は奏多の話術に騙されたようで失望したような顔で見てくる。副会長はもともと俺が嫌いだったのか知らないが、奏多の味方のようだ。
「んー、そうかな?」
「……違うと思う。」
「はぁ……めんどくさ。」
蘭丸先輩はそれとなく否定してくれて、俺たちに向かって軽くごめんのポーズをしている。亜樹は否定したが、奏多にどうしてどうしてと質問責めされている。花房先輩は我関せずだ。
「とにかく幸輝、香、今日は俺たちの前にもう顔を出さないでくれ。少し考えたい。」
「えっ!どうしてですか!会長!」
「もう香くんしつこーい!嫌われちゃうよ?笑」
「……わかりました。香行こう。」
「な!……わかったこーくん行こう。」
結局俺たちはどうすることも出来ず、特別席から一般席へ向かった。帰り際に振り替えると奏多はニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべていた。あんな顔、雫なら絶対しない。
一般席に着くと、待っていた親衛隊の子たちに話を聞かれた。ダメだったと話すとひどく落胆させてしまった。みんなは静かに自分の席へと戻っていった。賑やかな特別席と静かな一般席の対比が印象的だった。
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放課後にローリエの集で話し合うことになった。
そのため、ガラス庭園へ向かっていると東金先輩に呼び止められた。
「藤岡くん?」
「東金先輩!お久しぶりです!話したいことや聞きたいことたくさんあって……!」
「えぇ私もありますよ。お時間あればあそこのベンチで座ってお話ししませんか?」
「はい!……あっ!この後に少し用事があって。」
「では簡潔にお話ししましょうか。」
ベンチに東金先輩と並んで座る。
「今日いた転校生さんは別の方ですね。きっと奏多さんでしょうか。」
「わかるんですか!」
「えぇわかりやすいですよ。」
「……本物の転校生は大切な人なんですけど、どこにいるかわからなくて……」
「たぶん本物さんは北原さんの別荘にいらっしゃいますよ。」
「えっ?あのプライベートビーチ近くの島の?」
「複数別荘を所有してらっしゃるので、どこの別荘かはわからないんですがね。」
「そうなんですね!でもどうしてそれを?」
「……これぐらいしかできないからですよ。」
「先輩は何者なんですか?あの鍵もえっと……。」
「鍵を使う場所もわかったんですね。とても優秀ですね。」
先輩がふわりと頭を撫でてくれた。
「私が何者かは内緒です。」
「内緒?」
「えぇ。それより用事があるのでは?」
「え?あっ!こんな時間!すみませんもう行きますね!……またお話し聞かせてください。」
「……えぇ。」
気になることはあったが、集合時間に間に合わなくなりそうだったので東金先輩とわかれた。
(もしかして東金先輩は行方不明事件の犯人に協力してるのか……?でもそれならどうして俺に手がかりを?)
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- ガラス庭園
見られないようにそっと中へ入る。
秘密基地の入口のロックを解除し、扉をあけると2人はもう待っていた。香はまだ昼間のことがムカついているのか少しイライラした表情だ。
奏多に言われたこと、東金先輩から聞いた話、話さなければいけない話がたくさんある。俺は2人の方へ足を踏み出した。




