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前世は女王でしたが、男尊女卑な異世界で家族に虐げられています〜だから、もふもふと魔術で成り上がります【第一部完結】  作者: 碧井 汐桜香


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2.正体

「じゃあ、森に行ってきます」


「お気をつけて、お嬢様」


 ばあやに見送られながら、森へと向かう。魔術の練習は、お父様やお母様にバレないようにこっそりと続けている。ばあやの表情を見る限り、家の援助の見込めない女児が学院に通うのは難しいのだろう。でも、諦めることはしたくない。

 こっそりと魔術を練りながら森へと向かった。練った魔術は鼠の子にあげたり、兎の子にあげたりした。彼らは魔力を与えても魔術を使わないようにしてくれているようで、おかげでわたしはひとりで魔術の練習ができている。わたしの成長の速さにばあやはびっくりして、嬉しそうに学院入学の可能性を語っているが、この自主練が理由だとわかっているわたしには、学院入学は楽観視できない。ばあや曰く、女児が学院に入学するためには、実家の援助か学院の後見が必要だそうだ。そのためには、目に見える形で優秀でないといけない。試験などなく、コネが重要なこの世界では。


「もっと効率的に魔力を上げる方法、ないのかなぁ」


 ぶつぶつと呟きながら、森へと歩く。魔力を使うようになって、以前よりも楽に森へと歩けるようになった気がする。魔力が身体の負担を助けてくれているようだ。森に到着すると、動物たちがそわそわと飛び回っていた。気になって見ていると、集まって相談していた様子の動物たちの中から、羽のある鼠が飛んできて、わたしについてくるようにと言うように飛び回った。


「……ついていくの?」


 わたしが鼠の後ろをついていくと、徐々に森が暗く、深くなっていく。少し怖くて、そんなわたしの心を見透かしたような兎が胸元に飛び込んできてくれて、わたしはぎゅっと抱きしめた。




「ぐるぅぅぅ」




 少し森がひらけたと思ったら、大きな真っ黒な獣が唸っていた。大きな真っ黒い羽を生やしたその獣はなにか苦しんでいるようで、わたしが思わず近づこうとすると、後ろから鋭い声が飛んだ。


「寄るな!」


 その声に驚いて振り向くと、闇夜に溶けるような漆黒の髪と、その中で鋭く光る黄金の瞳の少年がいた。 美しいけれど、どこかゾッとするような危険な色気。この間、空を飛んでいた人の中で、目が合ったように感じた人がいた。空を飛んでいた人はすごく大きく見えていたが、実際に見てみると思ったよりも小柄だった。十歳くらいだろうか……。


「なんでここに女童(わらわめ)が……。私がその妖を倒すから、早く逃げろ!」


 その人が魔力を練り出そうとしているのを見て、わたしは声を上げた。


「待って、その子、苦しんでる!」


「……其方、その妖の姿が、はっきりと見えるのか?」


 わたしが抱きしめた兎の子を見て、目を丸くしたその人に向かって、わたしがこくりとうなづいた。


「うん。だから、一度わたしに任せてくれない? 無理だったらお兄様に任せるから」


「……わかった。君の言うとおりにしよう」


 そう言って、わたしの後ろに控えてくれたお兄様を見て、わたしは一生懸命できるだけたくさんの魔力を練り出した。あの子たちがわたしをここに連れてきたんだから、わたしの魔力で足りるのだろう。わたしはなぜかあの子を救う方法を知っていた。練り上げた魔力を、あの子に向かって差し出す。


「もう、大丈夫」


 唸っている子に少しずつ近づき、魔力を差し出し続ける。


「え、妖に魔力を与えたら強くなってしまうのでは……」


 そう呟くお兄様を無視して、魔力を差し出し続けたら、唸っていた子が少しづつ落ち着き、ぺろりと魔力を舐めた。


「おりこうさんだね、もっといいよ」


 ぺろぺろと魔力を舐め続けると、徐々に色が薄くなり、最終的に白っぽい水色の、羽の生えた虎のような動物の姿になった。


「妖が……」


 お兄様が口をつぐんだのを見て、わたしは気がついた。妖と呼ばれた子が、いつの間にかいつもわたしの周りを飛んでいるこの子たちに似ていることに。もしかしたら、お兄様にはもう見えないのかもしれない。


「……姿が見えなくなっちゃいましたね」


 わたしがお兄様の顔色を伺いながらそう言うと、お兄様がふっと笑って言った。


「ふ、其方にも見えているのだろう? この動物たちが妖の正体だったとは……」


 顎に手を当て、考え込む様子のお兄様の表情にあわてて、わたしは動物たちを守るように立って、叫んだ。


「この子達は悪くないよ! 魔法を使う時も、この子達の力を借りて魔術を行っているから、殺しちゃダメ!」


「安心しろ、殺そうなんて考えていない……。しかし、この子達の力を借りて魔術を行うか……その仮説は考えていたが、其方は確証を持っていそうだな?」


 にやりと笑ったお兄様の姿を見て、わたしは自分の失言に気がついたのだった。




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