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おはようとおやすみ

あのあと

顧問や3年の先輩たちはもう一度部室に戻り

俺のロッカーに置いてあった物をよく調べた

すると

戸田先輩が俺のスパイクの紐にハサミで切り込みを入れていたことがわかった


気がつかずに履いて練習していたら怪我をしたかもしれない

戸田先輩は転べばいいくらいには思っていただろうけど

怪我をさせるまでのつもりは無かったのかもしれない…

危ない事ではあるので少し大事おおごとになった


顧問やキャプテンに俺自身の戸田先輩への気持ちも

聞かれたが

正直

もう二度と嫌がらせとかされないなら

どうでもよかった


結局、戸田先輩は自主退部し

その後5日間の停学という処分になったが

停学期間中にどこか遠くの高校に転校してしまったようだ

森先輩たちは

『拓真に謝罪もせずに逃げていった』と憤慨していたけれど

俺自身は戸田先輩に『された事』より

そこまで『嫌われていた事』のほうが辛かった

ミナや佐藤は『あまり気にすんな』と一言だけ言って

それ以降は普段通りにしてくれている


冴木は

部外秘だった事の詳細をミナからこっそりと聞いたらしく

ミナ経由で新しいスパイク用の靴紐をくれた

冴木はなんとなく俺が冴木を避けていることに

気がついているのだろう…


それでも

冴木が気にかけてくれている事が

本当は震えるほど嬉しかった

とりあえず冴木に


靴紐ありがと

インハイ予選

頑張って


とだけメッセージを送った

冴木からは


おう!

拓真もインハイ予選頑張れよ


と返信がきた

ただそれだけなのだけれど

胸の奥がギュッとして苦しかった




冴木は圧倒的強さで

インハイ予選の個人戦を勝ち抜き

インハイ出場を決めた

団体は惜しいところで敗れたらしい


サッカー部も無事

インハイ予選を勝ち抜き

インハイへの切符を手にした



戸田先輩の事件以降

大会や練習で忙しい日々が続き

冴木のことは深く考える暇もないし

冴木と個人的に話をするような時間もなく

顔を合わせた時に挨拶する程度な日常になっていた


一つだけ変わったことと言えば

冴木から毎日、時報のように

おはようとおやすみのスタンプが来るようになり

俺もその返信だけをするようになったことだ

先輩とのことで落ち込んでいた俺を励ますつもりなのか?

それとも大して意味は無いのか?

冴木の真意はわからないけれど

一日の始まりと終わりにその一瞬だけでも

気にかけてくれているんだと思うだけで

頑張ろうと思ってしまう単純な自分がいる



そして今日も


おはよう!


そうメッセージを返信したあと

『よし、頑張るぞ』

そうつぶやいて自転車を勢いよく漕ぎはじめた






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