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甘い感覚

部室について

息を整え朝練の準備をしていると

部室のドアが勢いよく開いた


「おー!おはよ!拓真早いな!」

「ミナ、おはよう」


ミナ…皆川は同じクラスで部活も一緒

ミナの陽気で世話焼きな性格もあって

すぐに仲良くなった


着替えが終わり部室を二人で出ようとしたとき

ミナが顔を覗き込みながら話しかけてきた


「なぁ、拓真気をつけろよ?」

「…?何が?」

「二年の戸田先輩…あの人同じポジションの拓真のこと目の敵にしてるって他の先輩に聞いたからさ…

拓真、中学の頃 選抜チームに招集されてたろ?

やっかみなんだろうけどさ…何か意地の悪いことしてきそうで…」

「…今のところ

挨拶しても無視されるくらいかなぁ

とくに実害は無いから大丈夫だよ」

「そっか、今は三年もいるから明白あからさま

嫌がらせとかはしてこないだろうけど… 

何かあったらすぐ言えよ?」

「うん…ありがと、ミナ」


そんな話をしながらコートへ向かった


朝練は自主練形式なのでミナと一緒に

基礎練習を中心にやる事にした

高校に入ってはじめてのの早朝練習で

ミナもテンションが高め

楽しいなぁ…


しばらくすると

戸田先輩を含めた数名の先輩が近くにやってきた

「おはようございます!」

ミナと2人で挨拶すると

他の先輩は

「おはよ!」

と挨拶をしてくれたけれど

戸田先輩は僕の事をジロッと睨んで

無言で行ってしまった


「感じ悪っ!」

先輩たちが通り過ぎた後ミナがボソッと呟いた


「ミナ、気にすることないよ 続きやろうぜ!」

「…そうだな…何かあったらちゃんと言えよ?拓真」

「ハハ…わかったよ」


確かに戸田先輩は感じ悪いし

僕の事を嫌ってるんだろうと思うけど

中学の頃も似たような事はあったし


ここは強豪校だから年功序列じゃなく

レギュラーは実力で選ばれる

シビアだからこそ

ああいった輩がいるのもまた然り…

先輩には悪いけど、忖度するつもりも無いし

手を抜くつもりも

レギュラー争いに負けるつもりも無い

そういう気持ちが見えちゃってるんだろうな…



朝練を終えてミナと教室へ向かうと

一足先に朝練を終えていたらしい冴木が廊下に立っていた

「おー瑠加!おはよ!」

「おはよ!ミナ

拓真、朝練お疲れ!」

「お疲れ」

「ん?お前ら知り合いなん?」

ミナが不思議そうに僕の顔を見る

「入学式の日にちょっとね…」

冴木がニコッと笑いながら言う

「ミナこそ冴木と知り合い?」

「あぁ、俺たちは幼なじみだから」

「え?そうなんだ へぇ…」

「そうそう、腐れ縁な」

「瑠加…酷っ

俺とオマエの仲なのにぃ〜」

ミナが冴木に擦り寄ろうとしたのをペシッと振り払って

「それより拓真!早くスマホ出して!連絡先交換するぞ!」

「あ!そうだった!」


慌ててスマホを取り出し

冴木と連絡先の交換した


う、嬉しい


「やった!拓真ありがとな!仲良くしような〜」

「うん…こちらこそよろしく」

顔が…ニヤけてしまう…


「ちょっと〜俺のコト放っておいて

二人でイチャイチャしないでくれるぅ?」

ミナが僕の肩に手をかけて冗談ぽく言う

「妬くな妬くな」

冴木が笑いながらミナの鼻先をツンと突く


するとその時ヌッと冴木の後ろから

冴木より更に大きな身体をした男が現れた


「瑠加…俺とも連絡先交換してよ」

大男は甘えたように冴木に話しかけた

「あ?俺スマホとか持って無いから無理」

冴木はスマホを手に持ったまま返事をする

「あるじゃん」

大男はスマホを指差して拗ねたように言う


この大男のことは知ってる

野球部の斉田だ 

超高校級のピッチャーと入学と同時に

世間で騒がれている有名人だ


そして入学早々

冴木に一目惚れしたと高らかに公言している…


「瑠加〜」

斉田が冴木に纏わりつく

「やめろ!よせ!くっつくな!」

冴木は懸命に振り払う

「連絡先!教えてよ!」

「ヤダよ」

「何でだよ!」

「離せ!」


…なんだか

モヤモヤする…とても



「拓真、コイツらは放っといて

そろそろ教室入ろうぜ 瑠加またな!頑張れよ〜」

ミナがニヤニヤ笑って

僕の腕を引いて教室へ入ろうとする


「あ!ミナ酷い 拓真!助けて!」

斉田を振り払って冴木が僕に飛び付いてきた

「え?」

ヤバい心臓飛び出る…


そのまま冴木は僕の後ろに周り

僕が斉田の正面に立つ形になった

「……あっあの…」

冴木にバックハグされている状態の僕を斉田がジッと見る

「お前、瑠加の何?」

「え?何だろう?…とっ…友達?」

斉田の圧が凄い…

「名前は?」

「…岩瀬…拓真」

「ふーん 拓真、どいて?」

「え?いや?退かないけど?」

「…あぁ?」

あ、圧が…

「まぁまぁまぁ

斉田くん!うちの拓真にそんなに圧力かけないで?

瑠加にもしつこくすると嫌われるよ?」

ミナが間に入る

「き!嫌われるのか!?」

「そうそう 幼なじみの俺が言うんだから間違いない!

瑠加はしつこい奴は嫌い!

さぁ、斉田くん!先に自分の教室へ戻りなぁ〜」

「……わかった」

斉田は肩を落とし戻って行った


「瑠加も大変だなぁ〜」

そう言いながらミナはゲラゲラと笑い出した


僕は後ろにくっついている冴木に

異常に跳ねている自分の心音が…鼓動が…

伝わっているんじゃないかと

そればかりが気になって仕方なかった


な、何なんだ?この胸の高鳴りは…

息もできないような胸を締めつける

甘い感覚…


冴木に惹かれていく速さに頭が追いつかず

ただただ 呆然と立ち竦んでいる僕の耳元で

冴木が囁いた

「拓真、ありがとう またな!」

僕はコクンと頷くことしかできなかった

自分の教室へと戻って行く冴木の後ろ姿を見ることもできず

俯いた


今、僕はどんな顔をしているのだろうか…


俯いたまま目を閉じて深く深く息を吐き出し

グッと拳に力を入れて顔をあげ前を向いた

「ミナ、教室に入ろうか!」


ミナは僕の肩をポンッと叩き

「おぅ!行こう」

そう言って微笑んだ




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