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前世は女王でしたが、男尊女卑な異世界で家族に虐げられています〜だから、もふもふと魔術で成り上がります【第一部完結】  作者: 碧井 汐桜香


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29.弟子

「ユーリアちゃん!? あなた、小さいのに……本当にすごいわね!?」


 受付のお姉さんに男二人を差し出したところ、そう褒められて頭をぐりぐりと撫でられた。照れ臭くて、恥ずかしくて、誇らしい。複雑な気持ちでそれを受け入れていると、お兄様に腕を軽く引っ張られた。


「……帰るぞ」


「やだ、イカルガくん! 可愛い妹分が自分以外に懐くのを止めるなんて、小さい男ね? モテないわよ?」


 クスクスと笑いながら受付のお姉さんがそう言うのを、お兄様はひどく嫌そうな顔をして無視した。お兄様がわたしのこと、そこまで重要視しているわけないから! お姉さん、お兄様の機嫌を悪くするのはやめてー! そう思いながら、わたしはずるずるとお兄様に引きずられていく。


 買取カウンターにどんと今日の収穫を載せた。そして、換金してもらったお金をお兄様に渡そうとすると、いつも通り断られた。


「そうだ、ユーリア。君は名前の変更がここでも必要だ。早めに変えておけ」


 お兄様に手で追い払われ、受付カウンターに一人で戻る。大人しく待ってくれているお兄様には、妖艶なお姉様たちが次々と声をかける。お兄様は心底嫌そうな顔して無視をしていたが、しばらくすると何か言って、お姉様たちは散り散りに逃げていった。お兄様、何を言ったんだろう……。そんなことを考えていたら、受付のお姉さんに聞かれた。


「気になる?」


 くす、と笑ったお姉さんに、慌てて首を振った。


「いえ、あの、お兄様ってモテるんだなって思ったのと、お兄様がなんて言ったんだろうって思っただけで」


「イカルガくん、モテるのよね。でも、本人は女嫌いだから、結構きついこと言って追い払ってるのよ。ユーリアちゃんはすごいわ。あのイカルガくんに面倒見させているんだもの」


「いや、わたしの環境が心配だったり、いい実験用の弟子だったりするだけですよ?」


 首を傾げたわたしの頭をぽんぽんと優しく撫でてくれたお姉さんは、メダルの名前をさらっと直してくれて、わたしの首にかけ直してくれた。


「イカルガくんにいい弟子ができて、お姉さんも安心だわ。ユーリアちゃん、しっかり師匠を見ていてあげて……。大人から見ると、一人で戦うイカルガくんは心配なのよ」


 わたしにとっては、強くて、何でもできて、一人でいたがっているように見えるお兄様への、別の人からの視点を聞いてわたしは手に力を込めて頷いた。


「わかりました。お兄様を一人にしません」


 わたしが頷くと嬉しそうに笑ってくれたお姉さんに手を振り、お兄様の元に走った。


「お願いね。……きっとあなたにしかできないわ、ユーリアちゃん」


 お姉様がその後、なんと言ったのか、わたしの耳には届かぬまま。













「あら。お嬢様。今日もお洋服がお似合いですね。かわいいですわ」


 長の屋敷に戻って、いつの間にか増えた新しい服を用意してくれた侍女にお礼を言った。


「ありがとうございます! ……いつの間にか服が増えているんですよね。長に聞いたら長じゃないって言っていて……一体どなたが準備してくれているのでしょうか?」


 お礼を言いたい、とわたしが言うと、目を丸くした侍女がぷっと吹き出し、わたしに教えてくれた。


「お嬢様はご存知なかったのですね。用意したのはイカルガ様ですよ。あのイカルガ様が子供用のこんなかわいい服を用意しているって思うと、微笑ましいですよね」


「ふぇ!? お兄様が!?」


 驚きのあまり声の出たわたしに、お礼を言うのはイカルガ様にと言いながら侍女は去っていった。お兄様がわたしの服を……? というか、ばあやの服も準備してくれていない? ばあやの服を準備するのは、雇い主のわたしの義務な気がするし、お兄様も学生の身なんだから、そんなにお金はないでしょう? 長の血縁かもしれないけど、子供ってわけでもなさそうだし……。



 学院に戻ってしまったお兄様にお礼を言えるのはいつだろうと考えながら、わたしは気がついた。

 お兄様にもらうばっかりでなにもお礼ができていない! お礼しなきゃ! なにか買う? いやでもお金はそんなにないし……。

 うーんうーんと唸っていると、部屋の整理をしていたばあやが戻ってきて、わたしに聞いた。


「お嬢様? どうなさいました?」


「わたし、お兄様にもらってばかりでお礼ができていないの! でも、何をあげればいいのかわからなくて……」


 わたしがそう言うと、手に持っていた荷物を目にも止まらぬ速さで片付けたばあやが、木箱を持ってやってきた。


「女性から殿方に贈る気持ちのこもったものの代名詞といえば、お礼の気持ちを込めた文です! お嬢様! お嬢様の令嬢教育は大変遅れていますし、婆としてもそれくらいはできるようになって欲しいと思っていたところです! あとは匂い袋も贈りましょう! お仕事中は使えないけど、一般人に返送する時とか使い道はたくさんあるはずです! なにより、自分を思って香りを作ってくれた……これがなによりいいのです!」


 熱のこもったばあやから逃れる手段を思うつかなかったわたしは、いそいそと準備するばあやが言う通りにすることにした。わたしとしてはこの世界の常識もわからないし、ばあやの言う通りにするのが一番だよね……。え、お兄様にわたしがお兄様に恋煩っているって勘違いされないよね? 大丈夫だよね?









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